噴石を確認
気象庁は23日、草津白根山(群馬、長野県境)が同日午前10時ごろに噴火したと発表した。振幅の大きい火山性微動を観測した。一方、同日午前10時10分ごろ、近くの群馬県草津町の草津国際スキー場で雪崩が発生したと通報があった。警察庁によると、付近で訓練中だった自衛隊員8人を含む12人がけがをしている。うち2人が重体で、3人が重傷、2人が軽傷。残り5人のけがの程度は不明。雪崩に巻き込まれたり、噴火による噴石でけがをしたりしたとみられる。
スキー場によると、雪崩が起きたとみられるのはスキー場の清水沢付近。スキー場では停電が発生した。
陸上自衛隊によると、陸自第12旅団第12ヘリコプター隊(同県榛東村)の隊員6人が雪崩に巻き込まれたが、いずれも救出された。同隊は当時、草津国際スキー場で計30人で冬季のスキー訓練をしており、残り24人は無事だった。群馬県知事は午前10時51分、同旅団に災害派遣要請をした。
警察庁によると、軽傷の2人はロープウエーのゴンドラに乗っていてけがをしたとみられる。
気象庁によると、草津白根山から煙が上がっているとの通報を受けデータを確認したところ、傾斜変動や振幅の大きな火山性微動が観測され、噴火したと判断した。東京工業大の観測で、鏡池付近から1キロ以上飛んでいる噴石も確認されたという。
草津白根山は2014年以降、火山活動が活発な状況にあり、噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)だったが、昨年6月、火山ガスの濃度が低下傾向に転じているなどとしてレベルを1(活火山であることに留意)に引き下げていた。同庁火山課は、今回の噴火前にレベル2に引き上げるような前兆現象は確認されておらず、事前にレベルを引き上げることはできなかったとしている。
同庁は午前11時5分に噴火警戒レベルを1から2に引き上げ、さらに同50分に3(入山規制)に上げた。鏡池付近から2キロの範囲では、大きな噴石に警戒するよう呼びかけている。【杉直樹、飯田和樹、前谷宏】