広島県からEM菌の水質浄化効果を否定する内容の報告書が出された事に対して、EM研究機構が抗議をしていました。
・EM菌の培養液は有機物と栄養塩類が高濃度に含まれることから「河川等の汚染源になり得る」という実験結果を報告した福島県に対しても、EM研究機構を含むEM推進側が抗議をしていた事については、既に本ブログで報告しています。
広島県に公文書(行政文書)の開示請求をした結果、広島県がEM研究機構からのクレームにどう対処したのか記録されている文書が入手できしましたので、紹介します。
※広島県の事例は、他の自治体の参考にもなるのではないかと思います。
(文書中の赤線と赤文字は片瀬が入れました)
※その後、EM研究機構はネット上に広島県とのやりとりを公開しています。
※広島県側は、EM研究機構側のペースに乗らないように、毅然として突っぱねる態度を貫きました。この対応は、県知事の指示によるものでした。
【副知事への説明】
【知事への説明】
※広島県知事の「放っておきましょう」という指示は、どう説明しても納得しない相手方に対しては妥当な対応だと思います。(「上に立つ人」がこの様にどっしりと構えた態度でいたことで、現場の職員は安心して対応できたろうと思います)
逆に、「上に立つ人」に振り回されてしまった自治体もありました。
次はその一例です。EM推進側は、EM菌を使った水質浄化活動を多くの自治体に売り込んでいました。青森県は元々はEM菌に対して距離をとっていましたが、EM菌に好意的な副知事が就任したことによって、方針が大きく変わってしまいました。
青森県の環境部門の担当職員はEM菌に対して懐疑的であり、特定企業の商品であることや宗教的な背景も感じ取って警戒していた様ですが、不本意にも推進活動に巻き込まれることになり、広島県の担当部署に相談していました。
これに対する広島県の担当職員の返信です。
※「今、…となりの室でせめぎあいをしています」という、臨場感あふれる記録文書です。広島県は知事の理解があったので、こうした状況でもブレずに対応できたのだと思います。
いずれの自治体の担当職員の方々も、本当にご苦労様です。m(_ _)m
(補足情報)青森県はその後、平成24年に朝日新聞に掲載されたEM批判記事などもあり、大きくEM菌離れが進みました。以前は、青森県から学校の環境教育にEM菌が提供されていましたが、現在は別の手段の提供に切り替えられています。
EM菌の利用について|青森県庁ウェブサイト Aomori Prefectural Government
取組・反映状況(25年6月末現在)県では、これまで、青森市内の小中学校が行う環境教育(EM菌の河川への散布等)に対して平成16年度から支援を行ってきましたが、地域の児童・生徒が河川環境に関心を持ち、河川愛護の気持ちが養われる機会を作るという目的において一定の効果をあげたものと判断し、平成25年度からは、新たに各地域の関係者と協議し、河川の水質の簡易調査キットの提供等により、河川に関する環境教育への支援を継続し、河川愛護活動の振興を図ることとしています。
【追記】
広島県は、あらかじめEM側からの抗議を予想して「想定問答集」を作成していました。おそらくEM研究機構に対しても、こうした説明をしていたと思われます。
※とても理路整然とした回答を用意していたことが分かります。