その時の先輩の顔をどう表現すればいいのでしょう。
「何も俺一人で来る必要もなかったん……じゃ……あの、その? 桜?」
先輩の視線の先には、素裸のわたしが目隠しされた女の人を組み敷いている。
ぴちゃ、ちゅぽと淫猥な音を立てて互いの唇をむさぼりあっている。
そんな光景を眼にして、スラスラと何か言葉が出てくるほど器用な人じゃありません。
面白いほど固まってしまって、パクパクと口を開閉させたままの先輩。ややあって額に手を当てて考え込み始めた先輩は、ぽんと手を打つと、
「間違えましたごめんなさい」
それはちょっと困ります。
「間違えてないですよ、先輩。ライダーに頼んで来てもらったんですから」
「いや、間違えたから」
「ちょっと待ってて下さいね,すぐお茶とか用意しますから」
「いや取り込み中みたいだしお願いだから間違えたんだ俺は」
「取り込み中でしたけど今はおーるおーけーですから。さぁ、そちらに座ってください先輩」
「い……い……いやだー! もういやだ俺は間違えたんだ帰るんだもう花瓶はいやなんだー!」
微妙に昨日の事件がトラウマになってるみたいですけど、もちろんそんな事を気にして手を緩めたりなんかしません。
「……し、ろう?」
先輩の声が耳に届いたのでしょう。わたしの下で胡乱に呟いた先生は、一瞬の沈黙の後、
「ぇ、嘘、士郎? いやぁ! そのなんでなんでいるの?!」
我に返ったかのようにじたばたと暴れだすのを、マウントポディションでいなします。いくら藤村先生でも、両手両足がうまく使えない上にこの状態ではわたしを跳ね除けることなんか出来ません。
「ふ、藤ねぇ?」
「嫌、ダメ、見ないでお願い士郎イヤァァ!」
拘束されてる両の手で顔を覆ってぶるぶると頭を振る先生。それを見て呆然と立ち尽くしてしまってる先輩。
「あの、え、何で藤ねぇ……桜、あの?」
「ああ、先輩落ち着いてください」
「ダメ、お願い見ないでヤメテ恥ずか……」
「ふたりで、先輩の事待ってたんですよ。こうして……」
先生の晒された両の乳房を、下から寄せ上げるように盛り上げて見せます。ぷっくりと勃ち上がってる乳首がぷるぷると震えていて、とっても可愛らしい。そこを軽く甘噛んで上げたら、とたんに先生の体から力が抜けて、くたりとしてしまいました。本当に、敏感なんですから。
「先生、胸大きいでしょう? なのにこんなに感じやすくて、こんなに美味しそうで」
ぴちゃぴちゃと音を立てて先生の乳首をなめ上げながら、上目遣いで先輩を見上げます。
立ち去ることも出来ず、かといってこちらに寄ってくることも出来ず、その場に立ち尽くしてしまってる先輩。
「ひぁう、やめて……士郎のまえぇ、いゃぁぁ……」
あえぐ先生の声を聞く度に、びくりと身を震わせてこちらから視線を外すことが出来ない先輩。ジーンズの股間の部分が張り詰めてしまっているのが、ここからでも分かります。
どちらに興奮してくださってるのでしょう?
素裸で教師に伸し掛かっている淫蕩な後輩ですか? それとも普段の姿とは程遠い、可愛く啼いている先生ですか?
普段は虎柄のトレーナーとロングスカートに隠されたなまめかしい肢体を、教え子に組み敷かれてあられもない声を上げている姿。先輩の『お姉ちゃん』としてではない、オンナの情欲を発散している姿に興奮してくださってますか?
そのために、こうして先生を蕩かしたのですから。
ほら、とっても美味しそうでしょう?
