(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年1月15日付)
米タレントで女優のオプラ・ウィンフリーさん。第87回米アカデミー賞授賞式で(2015年2月22日撮影)。(c)AFP PHOTO / Robyn BECK〔AFPBB News〕
人の気持ちをくみ取って共感することにかけて抜群の能力を誇るオプラ・ウィンフリーが、2020年の大統領選挙でドナルド・トランプ氏を倒す夢の民主党候補として浮上するのは、必然に思える。
アフリカ系米国人の女性として、性的暴行やセクハラの被害に遭った女性たちの抗議運動である「#MeToo(ハッシュタグ・ミートゥー)」からアフリカ系米国人への不当な暴力に抗議している「ブラック・ライブズ・マター」に至るまで、アイデンティティーに関係する数々の政治問題や圧力団体に訴えかけることができるからだ。
しかし、テレビや映画、雑誌の大企業を率いる経営者であり、ここ数十年間の米国で最も高い人気を誇る万能型の女性メディアスターでもあるオプラは、中間層にも影響力を持っている。現大統領と同様に、誰でも知っているブランドなのだ。
実は、ここから垣間見える重要なポイントがある。
我々は今日、トップの数人、数社、さらに言うなら数カ所の地域が不釣り合いなほど大きな権力、富、関心を集める「スーパースター経済」の時代を生きているということだ。
1990年代の後半以降、スーパースター企業の台頭が著しい。
マッキンゼー・グローバル・インスティチュートによれば、米国企業が計上した利益の合計額に占める3業種――テクノロジー、金融、ヘルスケア・製薬――のシェアはこの20年ほどで3倍近くに拡大し、現在では約45%に達している(この3業種への集中は、ここまで顕著ではないにせよ、ほかの高所得国でも観察されている)。
だが、米国では次第に、この集中傾向が知的財産権との関わりが深いセクターだけでなく、経済全体へと広がりを見せている。