総務省は22日、携帯電話市場に関する検討会「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の第3回会合を開いた。今回はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなど携帯電話大手を中心にヒアリングを実施した。前回までに格安スマートフォン(スマホ)事業者から指摘のあった、携帯電話大手のサブブランドであるワイモバイルやUQモバイルが混雑時でも高速通信サービスを提供していることへの疑念に対する反論を繰り広げた。
前回の会合で格安スマホサービス「マイネオ」を提供するケイ・オプティコムは、昼の混雑時に主要格安スマホの速度が毎秒1メガ(メガは100万)ビット前後に落ちるところ、ワイモバイルとUQモバイルは安定して毎秒10メガビットの速度が出ているという調査結果を発表。同様の品質を実現するには、高額な料金水準でないと実現できないとの意見を示していた。
KDDIはグループ会社が提供する「UQモバイル」を含め、すべての格安スマホ事業者に同等の条件でネットワークを貸していると説明した。貸し出し状況は総務省がチェックしており、「UQを含めて同一金額であることは総務省も確認済み」(古賀靖広理事)と指摘した。そのうえで、KDDIのように市場支配的ではない事業者の営業活動を制約するような過度な規制は、安価で多様なサービスの提供の妨げになると主張。一部の格安スマホ事業者から出ている規制強化の要望は必要ないと訴えた。UQモバイルも料金プランはネットワークの使用料を回収できる水準と説明。大量に投下しているテレビCM展開は「経営のなかで適切に負担しており、先行投資」(UQコミュニケーションズの西村紀彦執行役員)とした。
ソフトバンクも「ワイモバイルは同一会社内の1つのブランディングにすぎない」(松井敏彦渉外本部長)と説明。低価格帯の端末やサポートを一部有料などにして低料金を実現していると指摘した。ネットワークもワイモバイルだけ優遇している事実はないという。サブブランドの速度実態の検証が必要という意見には「ブランドの違いでしかないため検証は不要と考えているが、検証するのであれば結果に対する評価を明確にしてほしい」(松井本部長)と要望した。
立場によって意見が分かれる状況に対し、検討会のメンバーからは「横軸に契約者数、縦軸に帯域幅(ネットワークの使用量)を取り、一度、実態を検証してみれば」(北俊一野村総合研究所プリンシパル)といった提案が出た。サブブランドの速度問題に注目が集まる検討会だが、小林史明総務大臣政務官は「決して、サブブランドたたきが目的ではない。それぞれの立場の不満を解消することが目的だ」と発言。端末割引きや中古端末の流通の課題など、幅広い論点について結論を出していく考えを示した。