「先輩」
凍りついた先輩を溶かす魔法の言葉。それを歌うように紡ぎます。
「先生を、見てあげてください。えっちで可愛らしくて、とても綺麗な先生の姿を見てあげてください」
動き出すにはスイッチが必要ですから、だからわたしの言葉で背中を押してあげます。そうすればほら、案の定。
「桜、藤ねぇ……」
わたしの声に誘われるまま、一歩、また一歩ゆっくりと近づいてくる先輩。
その眼にはいつの間にか熱っぽい光が宿っていて。わたし達の肢体から動こうとしてません。
蜜をたたえた二つの花に、引き寄せられる蜜蜂のように。
「ダメ、だめだめ! お願いやめてこないでしろぅ」
先生がかすれる声でそう呟きますけど、その言葉は逆効果ですよ。もう先輩はスイッチが入ってしまってますから。
「藤ねぇ、凄いな……」
先輩が先生の頭の上に膝立ちになってます。見えなくても気配で分かるのでしょう。身を固くする先生に向かって、先輩の姿を教えてあげます
「先生? 先輩も凄いですよ。ジーンズの前がパンパンになってしまってる」
「さ、桜っ!」
「これ以上無い位に膨らんでしまってて、窮屈そう。先輩、凄く興奮してますよ」
「しろう、が?」
「ええ、わたしと、そして先生の姿を見て凄く興奮してる。ほら……」
そのまま先輩のジーンズのベルトに手を伸ばして、するっと外してあげます。普段だったら「やめろ」とか言う先輩も、見た事のない藤村先生の姿に頭の奥が麻痺してしまってるんでしょう。わたしの手にされるがまま。張り詰めすぎててファスナーを下ろすのが大変でしたけど。
ジーンズもトランクスも下げられて、ひょこりと先輩のモノが顔を出します。お臍に届かんほどに固く反り返って張り詰めたそれに手を這わせて、漏れでた先走りの汁を指の腹で亀頭に擦り付けてあげます。
「うぁ、桜、そこは……きつぃ」
わたしの指使いで切なく漏れる先輩の声。否応なく奥底に響いてきて、股間がじゅくりと音を立てて潤んだ気がします。
本当だったらすぐにでもこのお口かおっぱいで愛しんであげちゃうんですけど、今は少しお預け。手探りで先輩のものを弄びながら、口は先生の耳に寄せたままです。
「凄いですよ、先生。先輩のおちんちん。どくりどくりと脈打ってて、とっても熱いんです。わたしの手も溶けてしまいそう」
「しろう、の、お……」
そこで止まって口を濁してしまう先生はとても可愛いですけど、欲しい物がちゃんと言えない人にはあげません。
「見たいですか? 黒々としていて、たくましく反り返ってる先輩のモノを見たいですか?」
「…………見たい。桜ちゃん、わたしも士郎の、見たいよ」
「じゃあ言ってみてくださいね? 藤村先生は、教え子である先輩の何が見たいんですか」
わざと『先生』の部分と『教え子』の部分を強調して囁きかけます。教師の、大人の理性が勝つか、オンナとしての欲望が勝つか。
でもこの状態ですから、勝負になるわけが無いですね。
「……士郎の、おち、んちんが見たいの」
詰まりながらもそこまで言えたご褒美に、深いキスを贈ります。片手で先輩のものを扱きながら、先生の唇を楽しんで。そしてもう片方の手で、先生の手の戒めを解き放ちます。
「ちがう、手じゃなくて目隠し、とってぇ……」
滴るほどに解け切った声でそう言われるのもぞくりときますけど、もう少し我慢してくださいね。代わりのご褒美、ちゃんと上げますから。
「桜、もうダメ、でそう、だ……」
腰を震わせて押し殺した声が上から降ってきました。
むぅ。先輩、興奮してるにしても少し早いんじゃないですか?
