株式市場の流れを知りたいなら、まずは移動平均線を学ぼう!
株式取引の初心者の人によくある行動パターンに
「チャートの見方はわからないけど、上がるか下がるかのどちらかなんだから、勢いでどーんと買ってしまおう!」
という人が居ます。
ちょっと待ってください!
それではただのギャンブルです!
株式投資に限ったことではないのですが、投資は計画的に行わなければ、
思わぬ損害を被る可能性が高くなります。
何も知らずに株式投資の世界に踏み込むという事は、
何の装備や武器も持たずにジャングルに入るのと同じことです。
運が良ければ生き残れますが、最悪の場合は…。
だから準備はしっかりと整えておきましょう!
チャートの見方を知っておけば、市場の流れや売買のタイミングがわかり、グーンと勝率をあげることができます。
そこで今回はテクニカル分析*1の基本中の基本、「移動平均線」の基礎知識と見方を解説していきたいと思います。
「え~?チャートの見方ってなんか難しそう…」
そんなイメージをお持ちの方も大丈夫!移動平均線の基礎的な知識から、実際のチャートを例にして解説もしていきます!
それではさっそく、色々な応用にも使える、最もポピュラーなテクニカル分析の1つ「移動平均線」の解説をスタートしていきます!
目次
- 株式市場の流れを知りたいなら、まずは移動平均線を学ぼう!
移動平均線とは何か?
移動平均線とは「一定期間の株価の終値の平均値を繋げていってできる線グラフ」のことです。
もっと噛みくだいて言うと、「だいたいの株価の流れをおおまかに表してる線グラフ」です。
移動平均線の成り立ち
それでは、その移動平均線はどうやってできているのかを説明していきます。
ここに、ある銘柄の5日間の株価の終値があります。
(終値とは…その日の最後に売買された値段)
- 1日目・100円
- 2日目・102円
- 3日目・103円
- 4日目・104円
- 5日目・101円
この5日間の平均値を出すと(100+102+103+104+101)÷5=102で
平均値は102円となります。
今度は6日目から数えて5日間の株価の平均値、つまり2日目~6日目の平均値を出していきます。
- 2日目・102円
- 3日目・103円
- 4日目・104円
- 5日目・101円
- 6日目・105円
(102+103+104+101+105)÷5=103となり
6日目から数えて5日間の株価の平均値は103円となります。
同じように、7日目から数えて5日間の株価の平均値、8日目から数えて5日間の平均値、9日目から数えて5日間……
と、それぞれの平均値を出していきます。
そして、そのそれぞれの平均値を線で繋いでできた線グラフが「移動平均線」になります。
移動平均線の期間
平均値を出す時の期間は自由に設定できます。
上記の例では、5日間の平均値を繋いでいきましたので、「5日移動平均線」と呼びます。
同じように
25日間の平均値を繋いでいけば「25日移動平均線」
75日間の平均値を繋いでいけば「75日移動平均線」
というふうに、その期間の日数が名前に付いていきます。
そして、よく使われるのが
5日・25日・50日・75日・200日などの平均移動線です。
なぜこれらがよく使われるのかというと、1週間に株式市場の営業日は平日の5日間あり、1ヵ月ではだいたい25日、2か月では約50日、三か月では約75日、1年では約200日、営業日があります。
だから営業日に近い日数のものが主に使われているのです。
日々の動きを表した「日足」の移動平均線をご紹介しましたが、
他にも週単位の動きを表す「週足」や月単位の動きを表す「月足」の移動平均線があります。
週足の移動平均線でよく使われる期間は13週、26週、52週
月足の移動平均線でよく使われる期間は12ヶ月、24ヶ月、60ヶ月
となっています。
投資の手法やスタイルによって、どの期間の移動平均線を使うかが変わってきます。
複数の移動平均線を同時に使う投資家も多いです。
そのことについては後程、解説いたします。
移動平均線を見ると何がわかるのか?
