セルフスクープです!
私事で恐縮だがこのたび、「標津町サケマイスター」2級に昇格した。2009年の制度の発足以来4人目、なんと道外在住者では初の快挙である。すごくないですか。
朝日毎日読売産経に北海道新聞バズフィードや文春砲、各種メディアから取材殺到しちゃうな、まずいなと斎戒沐浴して準備していたが一切がっさいアプローチがないので自分で書こう。 今の気持ちは?最高です。
1975年神奈川県生まれ。毒ライター。
普段は会社勤めをして生計をたてている。 有毒生物や街歩きが好き。つまり商店街とかが有毒生物で埋め尽くされれば一番ユートピア度が高いのではないだろうか。
最近バレンチノ収集を始めました。
前の記事:「サケの産卵マニアックス」 人気記事:「夏は池袋で毒づくし! 毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)」 > 個人サイト バレンチノ・エスノグラフィー いきなりハードルがあがる2級サケマイスターとはサケの町、北海道標津町が主体となって作った制度で私は2年前に3級を取得した。
標津町のサケに関する知識習得や産業体験を重ねるともらえる。
3級から2級への道はかなり険しい。
人工授精体験や解剖実習など、生物学から産業体験まで学習する項目は多岐にわたる。
3級取得者約1200人に比べ、2級取得者はわずか3名、1級はまだ無しと、エベレストのセカンドステップのような難所ぶりがうかがえる。
しかし、結局サケにはまった私は、市場見学どころかサケ漁を体験したり(標津町ではないが)産卵行動を学習したりと、なんやかんやでポイントを獲得し、2級に手が届くところまでたどりついた。 漁船に乗るとは思ってもみなかった(記事はこちら)
こうなったらと2級取得を目指し、カリキュラムの中でもかなりディープな「産卵環境観察」「人工授精体験」「解剖実習」にのぞんだのだった。
ダーウィンも来た川まずは産卵環境観察、科学館から外へ飛び出す。
観察の舞台は科学館より7kmほど北、知床半島の付け根を流れる忠類川(ちゅうるいがわ)。毎年多くのサケが帰ってきて産卵をする。解説はおなじみ市村館長である。
サーモンフィッシング発祥の地でもある。
観察場所は国道のすぐそば。水深はかなり浅い。
「ここが観察しやすいポイントです。もういくつも産卵床ができていますね」
卵が埋まっている場所を的確に見きわめるイクラ探知機。
――ここはかなり下流ですよね。
「はい。川の上流で産卵するというイメージが強いですが実は川底が砂利であれば問題ありません。知床の川は特異な地質で、山の急勾配がそのまま海にいっています。 つまり、石や砂利の多い川の上流から中流域がそのまま海につながっているようなものです。なので海からわずか数十メートルの所でも産卵する場合があります」 メスが産卵場所を争ってケンカしていた。
「忠類川はテレビ番組の産卵シーン撮影によく使われていて当館も協力しています。あのあたりにはダーウィンが来ましたよ」
――本人が来たっぽい言い方をしないでください。 死がいと向き合う「ここで見ていただきたいのは、産卵を終えたサケの死がいです」
「新鮮なのがないなー」
「この間の台風で流されちゃってますね、いつもはもっと累々とあるんですが」
それでも2体の亡がらをゲット。
「サケの死がいは新鮮なやつでもだいたい目がありません。すぐに鳥が食べるからです。カモメやカラスなどが食べられるのはここと肛門付近です」
「ほら、ここ(肛門)付近の肉がないでしょう」
――そこからクチバシを突っ込んで食べるんですね。
「成熟したサケの、特にオスの皮はものすごく厚くて丈夫です。オジロワシクラスでないと割く事はできません。オス同士鋭い歯で噛みつき合いのケンカをしますから防御のための鎧のようなものです」 ためしに手で破ろうとしたがぜんぜん破れない。あとスケキヨ感がすごい。
――死んだサケは貴重な食料なんですね。
「サケが産卵する地域ではサケ以外の魚類、動物、植物から海由来の窒素や炭素が確認されています。つまりサケは海から膨大な栄養分を運んできているといえるんです」 ――あれだけの大きさになって帰って来るんですもんね。このあたりの生物達からすれば、めちゃめちゃ利率のいい定期預金みたいなもんですね。
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