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(cache)ウナギ激減! 食卓に"サカナ危機"が押し寄せる!? - 放送内容まるわかり! - NHK 週刊 ニュース深読み
 

2013年07月20日放送放送内容まるわかり!

ウナギ激減! 食卓に"サカナ危機"が押し寄せる!?

食卓で親しまれてきたウナギが危機的状況になっています。「ニホンウナギ」の稚魚が4年連続不漁、50年前と比べ漁獲量も激減!その一方で、日本はウナギをはじめマグロやタコなど世界中の海から資源を獲得する動きを活発化させており、「世界の海を食い尽くすのか!」と海外から批判の声もあがっている。日本人が食べる魚は今後どうなっていくのか?土用の丑の日を前に食卓に迫る"サカナ危機"について深読みしました。

今週の出演者

 

専門家

小松正之さん(政策研究大学院大学 客員教授)
吉永龍起さん(北里大学海洋生命科学部 講師)
合瀬宏毅(NHK解説委員)
小野塚丈人さん(魚料理店 店主)

 

ゲスト

増田英彦さん(ますだおかだ)
松本明子さん(タレント)


 

小野 アナウンサー
うーん、絶滅するかも?と言われているのに、かば焼きの映像を見ると「あー、おいしそう」と言ってしまう私たち。
さあ、それではウナギの真実。いったいどうなっているのか?徳永アナウンサーのプレゼンです。

プレゼンテーション①

 

徳永 アナウンサー
ウナギが減っている理由って、いろいろもちろん言われてはいますが。
この主役をご紹介しないと話が始まりません。手ぬぐいに隠れているものは日本のなにかと申しますと、これです。

 

胃袋でございます。日本人の胃袋クンを模型にしてみました。
つまり、私たちの食欲そのものだというのであります。ウナギのことを日本人は本当に愛しておりまして、縄文時代の遺跡からはウナギの骨が出てきていますし、奈良時代の万葉集にはウナギを詠った歌も出てくるというぐらい親しみまれております。

 

これは、江戸時代の浮世絵です。見てください、ここ。
今と同じさばき方がもう江戸時代にできております。そして、ここにある字は「か・ば・や・き」と書いてあるんです。つまり江戸時代、ウナギ大人気だったんです。
獲っては食べ、獲っては食べなんですが、今よりは大変だったそうなんです。
ウナギの食文化はこの頃、華が咲きまして、いろんな日本の食文化のルーツはウナギにあるともいわれています。

 

実は江戸時代からずっと食べてきたんですが、日本人の胃袋クンがちょっと満足しないんでございます。手間がかかるな、もっと食べたいなと言っております。
なぜかと言うと、いま言ったとおり、江戸時代からというのは、とにかく育ったウナギを川で獲っては食べる。見つけて、やっと見つけては食べる、このくり返しでございます。大量に消費することはできなかったんですね。
川とか海の近くにしかウナギ屋さんというのは、当時はありませんでした。食べたいなー、もっと、ってみんな思ったわけなんです。
そこで、みんなあることに気づきます。

 

ウナギの赤ちゃん。
最近になってようやくウナギの生態って分かってきていて、卵からかえるのは、大体グアム島近くの海だと言われていて。そこから、海の流れに乗って赤ちゃんがヒューッと上がって来て、川をのぼって来て、ウナギになっていくんだそうです。
つまり、シラスウナギというのは川の河口付近に行けば、うじゃうじゃいると。冬から春にかけて上がって来るので、網をライト点けてすくっていくと、うじゃうじゃ獲れる。
これは育っているのを獲るより楽じゃないか、ということに気づくわけです。明治の頃です、これが。

 

そうしますと、これができていきます。
養殖すればいいじゃない、という話になります。実はウナギの養殖、養殖といっているのは、卵から完全に養殖する技術というのはまだ研究室の段階で、実用化されていませんで。今の養殖というのは、あくまで稚魚は天然から獲ってくる。それを人工で育てているのが、養殖ということなんですよ。
これが明治からずーっと戦後にかけてでございます。胃袋クンの表情が変わりますかというと...変わりませんね。

 

