先日、出演したテレビ番組で、「飲食業会で急増する“お得なサービス”」という特集があった。
月2000円を払えば、一回の来店に付きハンドドリップのコーヒーが一杯飲めるコーヒースタンド。毎日来てもいい。いや、朝晩来てもいい。いやいや、一日何回でも無制限に来店していいので、行けば行くほど、お得になる。
店長曰く、「来店するお客さんはコーヒーを飲むだけじゃなく、サンドイッチなども買ってくれるので利益はかなり大きい」とのこと。
また月8600円で毎日、豚骨、味噌、汁なしの中から選んで一杯食べられるラーメン屋さんもある。大きなチャーシューとモヤシがトッピングされた、かなりボリュームのあるラーメンである。
店長曰く、「お客さんが新規のお客さんを連れて来ることが多いので、お店の売り上げは昨年比を大幅にクリアしている」とのこと。
極め付けは月に1万5000円支払うと、料理食べ放題とワイン飲み放題が、何度でも楽しめるフレンチレストラン。店の雰囲気はかなりおしゃれ。ワインの種類も豊富にある。
やはり店長曰く、「連休や天気が悪くなったりするとキャンセルが増えるが、定額だとそれを心配する必要がない」とのこと。
どれもこれも「こんなにお客さんにサービスしちゃって、お店は損しちゃうんじゃない?」と傍目には心配になる。だけど、なるほど、“定額制”はお店にとってお得なサービスらしい。
で、まさかまさか「その流れに乗っちゃえ!」ってことではないのだろうけど、定額制が「働き方改革」に盛り込まれることになった。今国会で「企画業務型裁量労働制の適用拡大」、別名「定額働かせ放題法」が成立する見通しである。
年収の制限なく「働かせ放題」って
厚生労働省の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」の答申には、次のような一文がある。
「企画業務型裁量労働制の対象業務への『課題解決型の開発提案業務』と『裁量的にPDCAを回す業務』の追加と、高度プロフェッショナル制度の創設等を行う」
メディアでは「高度プロフェッショナル制度」、いわゆる“残業代ゼロ法案”のことばかりが取り上げられているが、「裁量労働制の拡大」は運用次第では相当にタチの悪い法案になる。どちらも法律が定める労働時間規制から完全に逸脱する制度であるが、最大の違いは年収の制限の有無だ。
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