長い休みから4日間の勤務を挟んで、また土曜日がやってきた。そしてまたしても遊びにいくのである。遊んでばかりである。
横浜駅で弁当を買って、8時8分の普通列車で西に下る。本日は根府川で降りて送迎のバスで杉本博司の江之浦測候所へ…という予定だったんですが、行く途中で確認していて、ミスに気が付く。ネットから買ったチケット、セブンイレブンで発券が必要だったんだ…。
根府川にセブンイレブンは無い。途中駅でセブンイレブンに寄ってから根府川に着いても、送迎バスは出た後。仕方ないので次の真鶴まで行き、駅前のセブンイレブンで発券して、タクシーで江之浦測候所に向かったのだった。
江之浦測候所は、杉本博司の小田原文化財団が、根府川と真鶴の間の海を見渡す丘の上に作り上げたアート施設。
完全予約制。10時~と13時~、夏はさらに16時~、それぞれ50人上限で予約を取っている。
入り口で詳細な注意事項を伝達されて、あとは2時間、敷地内をご自由にどうぞ、写真撮影もご自由にどうぞ、というわけ。
まず、この場所、立地が素晴らしすぎる。岬の突端の丘の上にあるので、多方面に海を見渡せる。そして、日ノ出を大きなテーマにして、杉本博司だなあ、としか言いようがないいろんな建造物が作られていたり、いろんな物体が配置されているわけですけどね。
個々のものについて解説しても仕方が無いのでいちいち説明しませんけどね。
そのへんに置いてある石1つからしてとんでもない来歴持ちばかりで、それでいてフェイクを大胆に混ぜてくる。細部に対するこだわりが尋常じゃない。杉本博司の操作空物を見ていると、最初は、しょーがないなこのおっさん…みたいに思っているところからだんだん真顔になってきて、もう、ここまでやられたらお手上げですわ降参ですわ…という気持ちになってくる。
だから、この江之浦測候所、ほんとに、杉本博司そのものなのですね。
見学時間が2時間もあるので、さすがに長いだろ、と思っていたけど。なんだかんだ、あちこちの場所に立ち、そこから見える風景が移り変わるのを見ていると、時間が経ってしまう。
見学に来てる人は、建築関係の人とか、全体的に若くて意識の高そうな人が多く、細部の構造について議論していたり、メジャーを取り出してあちこち計ったりしていた。
ここ、おそらく、もともとは、みかん畑だったみたい。夏至冬至春分秋分の日の出の向きで全体が空間設計されていたり
海に突き出す硝子の舞台があったり
海景に海景が写り込んでいたり
光の加減を最大限に意識して創り上げられているのだった。
すっかり堪能して、アンケートを書いて、帰りは根府川までバスで。ちなみに、行きのバスは根府川9時30分、お帰りのバスは11時30分と12時20分の2本があるけど、2月からは少し変わるみたいでした。
根府川から熱海まで普通列車で移動。熱海駅からバスに乗り、ニューアカオのあたりで降りて、急な階段を上って
また来てしまいました。『吉茶松濤館』再訪。
熱海城からさらに高い場所から、明るい海を見渡しつつ、美味しい台湾茶と美しい自家製のお茶菓子、静かな時間が流れている。
どう考えても採算という概念が欠落していて申し訳無くなるんですが、そんなことは考えず、ありがたく堪能するのみです…。
以前の様子はこんな感じ
今回は3,500円のお料理のコースを予約しておいた。最初にお茶を選び、美しいお菓子が出てきて、続いてお料理となるわけですが。
これがですね、大きな分厚い大根餅からはじまって、小籠包にシウマイ、地鶏蒸しにクリームブリュレ。
手が込んで美味しいだけでなく器も美しい。お茶はすべて高山茶で、途中まで梨山高山烏龍茶を8煎くらいまでおいしくいただき、追加で茶葉を注文。凍頂烏龍虫允茶。これが甘みが仄かにいつまでも続く。
料理とお茶と美しいお菓子と…なんだかんだで2時間半くらい滞在して、たっぷり楽しんでしまった。このお値段で全部楽しめて、そしてコースは1日1組しか予約を取っていないそうで、ある程度趣味にしても、本当にやっていけているんだろうか…と心配になるお店だ。
いや、もはやお店というより、ステキなお宅にお邪魔して、大変な歓待を受けてる状態ですね。台湾には毎年最低2回は買い付けに行く、ライチとマンゴーのある5月と秋は11月…というご主人としばらく会話して、ありがとうございました、また来ます。ちょっとなかなか、他に代えがたいお店です、時間の余裕をもって行きましょう。
すっかり堪能して、熱海城を見ながら坂道を降りて、ホテルにチャックイン。
本日のお泊りは、ニューアカオとホテル大野屋と福島屋旅館と龍宮閣で迷ったんですが(どういう選択肢だ)、2人で福島屋旅館や龍宮閣はさすがに…というのと、ニューアカオは街から離れて不便なのと結構高かったので、ホテル大野屋にしたわけですね。
で、このホテル大野屋、麻雀室とかカラオケボックスとかローマ風呂とか、ありとあらゆる場所が昭和を感じさせておりましたね…。
ナイトクラブは某連合系組合の総会のみなさんが大カラオケ大会中だったり、ロビーとか、ありとあらゆる空間が、昭和である。会議室と宴会場がたくさんあって、昔は団体さんばかりで賑わったのだろうな。
広い広いローマ風呂に浸かってから、宿の晩飯はバイキングだし…で、晩飯は外へ。いろいろ迷った末、ホテルから近いこちらへ
西洋料理箱 魯風人 熱海店 (セイヨウリョウリバコ ロフト) - 来宮/シチュー [食べログ]
アミューズ、タンシチュー、お重に入った松花堂デザート、おいしゅうございました。
ただ、このお店、夜のタンシチューの値段2,800円でランチならサラダからデザートまで出てくるらしいので、ランチがお得かも。夜行くとちょっと高いね。
もう一組いたお客さんは、いかにもおいしいものをいろいろ食べているぞ、という感じの中年ご夫妻であった。そういうお客さんのよくいそうなお店でありました。ワインケースには、五大シャトーのワインとか並んでいて、ひえっ…となったという。
ごはんを食べた後は熱海の街をぶらぶら散策し、ホテルに戻り。ホテル大野屋、メインの大浴場がローマ風呂と花のお風呂と2つあり、ローマ風呂は21時半まで男性、22時以降は女性になっている。で、夜なので花のお風呂に行ったんだけれど、ばかばかしいほどに広くて楽しいローマ風呂に比べると、あまりにも普通過ぎる。そして狭い。これは、ローマ風呂に入らなければ、このホテルの魅力は半減だろうな、と。
ちなみにこのホテル大野屋、2010年に民事再生法の適用を受けて後、伊東園グループに運営が移ったんですね。伊東園ホテルズは一泊二食いつでも7,800円がウリだけど、大野屋を含む熱海のいくつかのホテルは伊東園リゾートという別シリーズで、少し高い。しかし、各地から安い往復バスが運行されてるのは一緒。この日は素泊まりで2人で1万円ちょっとだった。
伊藤園のティーバッグがあるのは単なる名前繋がりか。和洋室の客室はやや古さはあるけれど掃除はちゃんと行き届いていて広さもあって、ちゃんんと海が見えて。ベッドが固かったので、布団を敷いて寝たのでした。