「あん、ダメです。もう少し我慢してくださいね」
そのまま根元をきゅっと掴んでお預けします。
ごめんなさい、先輩。少し苦しいでしょうけど我慢してくださいね。すぐにもっと気持ちよくしてあげますから。
「ふぁう、桜、きつっ……」
「さぁ藤村先生。二人で一緒に先輩にいい事、しましょう?」
そういってわたしは先生の手を取ると、そのまま先輩のペニスに向かって導きました。
精液を出したがってピクピク震えてる、猛々しい肉の棒。先生の綺麗な手をそこに絡めてあげると、
「ああ、あったかっくて、堅くて。ねえ桜ちゃん、これって」
「ええ。先輩のモノですよ。わたし達を見てとても大きくしてしまってる、いやらしい先輩のおちんちんです」
「これが、士郎の……」
二度三度、先生の手が赤黒い幹を撫でさすります。その内に、恐る恐るだった指が大胆に絡みだして、手の動きも力強いものに。
もちろんこんなに大事なモノ、先生だけに譲ったわけじゃありません。
片方の手でしっかりと根元を押さえてないといけないですから、自由になるのは一つだけ。でも先生には負けません。
幹を撫で、裏筋を親指の腹で擦り上げて雁首の周りをつんつんと突付いてあげます。わたしの指の動きの合間に、先生も稚拙ながら精一杯先輩のものを扱いてる。
手馴れた動きと手馴れぬ動き。普通だったらありえないこの二重奏は、先輩のためだけのプレゼントなんです。だから、しっかり受け取ってください。
「先輩、気持ちいいですか?」
「藤ねぇ、桜、凄い……もう、出させ……」
先輩の体の中は、今出口の無い快感が暴れまわっている筈。眉をひそめて、おしりに力を込めて、必死でそれに耐えてる様。何度見ても、ぞくぞくするくらい素敵です。
「あぁ、士郎、感じてくれてるんだぁ」
うっとりと呟く先生。見えないだけに、今の先輩を頭の中に思い浮かべて、切なげな声と手に伝わってくる肉棒の感触で味付けしてるのでしょう。
「頼む、桜、出させて……」
もはや膝立ちでいるのも辛いのか、先輩は泣きそうな声でそうお願いしてきます。
ああ、そんな顔をされてしまったら。
先生に伸しかかっていた身を起こして、ペニスの先にちろりと舌を這わせます。そして根元を握りしめた指を緩めてあげたら、
「ぁぁあぁっ!」
唸るような声を上げて、先輩がわたしの頭を押さえつけてきて。
一瞬大きく膨らんだペニスから凄い勢いで精液が吐き出されてきました。
陶然とした顔で深いため息を突いた先輩が、わたしの顔を見て我に返ったかのように上ずった声を上げます。
「ご、ごめん、桜。その我慢できなくて……」
たまりにたまった欲望を吐き出したのに、どこかおろおろとしている先輩が可愛いです。
嫌な訳無いじゃないですか。とても、とても嬉しくて体が火照りが更に加速しまってるんですから。
痛いくらいの勢いでわたしの顔に振り掛けられた白い液体。瞼もまつげも、鼻の頭まで先輩に染め上げられて、むわっとした生臭い匂いが鼻につきます。口元に垂れ下がってきたものに舌を這わせれば、えぐみの強い独特の味が口の中に広がっていきます。
決して美味しいわけじゃありません。味なんか先輩の作る料理と比べるのも馬鹿らしいです。
だけど、これが先輩の中で作られてる。先輩が気持ちよくなって出してくれた。そう思うだけでどうしようもないほど愛しくなって。何にも代えがたいくらい美味しく感じてしまうんです。
「すごい、びくびくって、波打ってる。わたしの手の中で、士郎のが暴れてる……」
先輩のものに手を這わせたまま、先生もうっとりとした声を上げてます。
わたしの顔から滴った精液が、乳房を伝って先生のお腹にぽたり、ぽたりと。
黒いレザーを斑に染め上げてく先輩の白。それを吐き出した先輩のペニスは、全く縮こまる事無く先生の手に握られてます。
「先輩? 全然満足されて無いみたいですね」
先輩の腰に手を回して引き寄せて、一緒に先生のアイマスクに手をかけます。
「ふぁぅ……眩しい……」
突然飛び込んできた光に眼を細める先生。瞬かれていた眼が徐々に焦点を取り戻してきて――驚きのあまり固まってしまったご様子。