それでは移動平均線を見ると何がわかるのかを説明していきましょう。
その1・株価のおおまかな流れを視覚から直感的に理解できる。
まず第一に、移動平均線を見ることで「それまでの株価のおおまかな流れ」を知ることができます。
株価は日々、その値を上下させジグザグの動きを見せます。これが場合によっては見づらく、どちらに進んでいるのか方向性がわかりにくい時があります。
その点、移動平均線は平均値を繋げてできた線なので、株価の値動きより緩やかで滑らかな線を描いていきます。
だから移動平均線を見ると、株価のだいたいの流れを一目で直感的に把握しやすいのです。
パッと見ればすぐに流れを理解することができるのが移動平均線の便利な点の1つです。
その2・一定期間の平均購入価格がわかる。
移動平均線とは言い換えれば、その期間に買われた(売られた)値段の平均を表す線グラフです。
そして、その移動平均線より株価が上にある時は、含み益が出ている人が多い可能性が高く、
逆に移動平均線より株価が下にある時は、含み損をしている人が多い可能性が高くなります。
そういったことを見ることで、今の株価がどういう状況にあるのかを把握し、参加者達の心理はどう動いているのかを推測することができます。
その3・上昇トレンドと下降トレンド
そして、移動平均線の向きにも注目してみましょう。
移動平均線が上向きに上昇していることを「上昇トレンド」、
逆に下向きに下降しているものを「下降トレンド」と呼びます。
上昇トレンドにある銘柄の株価は上がりやすい流れに、
そして下降トレンドにある銘柄は株価が下がりやすい流れになっています。
株式取引を行う際には、こういった様々な「流れ」を読むことが非常に重要になってきます。
うまく流れに乗るためにも、 移動平均線を上手に活用していきましょう。
投資スタイルによる移動平均線の使い分け
投資のスタイルによって、短・中・長期のどの移動平均線を使うのかが変わってきます。
1日で売買を完結させるデイトレーダーなどは、中長期のトレンドはあまり気にして居ないようです。
それでは逆に、中長期の投資を考えている投資家は、短期の移動平均線は気にしていないのかというと、そういうわけではありません。
移動平均線は、一定の期間の平均値から割り出されていくというその性質上、株価の動きに遅れて反応を起こします。
例えば、上昇トレンドが起きる時は、まず株価が先にあがり、それについていくように短期の移動平均線が上昇し始めます。
続いて中期、長期というように順番にそれぞれの移動平均線がゆっくりと反応していきます。
とすると、中長期だけの移動平均線を見ていると、実際の市場の動きとズレが生じるために、何かあった時に対応に遅れてしまうことがあります。
なので、中長期投資を心がけている人は、短・中・長期と全体的に俯瞰して様子を見た方が得策ということになります。
中にはファンダメンタルズ分析(企業分析) に自信があり、チャートはまったく見ないという人も居ます。
投資方法は人それぞれです。自分に合うものを探すと良いでしょう。
私が25日移動平均線を使う理由
さて、それでは私は主にどの期間の平均移動線を使っているのかをお話していきます。
私は、取引きの際は主に25日移動平均線を基準に売買しています。
75日・200日など中長期のトレンドも確認するようにしていますが、
市場の変化に臨機応変に対応していくには、5日移動平均線で判断するには早すぎ、75日移動平均線では判断するには遅すぎるという理由から「25日移動平均線が妥当」と考えています。
しかし銘柄によっては、別の移動平均線を基準に売買することもあるので、「この移動平均線を使うのが最適だ!」という答えはありません。
それでも使い勝手の良い25日移動平均線を好んで使用することが私の場合は多いです。
実際にチャートを見てみよう!
さて、移動平均線の概要は理解できましたでしょうか?
なんとなくの理解で結構です。わたしも未だに、なんとなくでしかわかっていません!(笑)
こういう事は頭でごちゃごちゃと考えるよりも実際にチャートを見て慣れた方がわかりやすいでしょう。まずは株価のチャート見る習慣をつけることが大切です。
それでは練習がてらに、実際のチャートを例にして移動平均線を見ていきましょう!
例その1…おおまかに流れを捉えてみよう!
ここにある銘柄の株価のチャートがあります。
赤と青の棒の様な形のものは「ローソク足」と言って日々の株価の上げ下げを表しています。
黄色い滑らかな線が25日移動平均線です。
まずはなんとなくで良いので、だいたいの流れを捉えてみましょう。
順調に上昇トレンドを描いていたものが、ある時を境に下向きに進み続けています。
だからこの銘柄の25日移動平均線は下降トレンドにあると言えます。
ポイントは株価が移動平均線を割り込んだ時に、下降トレンドが始まっているという部分なのですが、
とりあえずは「ああ、今この株は下がる流れにあるのだなぁ」という事を理解しておきましょう。
例その2…トレンドが変わる部分に注目してみよう!
