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この作品には 〔ガールズラブ要素〕 が含まれています。

百合の勇者となんちゃって魔王 ~急展開なのは仕様です~

作者:Shulon & 渾沌 隷也
 昔々、あるところに一人の女勇者がおりました。
 女勇者の名前はマヤ・キリサキ。ある日突然現れた魔王とその配下であるスライム系モンスターを殲滅すべく、野を越え山を越え、旅をしておりました。
 道中拾った『えくすかりばあ』なる剣を携えて、とうとう魔王の住む城へと辿り着いたのでした──。
 「ここに、魔王がいるんだよね......」

 魔王の部屋の、冷たく大きな扉を前にして、私はゴクリと唾を呑みこんだ。ここまでの旅路の中で最大の緊張が走る。
 今まで出会ってきたモンスター達は、スライム系と触手系が多かった。この事から考えると、今までの勇者全員が、魔王の姿を見る事も無く、モンスターの餌食になったのだろう。実質道中でいくつかの骸を見かけた。
 要するに、この部屋まで来たのは、私だけ。それに、モンスターの系列から察するに、魔王はかなりのマニアックド変態親父だと推測できる。ていうかそうでないと困る。倒しにくいから。
 扉を開けた瞬間、ありとあらゆる凌辱トラップが飛んでくる。そう思っておいた方がいいかもしれない。

「いやだなぁ」

 正直言って、もう帰りたい。凌辱されたくないし。でも、世界の平和と秩序を守るためだ。頑張れ、自分!

「よしっ!」

 覚悟を決めて、私は大きい扉をゆっくりと開けた。
 視界に入ってきたのは、よくある「謁見の間」的な部屋だった。少し視線を走らせた先に、豪華な玉座があった。

「よくぞここまで来た。勇敢なる者よ」

 その玉座に腰かけていた人物がゆっくりと立ち上がり、毅然とした態度でこちらに近づいてきた。
 禍々しい甲冑を身に纏い、漆黒のマントを翻す「奴」の顔は、これまた禍々しい鉄仮面で覆われていた。
 間違いない。「奴」は、「奴」が──!

「魔王っ!」
「ふはははは。そう呼ばれて久しいものよ」

 機械的な声で高らかに笑う奴は、まさしく魔王。そのオーラに圧倒されそうになって、私は思わず剣を抜いた。

「わ、私の名はマヤ・キリサキ! 世界の秩序と平和がため、その首を貰い受けし者っ!」

 自分を勇気づけるために、大きな声で堂々と名乗った私を見て、魔王はその顔に凶悪な笑みを浮かべた。

「ふはははは。よかろう。久しぶりの客人だ。盛大にもてなしてやろう!!」

 そう叫ぶや否や、魔王は私に襲いかかってきた!

「うわああああああっ!」

 私も吠えながら、『えくすかりばあ』で斬りかかる──!



 ──結論から言うと、僅差で私の勝ち、だった。
 と、いうより、魔王が魔王じゃ無くなったって言った方がいいのかな?

「うぅ~......。勇者ごときにわたしが負けるなんてぇ~......」
「いや私は何もしてないよ? 強いて言うなら仮面が取れただけでしょ?」

 勝負の途中でたまたま魔王の鉄仮面が取れちゃって、そしたら素顔は絶世の美女だったっていう、たったそれだけの事で。
 魔王だった少女の姿は、私がキュンとするほどに可愛かった。
 燃えるようなツーサイドアップに、猫のように幼く大きな瞳。顔は小さくて、とても可愛らしい。小柄で華奢で、胸はBカップくらい。そして泣き虫。
 何だろう。もうね、母性本能がくすぐられるというか、襲いたいというか......。とにかく可愛い。嫁にしたい。
 しかも世界征服しようとした理由が、「かまって欲しいから」と来た。うわああ駄目にしたい。私だけに頼っちゃうダメ人間にしたい!

「ねぇねぇ魔王ちゃん♪」
「何よ、勇者」

 未だにブスッとしている魔王ちゃんにお願い事を3つした。彼女は仕方ないなぁなんて言いながら全部答えてくれた。ツンデレかな?
 1つ目は、名前を教えて欲しい。2つ目は、私を名前で呼んで欲しい。そして、3つ目は──、

「私と結婚して?」
「え、ちょ、いくらなんでも急すぎなんじゃないかな!? かな!? 早く百合展開に持っていきたいからって色んな順序飛ばして書いちゃうのは作者の悪いク──」
「おっとそこまでだよキハルちゃん。メタくなるから」

 私の最後のお願いを聞いた途端、魔王ちゃんもといキハルちゃんは顔を真っ赤にして照れちゃった。そんな彼女に、私は魔法の言葉を囁いた。

「えー? 私と結婚してくれたら~......そうだなぁ。ずっと構ってあげる」
「本当っ!? 本当にかまってくれるの!? ずっと一緒にいてくれるの!?」
「もちろん! 一人ぼっちは寂しいもんね!」

 狙い通り、彼女は子供のようにピョンピョンと私の周りを飛び跳ねて、「えへへ! うれしいなっ!」なんて言ってくれた。あーやばい。なんかムラムラしてきた。

「じゃあ、誓いのキスしよ」
「ふえっ!? そ、それは。えーっと......。~~~っ!!」

 突然そんな事を言われて慌てる彼女を強引に押し倒して、私はその可憐な唇に自分の唇を重ねた。そして、本能の赴くままに、彼女の小さなお口の中を蹂躙する。
 しばらく経ってから、私が唇を離すと、キハルちゃんの顔は既に蕩けていた。

「あれ? もしかして、キス、初めてだった?」
「う、うん」
「へぇぇ~♪」

 そんな彼女を見たからだろうか、私の中のリミッターが解除される音がした。鎧を外してインナーだけになったキハルちゃんの、その薄い防具を右手でゆっくりと脱がしにかかる。ついでに左手はちゃっかり下の方へと......。

「キハルちゃん......。今夜は寝かせないから」
「え? それってどういう......。あ。ちょお! そこは駄目! らめぇぇぇぇっ!♥」
※追記:その後勇者と魔王はなんやかんやで幸せになった模様
※更に追記:急展開すまぬ。
※新しく追記:1月末にこの短編は削除いたします。

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