あぅあぅ、と言葉にならない呟きをもらしながら、その視点は一点に固定されてます。
「大きくて、逞しくて、素敵ですよね、先輩の」
「あ、や、その……士郎、凄い」
「ふ……藤ねぇ、やめ、きつい、気持ち、よくて」
眼を見開いて、頬を真っ赤に染めてふにふにと玩んでる。その度に先輩が小さな悲鳴を漏らして腰を揺らしてます。
「先生、そうやって手で弄ってるだけで満足ですか?」
「えっ……」
「今出したばかりなのに先輩、こんなに切なそうにしてますから。しっかり慰めてあげないと」
先生の腕をそっと解いて、指を絡めあいます。ちょっと不満そうな先生の瞼をぺろりとなめて、そのまま再びキス。
「んぁ、桜ちゃん、なんか苦い……」
わたしの口に残った精液の味に、眉をひそめる先生。慣れないとそうでしょうけど、もったいない。
「先生、それが先輩の味なんですよ? 先輩の愛が詰まってるんですよ」
勿体無い事を言ったお仕置きもかねて、唇を甘噛み舌を差し入れちゃいます。唇を、舌を味わいながら吐息の合間に上目遣いで先輩に微笑みかけます。
「先輩、後ろに回ってください。花が二つ、蜜を垂らして待ってますから」
「えと、桜……?」
戸惑いの声を上げる先輩に見せ付けるように、先生の足を割り開いていきます。戸惑いのため息を漏らすのを流したまま、むき出しの女陰にわたしのそれを這わせていく。いまだ滴りきってる柔肉同士がくちゅくちゅと音を立てて混ざり合っている感じは、思わずイキそうになってしまうくらい気持ちが、イイ。
「ひぁ、やぁぁあぁっ、くちゅくちゅしてる。わたしのが、桜ちゃんと、あああああっ!」
ぷっくりと勃ち上がったクリトリスが、お互いのアンダーヘアに包まれた下腹に擦り付けられて、痺れるほどの快感を全身に叩きつけてきます。蜜はとめどなくあふれ出して先生の中に飲み込まれてる。あふれ出した先生の蜜もわたしの中に流れ込んできて、もう、どっちがどうなってるのかも分からない。お互いの性器が溶け合って絡みついて結びついて一つになってしまってるみたい。
先輩に二つの花、なんていってしまったけど間違いでした。もう花は一つになってしまってます。こんなに気持ちいいのを引き離す事なんて出来るわけありません
「桜、凄いよ。藤ねぇのアソコと桜のアソコが絡み合って真っ赤になってる。お互いに食べあってるみたいだ」
かすれた先輩の声が後ろから降ってきます。唾を飲み込む音が生々しく響いてきて――ちゅくりとわたしの陰唇を割り開く固い感触。
細い、頼りない堅さと長さ。これは先輩のペニスじゃない。指でかき回すようにわたしの中をえぐってくる。下になってる先生のあえぎ声も変わってるから、一緒に先生の中にも指を突きこんでるのでしょうけど。
先輩、違います。欲しいのはそれじゃないんです。
もう今は指なんかいらないんです。
「先輩、入れてください、先輩の熱いおちんちん、いやらしいわたしの中に突きこんでください!」
体の望みに突き動かされるまま、大声で叫んでしまうはしたないわたし。
「士郎、お願い! いれて! わたしにも士郎のおちんちん、ちょうだいぃ!」
快楽に突き動かされた涙を浮かべて、大声で叫んでるはしたない先生。
「言われ、なくてもっ!」
荒々しい叫び声と共に、ちゅぽんと指が引き抜かれて、代わりに突きこまれる太くて熱い先輩自身。
「はぁふっ、せんぱ、ふとぉい……!」
声を抑えることなんか出来ません。ひたすらに気持ちヨサに命じられるまま、大声で叫んでよがってしまいます。
熟れて濡れきった膣を押し広げて、割り進んでくる先輩のペニス。元からそうだったみたいに先輩の形にぴったり納まるわたしの穴は、くちゅくちゅちゃぽちゃぽ、先輩の腰の動きに合わせて歓喜の音を立ててます。
「ああっ、桜ちゃんばかりずるいよぉ! 士郎の、私にもぉ!」
淫らな所からでた音は、聴く者の心まで淫らに変えるのでしょうか。ぞくっとするほどいやらしい、艶の篭った叫びで先輩におねだりする先生の顔には、普段のしゃんとした色は欠片もありません。
