せーのでYouTube見てチャットをする。有名映画テレビ放映もこれでいいのでは
有名アニメのテレビ放映があるとTwitterなどのSNSで話題になる。テレビを見ながらああだこうだいって盛り上がるのだ。
なぜ盛り上がるのか。テレビは同時に放送してるからだ。今この時間同じものを見ている。 しかしそれならせーので同時に何かをしてみんなでああだこうだ喋ればそれだけでおもしろいのではないか。 せーので見るYouTube、せーので読む読書、せーので折る折り紙などなど、実験をした。
1980年生。明日のアーというコントのユニットをはじめました。動画コーナープープーテレビも担当。記事はまじめに書いてます
前の記事:「映画館を借り切ってスクリーンでTwitterをする」 人気記事:「リカちゃん人形をダンボールで作ると泣けます」 > 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー 各自家からチャットで連絡をとる各家にてせーので何かをして会話はチャットで行う。
参加者は知り合い4人、途中時間切れで1人退席の3人。少なめだが結果的に盛り上がったのでこれでよかった。知らない人が多いと発言しにくいし、3人くらいいればいいのだろう。 各家で映像を見てMessengerでチャットをする
まずはYouTubeで古い映画をまずはテレビのアニメ放映とできるだけ条件が近いものを。せーので同時に映像作品を見ることにした。
今回は著作権切れの映画『雨月物語』をYouTubeで見ることにした。日本の白黒の映画だ。ラピュタや君の名はなどの話題の作品でなくても成立するのだろうか。 結果からいうと同時に見る映像はなんでもよかった。もう題材を血祭りにするほどすさまじく盛り上がるのだ。 せーのでYouTubeに上がってる雨月物語の再生ボタンを押すのだ
<チャットのログから>
東:せーので再生ですか? 大北:せーので0:00から再生ですね 東:ページ開いて待機してます 古賀:わたしも待機できてます! うな:同じく 大北:次のメッセージでせーのだします 大北:せーの せーの!
大北:せーの
大北:ヴェニス!! (ここで映画からは鼓の音、配役表) 東:ヨォ~ッ 大北:いよー! 東:うなるなぁ 大北:うなりますねえ 東:京マチ子! 東:敗残兵でてくるのか うな:いよー!! (画面は風景) 大北:山~っ 東:琵琶湖! 大北:琵琶湖の北! 「大北:ヴェニス!!」どうでもいい字幕からでも大盛り上がりだ
時間をオーバーするほどに楽しかったこの調子で30分鑑賞をした。結果、時間をオーバーするほど盛り上がった。やってみてすぐ感じたのはこれが「声を出していい映画館だ」ということ。友達と喋りながら自由に映画を見ている感じである。チャットのログにも感想が残っている。
古賀:すごいおもしろかった…。あとで続き見ます… 大北:喋りまくれるからおもしろい 古賀:1人じゃどきどきしすぎて無理 うな:実際の応援上映よりこっちのほうが好きかもです。 さて何がおもしろかったのか。気づいたところをまとめてみた。 ・どうでもいいことに大興奮 とにかく画面に映るものに声を上げる。 俳優名ならそれは歌舞伎のようであるが、「山!」だとか「槍!」「ろくろ!」すべてに対して声をあげていく。 一体なにが「山!」なんだろうか。声をあげていること自体くだらなくて笑う。 これは"応援上映"と呼ばれるものに非常に近い。応援上映というなんでも声を出す映画鑑賞スタイルがある。画面に映るものすべてに声を上げて応援していく。物事を全肯定する幸福とくだらなさが同時に押し寄せて楽しくなるのだ。 盛り上がった場面、山。あと琵琶湖。もはやなんでもいい。今見てるものを共有して確認することが快感なのだ
・脱落しない
時代もちがえばセリフも聞き取りにくい。うっかりすると置いていかれる。しかしわからないところをすぐにでも聞ける。結果、物語にずっとついていけるのだ。 わからないところを助けてもらえるし、複数で行動してるのだから勝手に抜けるのも気が引ける。なので小難しい映画でも脱落しない。 この時、子守しながら様子だけ見てた人から「席外して見てない時の経過をログ的に追えるというメリットがある」という意見もあった。 ・ツッコミを共有できる 劇中、登場人物が心情を一人で吐露する場面がある。自分で自分の気持ちを独り言しているのだ。 大北:内面!内面! うな:頭にかぶってるのなんですかね? 古賀:声を出して内面描写した 大北:内面が漏れ出てるよ! 東:昔の映画も内面しゃべってよかったんだ ああ、なんて気持ちがいいのだろうか! むずむずする違和感を声に出してお互いに共有してスッと解消する。自分の気づかなかった視点に笑わされたり、このような違和感を共有したり。 それ自体に笑ってしまうし、とても楽しい。 ・知ってる人の安心感 これは「映像に合わせてコメントを書く」という遊びである。それってニコニコ動画だよね、とお思いの方もいるだろう。 そういうWebサービスがあるのだが、あちらは匿名の大多数ユーザーが書き込む場所である。今回それと違うのは「知り合いだけで小さくやってる」ことだろう。 その分発言の敷居が下がるし、知ってる人であるから発言のおもしろさも上がる。クローズのコミュニティでやっているからこそのおもしろさがある。 参加者の古賀さんから後日みんなに雨月物語の残りの感想が送られてきた。1人だけのチャットである。よほど楽しかったのだろうな…
さあ、映像はすさまじく盛り上がった。楽しかった。エンタメであった。グルーヴを感じた。ラピュタのテレビ放送と同じことは「せーのでYouTube(Netflixでもなんでも)」でも可能である。
さてここからだ。この「せーのでやる」はどこまで適用可能なのだろうか。
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