まだ言いたいことがあるそうです。安くなんないかな?と思いはじめます。
実はネックはやっぱりここでして、ウナギはやっぱり私たち子どもの頃って高かったですよね?
1970年代から1980年代にかけてまでは、出荷というか卸売り価格、養殖業者から流通に乗せるときの1キロあたりの値段は、大体2,000円くらい。3匹から5匹くらいですけれどもね。やっぱり高い物だったんです。
これは少しでも安くなる方法はないかな?と考えはじめます。

 

気づいたんです、中国です。開けてみます。
いっぱいいるじゃない、となるんです。実はさっき言ったとおり、グアム島の近くの海から育って、海の流れに乗っかって赤ちゃんが来ますから、一部は日本に来ますが、同じ種類のウナギは中国大陸の川にも上がって来るんですよ。いるんです。

 

そうだ、中国にこの養殖の技術を教えて、作ってもらえばいいじゃないとなったんです。
これが1970年代ぐらいのこと。安くあがるでしょ?建材費も安いし、人件費がとにかく日本よりも安い。これは安くできる、しかも大量にシラスウナギがいるじゃない。
はい、頼むよ、育って。というと、もうできましたよ。

 

中国のウナギが日本に入って来るようになってからですね、流通量は15年で一気に2倍になったと言われているんでございます。値段がどこまで下がったか?こんなリーズナブルなものまで出てまいりました。
1キロあたりの卸売り価格が1,100円というものまで登場し、この頃スーパーにかば焼きが並びはじめたということでございます。
80年代から90年代半ばにかけてだと言われているんですね。

 

胃袋ちょっと満足したんですが、すぐにまた眉をしかめます。
なぜかと言うとご覧ください。あ、少なくなっちゃった。
あ、少なくなっちゃったというのが1995年ぐらいのことでございます。減るってことは、また価値が上がるんで。

 

1,800円。なんだ、また高くなったじゃん。
また、日本人の胃袋さんは不満を持ちはじめます。おいおい、中国の養殖業者さん、なんとか無いの?足元にはもうちょっと、となるわけでございます。
考えました、養殖業者さん。日本人は売ったら必ず買ってくれるぞと。
どこかに稚魚はいないか?日本と中国だけなのか?世界どこかにないのか?

 

いるんでございますね。種類は違えども、ウナギはウナギ。
ヨーロッパだってウナギの食文化は古くからあったんです。中国の養殖業者さん、気づきました。よし、これを買おう。どーん、と買って、こーんと養殖したら、日本人は買ってくれる。
はい、またきました、また出てきますよ、じゃーんと。これで金脈というか鉱脈を見つけたわけです。もういっぱいあって食べるのに時間がかかるんですが。
はい、食べて食べてと。さあ、これで一気にまた下がります。どこまで下がるかご覧ください。

 

安いものでは卸売り価格1キロあたり800円というものまで登場したと言われています。これが90年代から2000年代にかけてです。
ちなみに、あの中国産というのは、中国産で養殖されたという意味です。どこから稚魚を持って来たかの意味ではありません。
つまりパックに「中国産」と書いてあったても、稚魚は中国のものかもしれないし、他の国のものかもしれない。
だから、あんまり感覚がなかったかもしれません。

 

でも、この頃です。スーパーはおろか、コンビニや安さが売りの牛丼チェーンでなぜかウナギが安く食べられるというのは、このおかげだと言われていて。ヨーロッパのウナギは、けっこう食べていたかもしれませんね。

 

そして、この西洋から手に入るということは、アメリカからもたくさん稚魚を日本人は仕入れてですね、どんどん食べたのでございます、こうやって。あらっ、また減っちゃったよ?という話になります。

 

日本の食文化というのは特にウナギを愛していますから。どこかに無いか?といって、こうやってどんどんどんどん、世界中から取り寄せるルートを作っていったんですね。
そうするとですね、各国がピキーンと言いはじめます。
2000年過ぎたくらいからいろんな声が出はじめます。一部ご紹介します。
イギリス・BBCがこんな報道「おい、ヨーロッパの川からウナギが消えるぞ」こんなことが出まして。実際、こんなことが起きます。
あの絶滅のおそれがある動植物の取引を制限するワシントン条約にヨーロッパのウナギが入りまして、2009年に自由な取引がこれまでよりはできなくなりますよ、というのが決まりました。一部制限されております。