快楽への期待と欲求、そしてわたしへの嫉妬と羨望にとろけきった一匹のメスの顔。
それを見て無視できるオスなど、居る訳がありません。
ちゅぽんとわたしの中から抜かれてしまう先輩のペニス。
「ひぁ! 入る、入ってくるぅ!」
代わりに身を振るわせて、先生が歓喜の声を上げている。
「あああぅ、太いよぉ! 士郎の、太い、いいぃっ!」
先輩の腰が先生に打ち付けられる度、眼の端に涙を浮かべ口からよだれを垂れ流してよがり狂ってます。
いいなぁ。
先にもらったのはわたしでしたけど、やっぱり突きこまれてるのを見てると、羨ましく思ってしまいます。
仕方ないから、ぷるぷる震えてる乳房に舌を這わせてその先端を甘噛んで。
「だ、ダメ、桜ちゃ、胸まで、ぁああぁ!」
先輩に突きこまれて、わたしに乳首を責められて。もう芯もなくふにゃふにゃになってる先生。
「ああっ、だめぇイクゥゥゥッ!」
そのまま身を反り返らせて叫ぶと、両の手で顔を覆ってくたりとしてしまいました。
頬を真っ赤にして、荒い息を付いてる先生は、指の間から覗く目もとろんとして本当に気持ち良さそう。
「……桜。俺、まだ……」
一方、先に先生をイかせてしまった先輩が、物足りなそうな声でわたしの胸に手を伸ばしてきました。
「こちらこそお願いします、わたしに、もっと先輩を感じさせてください……」
先輩が挿れやすいように、先生のおっぱいに顔を埋めて腰を高く上げて。心なし腰をゆすって先輩におねだり。
すぐに荒々しく腰をつかまれ、滴ってる陰花に先輩の亀頭があてがわれたその時。
"サクラ、大変ですサクラ!"
「きゃっ!」
急に割り込んできたライダーの念話に、思わず悲鳴を上げてしまいました。わたしの声にびくりとした先輩のペニスがするりと逃げていってしまいます。
「ど、どうした桜?」
「え、いえ何でもないですから続けてください先輩」
"ライダー!! あなた何の真似ですか! こんないい所で!"
顔で笑って心で怒って。先輩に微笑みながら怒りの念話をライダーに叩きつけました。いやもう、思わず魔力カットしてしまおうかとか思ったくらい。
"だからカットしてから言わないでください桜……"
"で、何なんですか? つまらない用事だったら本当にカットしっぱなしですよ?"
"――リンとセイバーが来たのですが"
「何ですって?!」
ライダーの言葉に思わず素で叫んでしまいました。二度の不審なわたしの叫びに流石に先輩も怪訝な表情でこちらを見つめてきます。
ああああ、本当にいい所だったのに……
でも姉さんとセイバーさんの襲来は、予想していたとはいえ流石にほっとけない問題です。
"……分かりました。わたしたちは場所を変えますので、それまで時間を稼いでくださいね"
この屋敷の地下室は入り組んでいて、わたしですら知らない部屋もいくつかあるんです。そこの一つに篭れば、そうそう簡単には見つからないでしょう。
第二ラウンドはそこで開始という事で……
"その、言いにくい事なんですがそれは無理だと思います"
しかし、ライダーのそのすまなそうな声と共に。
蹴り破られそうな勢いでドアが開け放たれて。
「さ~く~らぁぁぁぁぁっ!」
「サクラ、このような姑息な所業は許しがたい!」
部屋に響き渡る姉さんとセイバーさんの怨嗟の声。
これに比べれば、地獄の釜の音もまだ生ぬるい気がします。
背筋を伝わる冷たい汗。
もしかしてもしなくても、これはかなりのぴんちという奴でしょうか。
「と、遠坂なんでここにこれには訳がぁ?!」
「士郎は黙る! 一言も口をひらかない! 後でゆっくりじっくり隅々まで聞き出すから!」
突然の闖入者に泡を食った先輩をその一言で黙らせて、姉さんが人を殺せそうな目でわたしを睨みつけてきます。
「さて、どういう事なのかじっくり聞かせてもらいたいんだけど桜?」
「……その前にわたしもライダーに聞きたいことがあるんですが」
二人の後ろ、扉の陰に隠れるようにしているライダーを睨み付けました。
しっかり門番をしてろといった筈なのに、戦いの喧騒一つ聞こえる前にここに通しているというのは一体どういう了見ですか?
