西部邁さん(78)が1月21日に亡くなった。亡くなる1カ月ほど前に出版した新著からは、自分の妻を看取った経験などをもとにした、死生観をつづった章がある。
2017年12月に出版した新著「保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱 」(講談社現代新書)の中で、人間の生き死にについてこう見解を述べている。
「述者は、結論から言うと、病院死を選びたくないと強く感じかつ考えている」
また、あとがき(11月付)では、娘に宛てるかたちでこうつづっている。この当時からすでに亡くなることを意識していたかのような記述があちこちにある。
「僕はそう遠くない時機にリタイアするつもりなので、そのあとは、できるだけ、僕のことは忘れて、悠々と人生を楽しんで欲しい。(中略)僕の知り合いたちにもそうしてほしい。(中略)述者の私的な振る舞いの予定日に、衆院総選挙が行われると判明した(中略)事態の成り行きにもう少しつきあってみるしかあるまい、と考え直すほかなくなった」
死去の知らせを受け、西部さんと親しくしていた研究者や著名人がTwitterで思い出や追悼の意をつづっている。
AERAの企画「師弟対談」で西部氏としていた中島岳史・東京工業大学教授は21日深夜、こう記した。
西部さんと「朝まで生テレビ」で共演した田原聡一朗さん、宮台真司・首都大学東京教授、猪瀬直樹元東京都知事も、思い出を振り返った。
かつて東大の「同僚」でもあった前東京都知事の舛添要一さんも、その死を悼んだ。
昨年末に対談していた、ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんも、米国に1カ月の語学ホームステイに向かうその日、訃報を聞いた。
小説家の柳美里さんも、出会った当時を振り返った。