 

アメリカだって黙っちゃいません。雑誌にはこんなことを書かれました。
なんと「日本人の食欲にウナギなすすべがないのか」と。
今、多くの州では、シラスウナギをそもそも獲ることができなくなっております。ここまできています。

 

なぜかと言うと、そもそもウナギの生活環境って厳しくなっているんです。
温暖化で環境が変わって、しかも水質汚濁にダム建設。川をのぼっていって育つウナギですから、この環境が変わると生きているのはただでさえ大変。

 

さらにでも食べる。一時期、世界のシェアの7割を日本人が食べていた。

 

さあ、2012年になりました。安かったはずの価格がまた上がります、減るから。
3,500円、キロあたり卸売り価格というのも出はじめます。
胃袋クン、同じことの繰り返しじゃないか、君。でも、まだ表情が変わりません。

 

何のために「アフリカ」というような札を我々は用意したのか?
そして、まだある。もうインドネシアには、かば焼きの工場ができております。
この先、いったい世界のウナギはどうなっていくのでしょう?
私たちはなにか考えるべきなのでしょうかね?というプレゼンでございます。


 

松本 さん
メディアというかテレビというか情報量も「土用の日にはウナギ」という、そういうのは昔から常に耳にしますよね?食べよう、食べようって。

 

増田 さん
気づかないうちにヨーロッパのウナギを食べていたんですよね、今まで。

 

松本 さん
え?スタジオにあるのは?

 

増田 さん
えっ?見た目が違うの?

 

徳永 アナウンサー
確かめましょうか?きょうはスタジオにお越しの吉永先生にご協力いただきまして。東南アジア、インドネシアで獲れたウナギをお持ちいただきました。
片方がニホンウナギです。もう片方が東南アジアのバイカラウナギというものです。
どちらがどちらか?

 

ファイナルアンサー?はい、正解です。
こっち(左)がニホンウナギで、こっち(右)がバイカラウナギと。こうだそうです。

 

吉永 さん
今あったようにですね、世界中のウナギをどんどん食べていると。いままで日本のウナギとヨーロッパのウナギがどんどん減ったわけですけれども、この先また同じようなことが起こりそうだということで、非常に心配しています。

 

小野 アナウンサー
うーん。そんなにひんしゅくも買っているんですか?

 

合瀬 解説委員
いや、もうこれは世界から日本のこういう食べ方、だめだよという風に言われているんですよね。みなさん『レッドリスト』という言葉を聞いたことがあると思うんですが。

これ、今月ですね、国際自然保護団体、世界の非常に主要な自然保護協会なんですけれども。これがニホンウナギを絶滅危惧種にレッドリストにしようかどうか?という議論をはじめていて。
レッドリストに載ったからといって、これはそれぞれの国に注意してくださいよというものなので、法的な強制力はないんですが。このレッドリストに載ると、ワシントン条約でこれはやっぱり規制しなきゃいけないねという、大体こういう流れになっていくんですね。
ワシントン条約で規制されるとどうなるか?というと、先ほどありましたように我々が食べているウナギの半分は、海外から輸入した物ですね、まずこれがなくなると。
だからまずは、製品として入ってくる物というのがまずなくなりますね、と。さらに、日本の中で養殖しているニホンウナギも半分以上は海外から稚魚を持って来たものなんですね、ニホンウナギは。これは今の4分の1ぐらいしか食べられなくなる。

 

小松 さん
ワシントン条約にニホンウナギが載りますとね、大体、近似種も同じように「ルックアライク」というんですけれども。類似種ということで、ほとんど同じような規制になるんで。これ規制すれば、たぶんバイカラウナギも同じように入らなくなります。
だから将来、安定的に継続して食べるために、今少し我慢しましょうということですよね。

 