「ライダー、どういう事なのか説明してください!」
「その、真に言いにくいことなのですがサクラ……」
「ああ、ライダーは今私達側だから」
「……えっ?」
しれっと言った姉さんに、思わず間の抜けた声で問い返してしまいました。
「そ……それはどういう……?」
「あなたねぇ。いくらサーヴァントだからって毎回無茶な命令した挙句に、しっかり知行与えてないんじゃそりゃ忠誠度だって下がるわよ? 士郎とのえっち一回で、喜んで道明けてくれたわよ?」
「ライダァァァァァッ?!」
愕然としたわたしから眼を逸らしてわざとらしく口笛を吹いているあたり、マジです。
何という事でしょう。彼女本気で調略されてる模様です。
信じられない! それでも誇り高いサーヴァントだというのでしょうか!
「ライダー! あなたそんな目先の欲で!」
「ごめんなさい、サクラ。でもいつもいつもいつも本番禁止されてますし! いい加減欲求不満だったんです!」
「それは、だって先輩を手に入れてからゆっくりと一緒に……」
「未来の百回より今の一回です! それにこちら側につくと、今ならセイバーも自由にしていいと言われましたので」
「凛んんんっ?!」
あっさり自分を売った主を愕然と振り返るセイバーさん。
「あなたいきなり何を?! 何で知らないところで私が売り飛ばされてるんですか?!」
「ほら、セイバー私の使い魔だし。ライダー、セイバーの事も欲しそうだったから」
「だからって売りますか?! 了承なしに売りますかあなた!」
「だって了承求めたら嫌がりそうだし」
「当たり前です! 人を何だと思ってるんですか!」
わたしたちを置き去りにして言い争いをはじめるセイバーさんと姉さん。これは逃げ出すチャンスでしょうか。
それにしても、わたしが言うのもなんですけど仕える主間違えてると思いますよセイバーさん。
……ん? ちょっと待ってください。
これです!
「セイバーさん! 今こっちに来ればもれなく先輩との二人きりラブラブえっち権プレゼント!」
「桜。私の剣、あなたに捧げましょう!」
「なんですってぇぇぇぇっ?! セイバー! あなたそれでも騎士なの王様なの?!」
即座に身を翻して、私と先輩といまだ胡乱としてる藤村先生を守るように立ちはだかるセイバーさん。
ふふふふ、形勢逆転ですね姉さん。
姉さんこそうかつでしたね。意に沿わぬ仕事をさせるなど、忠誠を下げることにしかならないというのに。
「凛、あなたは間違えたのです。私をライダーに売るなどという破廉恥な行い。そもそも私はそのような気は無いというのに!」
「……そっちの趣味、無かったんだセイバー」
「当たり前です凛! 私を一体なんだと?!」
「……桜、もろにそっちの趣味あるんだけど? 昨日あなたも経験済みじゃない」
くぅ、余計な事を姉さん?!
姉さんの言葉にぴしりと固まり、そのままぎぎぎぎぎ、と、きしんだ音のしそうな動きでこっちを振り返るセイバーさん。
えと、その。
何と答えても悪い未来しか見えないのはわたしの幻覚でしょうか。幻覚だと思いたいのですけど。
……結局、今のわたしに出来る事はにっこりと微笑んで。
「えと、その、なるべく優しくしますから」
「――残念です、桜。あなたは選択を間違えた」
「ああっ、イイッ……士郎っ!」
先輩が胡坐をかいた足の上で、姉さんが激しく腰を振っています。
ぱつんぱつんと肉の当たる音、くちゃくちゃと粘液がかき回される音、それらをBGMに、姉さんの嬌声と先輩の荒い息遣いが部屋の中を満たしてる。
「次は私の番ですね。良いのですかセイバーは? 一緒に行わなくても」
「……こんなにたくさん人がいる所では遠慮したいです。と言うかだから私にはそっちの趣味は……」
「あはぁ、セイバーったら恥ずかしがり屋なんだからぁ」
とろんとした眼でセイバーに微笑みかけた姉さんは、再び士郎の顔を引き寄せて、激しい口付けの雨を降らせてます。
「いい? 今日だけなんだから、ね? 後はダメ! 士郎は、私のなんだからぁ……」
「分かったよ、遠坂……っ!」
