oak_bottle_01今回は番外編として、セラヴィが発売するオークボトルを紹介します。

オークボトルとは、その名の通り、アメリカンオークで作られたボトルで、内側はウイスキーの樽のようにチャーリング(内面を焦)されています。

一般的なウイスキーを貯蔵する樽は200Lなのに対して、オークボトルは355mLと750mLの2種類になっています。
そのため、樽に比べると原酒全体に対する樽材の接触の割合が大きくなるため、樽材からしみ出される成分を多く吸収することとなり、樽での熟成に比べて極めて早く進めることが可能になっています。

ウイスキーの場合だと、目安は8~72時間となっています。それ以上熟成させることも可能ですが、却ってくどくなる恐れがあります。

使用する場合にはいくつかの注意点があります。

まず、使用する前に必ず水を入れて水分を含ませる必要があります。これをスウェッティングといいます。
そうしないと、乾燥した状態のオークボトルでは液漏れが発生する恐れがあるからです。
このスウェッティングは4~24時間行います。もしそれでも液漏れがある場合は、オークボトルに付属するワックスで漏れる箇所に塗って防止します。

スウェッティングが終わった所で、水を捨て、ウイスキーを注ぎます。

熟成が終わって注いだウイスキーをすべて出した後は、水を入れて洗います。この際、洗剤などを使ってはいけません。

そして再び熟成に使う場合、しばらく経過して乾燥したときには、再びスウェッティングが必要です。

今回は違いがわかりやすいよう、ニューポットの原酒を用意しました。
長濱蒸溜所の、長濱ニューメイク59° ライトピーテッドです。

左はオークボトルに入れる前、右は24時間熟成させたものです。
写真を見ても、明らかに色の違いがおわかりかと思います。
oak_bottle_02

実際にストレートで飲み比べてみます。
まず熟成前は、アルコールの刺激、辛さがしっかりしていて、ほんのりとスモーキーな香りはしますが、とてもきつい印象です。

一方で24時間熟成させたものにおいては、アルコールの刺激は抑えられ、バニラのような香りと樽のウッディさが加わり、まろやかな印象になっています。
ただし、アルコール度数が59度もあるので、辛さは依然としてしっかりやってきます。

トゥワイスアップにすると、熟成前は、ピートの香りがしっかりしますが、それ以上の香りはやってきません。
味わいにしても、ウオッカをそのまま飲んだ印象で特別な味わいはしません。

一方で24時間熟成させたものだと、香りにバニラ、バナナの香りが加わり、味わいも甘さを得られるようになります。
全体的に香りも味わいも薄いですが、ウイスキーらしさを感じられるレベルになります。

熟成させていないニューポットを使ったため、24時間ではまだ熟成に物足りなさを感じますが、国内の1000円未満で売られている安いウイスキーであれば、2日熟成させることでとても味わい深いウイスキーに変化することは十分予想できます。

価格は、355mLが9,000円、750mLが13,000円になります。
結構なお値段ですが、あまりお金をかけずに長期熟成のウイスキーを飲みたいのであれば、このオークボトルを買うのも一考でしょう。

なお、オークボトルではウイスキーだけでなく、赤ワインやブランデー、焼酎などの蒸留酒の熟成にも利用できます。
日本の焼酎は、財務省の規制によってウイスキーのような琥珀色になるほどの熟成が出来ないため、このオークボトルを使って長期熟成状態にすることも出来ます。
日本では買うことの出来ない長期熟成の焼酎を自分で生み出して楽しむのもいいですね。