吉永 さん
わたしが思うには、さっきプレゼンテーションでありましたけれど、日本のウナギというのはずっともう減ってきていたんですね、いままでも。日本人のウナギだけを見ていれば、減っている、危ないということがもっと早く認識されていたんですけれども。
そのヨーロッパのウナギが入ってきたと。それで価格がドーンと下がって、実際スーパーで売られたり牛丼屋さんで売られたときに、なんで安いのか?ということが分からなかったわけですね。
ただ、昔は高級だったウナギがなぜか安くなったと。で、どんどん消費されるようになって、みんなそのなんで安くなったのか?分からないまま消費されてきたと。
気づいたら世界のいろんなところのウナギが手を付けられていて。いままで起こったことを考えると、今後良いことが起こらないというような状態ですね。

 

小野 アナウンサー
だから、なんとかなってきたからなんですね?
食べたい気持ちをなんとか満たすことができてきたから、事の重大さに目を向けずにきてしまったということですかね?

 

吉永 さん
はい。ウナギって世界で19種類いるんですよ。
ほとんどがその熱帯に、3分の2が熱帯の魚なんですね。いまその19種類のうち4種類ぐらいですか、日本人がいままで食べて、これから食べようとしているのが。その19種類の4種類が食べられて、5種類目、6種類目と進んでいく危険があると。
熱帯のウナギってあんまり研究されていなくて、よく分からないところもたくさんあるんですね。少なくとも今たくさんいるかどうかも全然分からないんですね。
ただ、今そのウナギの話、日本人があちこち行って獲ってきているという、いまそういうことが許されない時代になってきているんですよね。

これ、世界の天然資源。見てみますとウナギだけじゃなくて、実はもうすでに獲り過ぎの主要な魚が30%ぐらいで、いまほとんど獲っていて、これ以上獲ると危険だというのが58%、9割近くがもうなかなかむずかしいと。
そういう状況の中では、今の日本みたいなあちこち行って獲ってくるという行動は、さすがにふざけるなと。自分のところの資源がなくなったからといって、他のところに行くのは、うちの庭に来て獲っていくのは、それはあまりにひどいんじゃないでしょうか?という風な目で見られているんですよね。

 

増田 さん
いやでも、日本のウナギの業者さんはこういうことに危機感を感じて、他の魚とか仕事の幅を広げていったりは、されているんですか?

 

合瀬 解説委員
あのですね、そこが問題なんです。
だから本来は、市場原理というのが働いて、そこにいる資源だけがだんだん少なくなってきたら、ふつう値段があがって食べる人がいなくなって、また資源が増えるという風になるんですけれども。資源が減ってきたら今度は日本人は、じゃあ、あっちに探しに行こうとか、こっちに探しに行こうって、こういうことをやってしまったわけですね。
こういう企業行動は、消費者にとって短期的にはすごくありがたいことなんですが。世界の目から見たら、日本人何やってんだという風に思われる。

 

小野 アナウンサー
じゃあ、ちょっとですね。世界の私たちじゃない、よその国の人は、どういう行動をとっているのか?というのをちょっと見て。できることについて考えてみましょうか。徳永アナウンサーです。


プレゼンテーション②

徳永 アナウンサー
はい。まあ、がまんしなくてもいい方法です。
世界で実際にはじまっている取り組みをひとつご紹介して、これをちょっと考えてみるきっかけにしようと思います。がまんしなくてもいいやり方ですが、でも消費者であるテレビの前の「あなたでもできる。資源管理」という話でございます。個人レベルでできるかもしれません。

 

こんなマーク知っていますか?これ『エコラベル』と言うんですが。
MSCという世界的な海の環境を守ろうという、NPOがあるんですが、そこが出しているエコラベルというマークです。
これは漁師さんが漁をするときに、うちはこのマークほしいですと言って申請すれば審査を受けて、クリアすればもらえるというものなんです。
資源管理ができている漁ならばもらえると。

 