答えの代わりとばかりに、姉さんの腰に手を回して激しく打ち下ろす先輩。
「あぁぁあぁっっ!」
一際甲高い声と共に、くたりとしてしまう姉さん。
……羨ましい。
じゅくりと蜜があふれ出してきて、火のついたように熱い股間がせめて少しでも静まればと内腿をすり合わせますが効果はありません。
せめて手が使えればまた話は違うのでしょうが、それも無理。
わたしの手は今、ものの見事に吊り上げられてますし。ついでに両足には枷と鎖まで。
「うふふふふ? どうしたのかなぁ桜ちゃん? そんな内腿をすり合わせてぇ」
目の前には先ほどの格好そのままに、にまにまと笑う藤村先生の姿が。
改めて、ボンデージの中むき出しの乳房と股間が淫猥なのですが、それを楽しむ余裕はあんまりありません。
こう、先生の右手には低い音と共に不吉な運動繰り返してるバイブレーターが握られてますし、左手には細い皮鞭まで握られてます。
その手のものに事欠かない、我が家のコレクションの備えっぷりに涙が出てきます。
「本当にえっちなんだねぇ。こんな状況でも足首まで滴るくらい濡らしちゃって」
「ええっと、先生?」
「なぁに?」
「バイブを持って生徒ににっこり微笑むと言うのは教育上宜しくないと思いますよ?」
「そんなすっとぼけた事言うのはこの口かぁぁぁぁっ!」
鞭持った手でぐりぐりと捻られてしまう私のほっぺた。
「ひたぃ、ひたぃですへんへぃ」
「わたしが! どれだけ泣いても嫌がってもやめてくれなかったんだからね? 覚悟しなさいね桜ちゃんうふふふふふぅ」
先生の眼に燃える炎。マジです。かなりマジです。
わたし、絶望的にぴんちって奴でしょうか。
「ああっ、これがシロウのおちんちんなんですね、くはっ……大きい」
「凄い、ライダーのアソコ、ぱっくり開いちゃって飲み込んでる」
「っくふっ! ライダーの、きつい……うあぁ、締め付けがっ!」
「シロウ……そんな切なそうな」
部屋の向こうからは楽しそうな艶声が響き渡ってきます。
「まずは目隠しよねぇ。見えない状態だと本当に敏感になるんだからそのあとおもらししてるイヤラシイ桜ちゃんのアソコに蓋してしっかりしつけするところから始めないと……」
そして目の前には本当にタノシソウに うふふふふ、と昏い笑顔で計画を語りだす先生。
ううっ、一体どこで間違えたというのでしょう。
先生も気持ちよくなって楽しんでいたというのに、理不尽です。
完璧な計画だった筈なのにぃ。
「さぁて、無理やりいぢめられた恨み、思い知りなさい!」
「いやー、ぼうりょくはんたいですー!」
/衛宮の野望 -調略編- ・了
「桜が黒すぎだ! こんなの桜じゃないやい!」
「仕様です」
「トラに性は似合わない筈じゃなかったんですか! 謝罪と賠償を(ry」
「ネコの躾は最初の内が肝心だと気づきました」
「そもそもなんで桜がバイセクシャルに?」
「あの顔は男も女もいけるに違いないです。そう決めました」
というわけで初めての方も前作お読みいただいた方もこんにちわ。MARです。
前作「衛宮の野望」が妙に好評で、こうして続編を作る運びになりました。といっても前作自体一発ネタもいい所、全く流れも設定も考えていない状態でどうしようとあぅあぅ呻いている所に、ある方からの素敵な一言。
「トラを調教しましょう」
「それだー!」
で、こういう作品に相成りました。
書き始め時点ではこれほど長くなる予定は無かったのですが、気付いてみたら前作の二倍以上というとんでもねぇボリュームに。
いや、ちょっぴり妄想で暴走する桜視点の一人称が楽しかったのです(^^; 最後までお読み頂いた方、本当にありがとうございました。
そして拙作をお受け取り頂いた憧月翁さんには海よりも深い感謝を。毎回毎回、ご迷惑お掛け通しで頭が上がりません。
それでは、また次回の作品で……
「で、イリヤたんの出番まだぁ?」
「たぶん次回。メイドさんも一緒。でも予定は未定」
感想とかリクエストとかは下のフォーム(憧月翁に届きますが、転送致しますので)や掲示板でお願いします。
あるいは、MAR さんのサイト 硝子の月 へ。
©MAR