草津白根山噴火、雪崩…2人重体で10人負傷
同火山の噴火は1983年12月以来
気象庁は23日、群馬県西部にある草津白根山の本白根山(標高2171メートル)が同日午前9時59分頃、噴火したと発表した。
同庁は草津白根山を「噴火警戒レベル3(入山規制)」に引き上げるとともに「さらなる噴火の可能性がある。噴石に注意し、絶対に山に近付かないでほしい」と警戒を呼びかけている。噴石のほか、付近で雪崩が発生したとみられ、警察庁によると12人が負傷し、うち2人が重体。群馬県の大沢正明知事は自衛隊に災害派遣要請をした。
気象庁は噴火直後、5段階ある噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)に引き上げる火口周辺警報を発表。さらに噴火の可能性があるとして、午前11時50分に3(入山規制)に引き上げた。
群馬県吾妻広域消防本部などによると、現場近くに着いた消防隊員から草津町の草津国際スキー場で雪崩が起きていると連絡があった。付近でゴンドラに乗っていた人が、噴石が当たって割れたとみられる窓の破片でけがをしたほか、スノーボーダー1人が負傷するなどした。
警察庁によると、負傷した12人のうち10人は、スキー場内のレストハウスに搬送された。重体以外は少なくとも3人が重傷。
気象庁の発表によると、同日午前9時59分に振幅の大きな火山性微動を観測した。火口からおよそ2キロの範囲に対し、噴石などに警戒するよう呼びかけている。
防衛省によると、スキー場で訓練中だった陸上自衛隊第12旅団(司令部・群馬県榛東村)第12ヘリコプター隊の隊員6人が一時雪崩に巻き込まれ、直後に救助された。骨折している隊員がいるが、全員意識はあるという。
第12旅団は群馬、栃木、長野、新潟の4県を管轄。雪崩の当時、30人が雪山を想定したスキー訓練を行っていたという。積雪は約2メートルだった。
草津白根山が噴火したのは1983年12月以来。気象庁の資料によると、この前月の噴火時は噴石が湯釜火口から約600メートル離れた場所まで飛散した。山頂火口付近では、1932年10月、1902年9月、1882年8月にも噴石を伴う噴火が発生している。近年も火山性地震などが続き、気象庁は注意を呼びかけていた。