旬の牡蠣のうまみをストレートに味わう
冬のご馳走である「牡蠣」を使って作る、シンプルを極めたスープです。
牡蠣はむき身で売られています。砂を吐かせる必要もなく、実は貝の中では最も扱いやすいのです。
そしてその味わいは、貝を使ったうしお汁のなかでも別格。磯の香りとぷりっとした食感、そしてクリーミーな牡蠣の身の味わい、そしてだしのうまみは濃厚です。
こんな簡単なスープで、おいしさを覚えてしまえば、気軽に食卓に取り入れられるようになると思います。家で料理すれば経済的で、たっぷり食べられるのも魅力ですね。
牡蠣のうしお汁
材料(2人分) 所要時間約10分
牡蠣 250~300g
しょうが 1片
塩 小さじ1/2弱 ※このほか、洗浄用の塩軽くひとつかみ
水500mL
作り方
1 牡蠣を洗う
牡蠣をボウルに入れ★1塩をまぶして手で傷つけないように混ぜてから、水をとりかえつつ汚れを流すように洗ってざるに上げる。★2
2 水を沸かして牡蠣を入れる
鍋に水500mLを沸かし、牡蠣をそっと入れ、しょうがの薄切りを加えて身がぷっくりとふくらむまで煮る。★3
3 味をつける
塩を分量からやや少なめに加えて味をみて、足りないようならさらに加えて味をととのえる。
好みで千切り、またはおろししょうがを添える。
レシピのポイント解説
・牡蠣の選び方
・牡蠣の洗い方
・牡蠣の煮方
★1 牡蠣の選び方
牡蠣は「加熱用」を選びましょう。
牡蠣は必ず「加熱用」か「生食用」の表記がある
「生食用」のほうが鮮度がよいのでは?と思いがちですが、実はそうではなく、加熱用のほうがうまみや栄養成分が多く含まれているのです。
というのも、この分類は、
① 牡蠣が生育した海域
② 洗浄処理
の違いによるものです。
「生食用」の牡蠣は、保健所が水質検査などを行って生食での出荷がOKと指定した海域でとれた牡蠣を、さらに指定の方法で洗浄したもの。一方、「加熱用」の牡蠣は、それ以外の海域でとれたものなのです。
河口や湾岸部など含有成分が多い水域で育った「加熱用」の牡蠣は、うまみや栄養成分が多く含まれています。ただし保菌の可能性があるため、加熱用の牡蠣は絶対生では食べないでください。しっかり火を通しましょう。(厚生労働省のガイドラインには、二枚貝では中心温度が85度~90度で90秒以上の加熱が必要とあります)
★2 牡蠣の洗い方
さて、買ってきた牡蠣は汚れをきれいに洗いましょう。塩で洗うやり方が手軽です。
まず、牡蠣の水を切ってボウルに入れ、塩をまぶします。
塩で洗うと水っぽくならない
塩の量は手のひらで軽くひとつかみ。大さじ2~3ぐらいでしょうか。
洗い流してしまうので大体でOK
塩をまぶしたら、手でそっとなじませるようにかき混ぜます。
あまり強く混ぜて牡蠣が傷つかないよう
次に、真水で牡蠣を洗います。水は何度かとりかえましょう。
こちらも優しく、牡蠣をあまりさわらず、水のほうを混ぜて渦を作り、洗濯機のような感覚で洗います。
最初は牡蠣のひだの間の汚れがどっと出る
4~5回洗うと、水が澄んできれいに!
こうして洗えば、スープはもちろん、バター焼きや鍋など、何にでも利用できます。ただ、くり返しになりますが、どんなによく洗ってもこの牡蠣は生食はできません。
洗い上がったら、ざるに上げて水を切る
★3 牡蠣の煮方
あさりやはまぐりの潮汁の場合、閉じた貝を水から煮て貝が開いたら完成となりますが、牡蠣の場合は殻がない状態で調理をしますので、水からではなく熱湯で調理をはじめます。
湯をわかしたところに、さきほど洗った牡蠣を入れます。
熱い湯に牡蠣をいれるので一時的に温度が下がるが大丈夫
しょうがのスライスも入れて
煮ていくとアクが浮いてきます。それほど多くは出ませんが、気になる人はすくってください。
汁は濁っていてもOK
煮る時間は牡蠣によって違いますが、再沸騰後5~8分ぐらい。生のときは平べったかった牡蠣が、ぷっくりとふくらむまで煮ます。
箸で腹のところをつまんでみて弾力がしっかり感じられたら味をつけます。
牡蠣にはもともと塩味がついています。最初から塩を全部入れてしまわず、分量より少なめに入れて、味をみてみましょう。少し足りなければ残りの塩を足してまた味見してみてください。
おいしい時季の牡蠣を堪能しよう
もっとも多く流通しているマガキ(真牡蠣)の旬は、産卵期をむかえる秋から冬。夏が旬のイワガキ(岩牡蠣)もあります。
いまでは養殖技術や輸送技術によって、通年で牡蠣が食べられるようになりましたが、やはり安くおいしい牡蠣が手に入りやすいのは、秋から冬といえるでしょう。
鍋と塩さえあれば気軽に味わえるシンプルな食べ方です。
旬たけなわ、牡蠣がおいしい今のうちに一度お試しください!
【アレンジ】牡蠣のうまみを具にうつして
牡蠣以外の具を一緒に煮てもおいしいものです。普通鍋に入るような食材ならほとんど相性が良いと思いますが、プラスする具は先に入れ、牡蠣は熱々のところに入れて煮ましょう。
牡蠣と豆腐の潮汁
豆腐でボリュームを出した潮汁。牡蠣だけのときよりあっさり味になります。まず長ねぎ、それから豆腐を煮て、豆腐が煮え上がる前に牡蠣を加えて同時に煮上げます。
牡蠣の味噌汁
塩を味噌に変えただけ。驚きのうまさの贅沢味噌汁です。一人暮らしで鍋まではできなくても、だしいらずのこんな味噌汁なら気軽にできますね。しょうがをねぎに変えてもおいしいです。
リアル・スープ・レッスン
『薬膳スープと中華饅頭を楽しむ会』
日時:1月26日(金)19時~(開場:18時40分)
場所:神保町 Lab&Kitchen
会費:4.000円(スープと饅頭の試食つき、アルコール類はキャッシュオン)
定員:12名 持ち物:特になし
申し込み方法:こちらからお申込みください