本白根山、最近の火山活動なし=噴火速報発表できず-気象庁
気象庁の斎藤誠火山課長は23日午後、群馬県・草津白根山のうち本白根山の鏡池付近で発生した噴火について記者会見し、最近の火山活動は鏡池から約2キロ北に離れた白根山の湯釜付近が中心で、鏡池付近の活動はなかったことを明らかにした。
斎藤課長によると、本白根山は約3000年前に噴火した記録があるものの、同課長は「次に噴火する可能性が高いと思ったのは(白根山の)山頂火口だった」と説明した。鏡池付近を監視するカメラは設置しておらず、同日夜、取材に応じた小久保一哉・火山活動評価解析官は「火山性地震や傾斜変動などはさかのぼってもなく、本白根山近くに観測機器があっても前兆はつかまえられなかっただろう」と話した。
23日午前9時59分に火山性微動が発生し、約8分間続いたが、カメラの映像がなく噴火かどうか直ちに判断できなかった。このため、噴火後直ちに知らせる「噴火速報」の発表ができなかったという。噴火速報は2014年に長野・岐阜県境の御嶽山で起きた噴火をきっかけに導入された。
気象庁は24日以降、本白根山周辺に監視カメラや地震計などを追加設置する。
現地入りした気象庁の火山機動観測班は、白根火山ロープウェイのゴンドラに飛び込んだ直径5センチぐらいの噴石を回収。今後、専門家が成分を分析する。また、本白根山から北東に8キロ離れた群馬県中之条町で降灰を確認した。
噴火直後の午前10~11時に140回あった火山性地震は次第に減少し、午後3~4時に18回となった。小久保氏は「そのまま収まるかは現時点で言えない。しばらくは警戒が必要」と話した。