フィンテック企業が銀行に仕掛ける「人材争奪戦争」-攻守逆転も

  • 銀行の求人に関心を高めるソフトウエア技術者も
  • ゴールドマンはプログラマー獲得へ報酬引き上げ

Commuters walk across London Bridge in London, U.K., on Monday, Dec. 18, 2017. U.K. firms wanting workers face the tightest labor market in two decades. In 2011, there were almost six unemployed people for every vacancy; now there are fewer than two, the lowest ratio since records began in 2001.

Photographer: Jason Alden/Bloomberg

欧州のフィンテック新興企業は採用に積極的だ。この結果、フィンテック企業同士および従来型の銀行との間で、「人材争奪戦争」が勃発している。

  決済会社のゴーカードレスはロンドンで170人を雇用しているが2月にパリに進出する計画。オンライン銀行のレンドインベストは今年、ロンドンでエンジニアを追加採用する。ソフトウエア会社のアナプランにとって技術畑の人材採用が現下の優先課題だ。

  アナプラスのフランク・カルデローニ最高経営責任者(CEO)は「昨年はロンドンのエンジニアチームが従来の5人から40人余りに増えた。当社従業員の多くは一流の銀行での勤務経験がある。モルガン・スタンレーやJPモルガン、ドイツ銀行、UBS、ゴールドマン・サックスなどだ」と話した。

  欧州のフィンテック業界はここ10年の間に急拡大しており、熾烈な人材獲得競争が起こっている。「社内では人材争奪戦争と呼んでいる」とレンドインベストの共同創業者でCEOのクリスチャン・フェーズ氏が述べた。

  想像に難くないが、フィンテック企業の従業員の多くは大手金融機関からの移籍組だ。レンドインベストでは30%から40%が大手金融機関出身でリスクとコンプライアンス(法令順守)チームでは100%が銀行出身だという。オンライン銀行のマーケットインボイスでは85人の従業員のほぼ4分の3が金融サービスや会計事務所からの採用だとアニル・ストッカーCEOが述べた。

  ただ、人の動きは一方通行ではない。フィンテック企業の良さもあるが、銀行は依然として魅力のある職場のようだ。求人マーケットプレース、インディードがブルームバーグの要請でまとめたデータによると、2015年下期-17年下期の間にバークレイズとHSBCからの求人に対するソフトウエア技術者の関心はそれぞれ21%、77%増えた。ゴールドマン・サックス・グループもプログラマーを引き付けるため報酬を増やすなど攻勢に出ている。

  グラスドアの報酬情報によると、ロンドンで働くソフトウエアエンジニアの平均基本給はオンライン銀行のファンディング・サークルとゴールドマンが同水準で約5万1000ポンド(約790万円)。

原題:Banks and Fintechs Are Duelling In a ‘War For Talent’(抜粋)

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