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定年後のメンタル危機 備えは30~40代から!

日経Gooday

2018/1/20

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

 「1年ほど前に定年退職した元上司と連絡を取る機会があり、久しぶりに飲みに出かけたところ、現役時代とは打って変わって精彩を欠いた様子で驚いた。定年後も元気に生き生きと過ごしていくためには、どんな準備をしておいたらいいだろう」。これは、生命保険会社に勤務するYさん(43歳)からの相談です。定年後のメンタル危機を回避するためのヒントを帝京平成大学現代ライフ学部教授の渡部卓さんに伺いました。

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 2017年で61歳になった私は、相談者の元上司と同じ年頃だと思います。私は現在も大学で教壇に立っていますが、企業に勤めていた学生時代の友人たちは60歳で定年退職している人が少なくありません。継続雇用制度で働き続けている人もいますが、関連会社に出向するなど、働く環境は変化していることが多いようです。

 働き方改革の一環で、65歳までの定年延長や65歳以降の継続雇用延長、定年制の廃止などが進められており、今後は状況も変わってくるかもしれませんが、現在のところは60歳から65歳前後で勤め人生活に区切りをつける方が大半でしょう。

 それまで仕事一辺倒で来た人ほど、定年後に生活が一変して「今後どう生きていけばいいか分からない」と戸惑ったり、仕事という生きがいをなくして気力を失い、心身に不調を来したりする傾向が見られます。企業では50代の役職定年前後で定年退職を見据えた研修やセミナーなどを実施することが多いようですが、私はそれでは遅いと考えています。

 定年後の人生が10年、20年程度だった時代なら、それでもよかったかもしれません。しかし、「人生100年時代」といわれる今は、定年後の人生が30年、40年と続いていく可能性があります。その長い時間を健康で、楽しく生きていくためには、会社の定年とは関係なく、30代、40代のうちから、3つの観点を軸に自分の人生を考えていくことが重要です。

■ワークライフバランスに「ソーシャル」の観点を

 3つの観点とは、ワーク、ライフ、そして、ソーシャルです。ワークライフバランスという言葉が浸透して久しいですが、私はかねて「ワーク・ライフ・ソーシャルバランス」を提唱してきました。

【ワーク・ライフ・ソーシャルバランスで考えたいこと】

(1)ワーク…今の仕事、キャリア、定年後の仕事、起業、ボランティア など

(2)ライフ…心身の健康、趣味や運動などの楽しみ、家族や親友などストロング・タイズとの関わり など

(3)ソーシャル…地域などのコミュニティ、緩やかな絆でつながるウィーク・タイズとの関わり など

 ワークとは、今現在の仕事やキャリアのほか、定年後の仕事、起業、ボランティアなどです。ボランティアはソーシャルと考える向きもありますが、その活動に自分の居場所や役割、やりがいを見いだせるなら、ワークともいえるでしょう。

 ライフとは、心身の健康、趣味や運動をはじめとする楽しみ、家族や親友などストロング・タイズとの関わりなどです。

 ソーシャルとは、地域などのコミュニティや、緩やかな絆でつながるウィーク・タイズとの関わりなどが挙げられます。

 このほか、私の専門外ですが、収入や資産などお金の備えをしていくことも大切です。

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