さて、次に別の銘柄のチャートを見てみましょう。
同じく使用しているのは、25日移動平均線です。
この銘柄は波を打つように上昇→下降→上昇とトレンドが転換しています。
今度は、その転換点に注目してチャートを見ていきましょう。
最初は上昇トレンドを描いていますが、株価が移動平均線の下に割り込んだことで、下降トレンドに転じています。
しかしその後、株価は下げ止まり、上昇を始めて移動平均線を超え、そこから上昇トレンドが始まりました。
これらを見て分かるように、株価が移動平均線を突破した(もしくは割り込んだ)時、トレンドが転換する場合があります。
必ずしもそうなるというわけでなく、株価が移動平均線を突破したものの再びすぐに下がって移動平均線を割り込んでいったり、逆に株価が移動平均線を割り込んでも、すぐにあがって再び移動平均線を超えていくという事もよくあります。
しかし、トレンドが転換する可能性がある重要なポイントとなりますので、チャートを見る時は注目しておくと良いでしょう。
例その3…2本の移動平均線を活用してみよう!「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」
それでは今度は2本の移動平均線を同時に表示させてチャートを見てみましょう。
黄色の線が25日移動平均線で、紫の線が75日移動平均線になります。
このチャートで注目すべき点は、25日移動平均線が75日移動平均線を下から上にクロスして突き抜けている部分です。
このように短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に突き抜けていくことを
「ゴールデンクロス」と言います。
逆に短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下にクロスして抜けていくことを
「デッドクロス」と言います。
デッドクロスが発生しているチャートがこちらになります。
黄色の25日移動平均線が紫の75日移動平均線に、上から下にクロスしています。
デッドクロスの条件は、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下にクロスすることなので、このチャートからデッドクロスが発生している事がわかります。
さて、この「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」の2つは何に使えるのかというと、
売買のタイミングを計るポイントとして活用することができます。
ゴールデンクロスは株価が下落したあとに上昇に転じると現れる現象なので「買い」のサイン、
そしてデッドクロスは株価が上昇したあとで下落に転じた時に現れる現象なので「売り」のサインと言われています。
これらを使えば必ずしも良い結果が出るというワケではないのですが、うまくいった時はチャンスを掴めたり、ピンチを脱したりすることができます。
いろいろなチャートを見て、ゴールデンクロスやデッドクロスが発生しているチャートのその後を観察してみるのも、良い勉強になるでしょう。
このように、複数の移動平均線を活用することで売買のタイミングを計る方法もあります。
こういった方法を使うか使わないかは自由ですが、非常にポピュラーな手法なので知っておいて損はないでしょう。
私はゴールデンクロスとデッドクロスを使って株の取引を行うことはあまりないのですが、
最も有名な手法の1つなので、投資家の共通認識として頭の片隅に置くようにしています。
「そういう手法を使う人達が居る」というのを知っておいて、不利にはなることはありません。
むしろ、知っていることで人の心理や行動パターンを先読みしたりと有利に戦略を進めることも場合によっては可能です。
だから、いろいろな投資のスタイルを知っておくのも良い事だと思います。
そして「これは使える!」「自分に合っている!」というものがあれば試してみて、
自分の投資手法や戦略を磨いていくのも良いでしょう。
例その4…3本の移動平均線を見てみよう!「パーフェクトオーダー」の条件
さて、次はいよいよ3本の移動平均線を同時に見てみましょう!
表示されている移動平均線はそれぞれ以下の通りです。
黄色…25日移動平均線
紫色…75日移動平均線
赤色…200日移動平均線
さて、このチャートの目を見張る部分は、上から短期、中期、長期の順に平均移動線が並んでいて、それぞれが同じ方向に上昇トレンドを描いている部分です。
この現象を「パーフェクトオーダー」といいます。
このようにキレイに並んで移動平均線が推移している状態は、そのトレンドの勢いが強いことを表しています。
この状態にうまく乗れると、大きく利益を伸ばすことができます。
しかし、この順序よく並んでいるキレイな状態が崩れ始めると、トレンドの転換が起こる場合があるので注意しましょう。
当然、下落時のパーフェクトオーダーも存在します。
この場合の移動平均線の並びは、上から長期・中期・短期となり、傾きはすべて下降トレンドとなります。下落の流れが強い状態に現れます。
下落時のパーフェクトオーダーが発生しているチャートがこちらになります。
この銘柄が欲しいという場合は、下げ止まり、底を打つのを確認するまで手を出さない方が良いでしょう。
初心者はトレンドには逆らわない方が無難です。
このように、3本の移動平均線を使い相場の流れを知ることもできます。
1本2本3本…といろいろ組み合わせて使っていく良いでしょう。
株式投資は流れを読むことが大切!「移動平均線」の見方を初心者にもわかりやすく解説!まとめ
さあ、ここまでざっとですが、移動平均線を説明してきました。
使い方はシンプルで、初心者の方にも非常に馴染みやすい指標だと思います。
しかし、これらの内容は移動平均線のほんの一部に過ぎません。
移動平均線はそのシンプルゆえ、さまざまなことに応用が利き発展性が高いのです。
そして他の指標と組み合わせることで、更に便利な使い方をすることができます。
そのために、まずは移動平均線の基礎的な使い方の1つ、「流れを見る」ということに慣れておきましょう。
「流れを把握する」という事は株式取引では、将来の結果を左右するほどの非常に重要な要素となっていきます。
今後、移動平均線を使った便利で効果的な売買方法なども別記事でお伝えしていきますので、移動平均線を知らなかった人はこの際に覚えておきましょう!
※移動平均線を活用した売買方法についての記事は現在編集中です。お待ちください。
それでは今回はここまでとなります。お読みいただきありがとうございました!
※投資は全て自己責任で行いください。
*1:チャートを見て売買のタイミングを計る分析方法