米軍普天間飛行場所属の攻撃ヘリコプターAH1が23日夜、渡名喜島のヘリポートに不時着した。米軍は「警告灯が点灯したので、予防着陸をした」と説明している。

 異常事態である。あまりにも異常だ。

 米軍機の相次ぐ事故やトラブルによって、沖縄の人々の暮らしが脅かされている現実を看過することはできない。人身被害が出る前にしかるべき措置を講じるよう政府・米軍に強く要求する。

 2016年12月、オスプレイが名護市安部の海岸に墜落し大破した。17年10月には、CH53大型ヘリが東村高江の民間地で炎上。12月には、CH53大型ヘリの窓が普天間第二小学校の運動場の真ん中に落下した。

 今年に入って1月6日に伊計島の海岸にUH1ヘリ、8日には読谷村の大型ホテル近くにAH1ヘリが不時着している。

 県議会は19日、普天間飛行場を5年以内(2019年2月末まで)に運用停止することなどを求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。

 宜野湾市議会も23日、原因究明まで普天間所属機の飛行停止と5年以内運用停止などを決議した。

 1年に2回も米軍ヘリが不時着した伊計島では、住民らが抗議集会を開いたばかりである。

 県は「非常事態」を宣言し、緊急県民大会の開催を提起すべきだ。あらゆる手段を駆使して政府・米軍に「沖縄の民意」をぶつけない限り、状況を変えることはできない。

■    ■

 安倍晋三首相は22日の施政方針演説で「米国に対し安全面に最大限配慮するとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう強く求めていく」と語った。

 県民の怒りや不安が極限に達しようとしているのに、その言葉からは、切実さがまったく伝わってこない。

 ヘリ不時着に抗議するため同日、キャンプ瑞慶覧を訪れた県議団に対し、在沖米海兵隊政務外交部長は「車も故障を知らせるランプがついたら停止する」と話したという。

 米軍からも事態の深刻さが伝わらない。

 安倍首相に聞きたい。

 米軍機によるトラブルは本土でも同じように相次いでいるのか。本土で起きていないのであれば、なぜ沖縄で集中しているのかを説明し、緊急に実効性のある対策を講じるべきだ。

 現状を放置するのは「沖縄差別」である。

■    ■

 安倍首相は施政方針演説で「学校や住宅に囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の全面返還を一日も早く成し遂げなければならない」とも語った。

 しかし自らが前知事と約束した普天間飛行場の「5年以内の運用停止」については一言も触れなかった。

 重大事故の発生を防ぐためには、普天間飛行場を5年以内の19年2月末までに閉鎖すべきだ。

 日米両政府が進めている米軍再編計画は沖縄の恒久的犠牲を前提にしたものであり、持続可能な安全保障政策ではない。