世界的に高い評価を受け、日本人も自画自賛する日本流の接客サービス。だが、日経ビジネスが実施したアンケート調査からは「提供者は良かれと思って実施しているサービスでも、モノによっては消費者から歓迎されていない、ときには、それが原因で客を遠ざけかねないものさえあるという現実」が浮き彫りになった。
日本滞在25年。米国出身のタレントであるパックンさんに「ちょっと待った」と感じる日本のサービスについて聞いた。
東京五輪を控え、日本のおもてなしを誇る声が高まっています。日本を訪れる外国人の数も年々、増加し2017年は2800万人を超え、過去最高を記録しました。一方で、そうした外国人の方にとって、日本のサービスには違和感を覚えることもあると思います。誰もが悪いと感じるサービスは論外ですが、日本人だけがよいと感じているサービスにはどのようなものがありますか。
パトリック・ハーラン氏(以下、パックン):日本のサービスは基礎レベルが高い。世界一と言われるのもその通りだと思います。だから、日本のサービスで欠点挙げるのは正直、難しい。ですが、あえていくつか指摘したいと思います。
まず、お話したいのは過剰包装ですね。買った商品を包む袋は一つでいいです。スーパーなどで肉を買うとき、肉がパックに入っているのにさらにビニール袋で包んでその上から紙で包むようなことはよくありますよね。これは時間がかかるし、袋がもったいない。家に帰っても同じこと。出すのに時間がかかって面倒だし、ゴミが出てもったいない。
一般論として日本のサービスはすごくいい半面、時間がかかりますよね。
ほかの例では美容室。マッサージは正直、いらない。僕は髪が短いのに「1時間もかかるのはどういうことだ」と思います。
日本の美容院は髪をカットするだけじゃなくてリンス、ブロー、セット、さらにはマッサージまでしてくれる。しかも、そこまでやっても値段は6000円などとお買い得。ですから知り合いの米国人の間ではとても丁寧だと大好評ですが、僕は性格上、急ぎたい。
必要ないサービスを断るのが億劫
行きつけの美容室は僕のことを分かっているから、余計なサービスはしない。だけど、初めて入ったところは、こちらから説明して、一つひとつのサービスを断らないといけない。それはちょっと億劫に感じます。
確かに日本ではカットのみでほかのサービスを別料金で加算していくシステムを採用している店は少ないですね。
パックン:日本はマニュアルによる教育がとてもよく機能していて、丁寧なサービスをどの店舗でもぶれることなく受けられると思います。その一方で、少し融通が利かないと感じることもありますね。
美容院の例もそうですが、もっと分かりやすい例ではランチのセットメニューがあります。Aセットには主食にサラダが付いている一方、Bセットには野菜炒めが付いているといった場合。Aセットの主食にしたいが、サラダではなく野菜炒めをセットにしたい。だけれど、そのセットがないから、「すみません、Aセットでサラダを野菜炒めに交換してもらえますか。差額は払います」と頼んでも「申し訳ありません、そのようなセットは用意がございません」と言われてしまいます。
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