資源管理と言うとむずかしいのですが、要はこういうことです。
資源というのは、魚の数をちゃんと考えて獲りましょうということです。たとえば「一網打尽(いちもうだじん)」なんて日本語で言いますが、いる魚を子どもも大人も全部獲っちゃおうということではなくて。成長した魚だけ獲って、これから子どもを産む魚だったり、これから子どもを産むような小さな魚は逃げしましょうという将来の数のことを考えた獲り方をしているところに、このエコラベルというのをあげていきます。このマークは魚の切り身とかに付いている国が増えております。
これをきっかけに、もしかしたら大きく変わるかもしれないという話です。

 

たとえばですよ、仮に、もし消費者が海の環境をいいということだったら、これ(エコラベル)の付いているものだけ食べようじゃないかとなったとします。そうすると、買い物に行ったときもこのマークを好んで買います。

 

スーパーの店長は商売ですから、売れるものをほしがります。業者さんに頼みます。おい、このマーク付いたもの、ラベル付いたもの頼むよとなります。

 

業者さんは漁港に行って漁師さんに頼みます。いま、このマークが売れている、ラベルが売れているから、このラベルの獲ってちょうだいなとなります。

 

そうすると、たとえば漁師さんがもともとやっているところも多いんですが、たとえば工夫します。さっきみたいに、大きな魚だけを獲れる目のあらい網を取り入れましたと、小さい魚は逃がしました、というものができていくかもしれません。
つまりいってみれば、消費者が意識をちょっと変えると、もしかしたら漁の仕方、ひいては海の環境が変わるかもしれないというお話ですが、ピンとこない顔。

 

じゃあ、実際、世界で起きているひとつの例です。
スケトウダラと言う、はんぺんとかかまぼこで親しまれたり、タラコなどにもなりますね。このスケトウダラはですね、EUが輸入しています。
どこからか?というと、たとえばアメリカの漁師さんやロシアの漁師さんがベーリング海というところで獲ったのを買っております。
アメリカの漁師さん、このラベルを取りました。ロシアは取りませんでした。

 

1年経って売れた量にどう変化があったかを見てみます。
アメリカ産の方が1割増え、ロシア産は2割減りました。これは計算ベースで、切り身で出しているデータなんですが。
よく考えてください。EUってヨーロッパとかロシアの方が近いんですよ。値段もロシアの方が安いんですよ。なのに、こっち(アメリカ産)を買っているんですよ。
もちろん理由はいろいろあるのかもしれませんが、このエコラベルはもしかしたら効果があるかもしれません。まだ分からないですよ。

 

ただ、小売だって変わっています。
たとえば、有名なところ。あのマクドナルドもアメリカやヨーロッパのすべての店で、エコラベルの付いた魚を取り入れましょうという動きがもう起きていますし。
それから、ウォルマートというアメリカの世界最大手のスーパーマーケットもかなりエコラベルが入ってきているんだそうです。

 

そして、日本ならどうだという話ですが、日本でもあるんですよ、これ。

 

ひとつお見せしたいと思います。たとえば、これです。これは大手のスーパーである切り身のパックのここ。

ちゃんとあるの。イオンとか西友、それから生協にもラベルの付いたこういう水産加工品、もう置いてあるそうです。
でも、そもそもラベルは広まっているのに知らないというのが、先生方やっぱり現状なんですね?日本はね


 

小松 さん
そうですね。やっぱり外国の場合は、ちゃんと一般の人たちに近い。

これ、アメリカのモントレーの水族館なんですけど。
パンフレットを作って、こういうのを食べていい魚だとか、それから食べるのをやめたらいいですかと。これ(パンフレット)信号機の色みたいな色で表示するんですよね。
それで、レストラン行ったときとか、スーパー行ったときとか、この表示を見ながらまたは、そのラベルを見ながら買うんですよ。だから意味が分かるわけです。
意味が分かれば、将来の世代に安定して魚を食べ続けるようにするためには、少したとえば5%、10%高くても買いましょうかという主婦だとか消費者が増えているわけですね。

 

増田 さん
はー。いまはウナギばかりが問題視されますけれども、どんどんどんどん、他の魚もこれから同じような感じになっていくと?

 

小松 さん
そうですね。さっき、合瀬さんが示しました「大体9割はあぶない魚ですよ」というのは日本人でも似たようなものですね。世界中がそういう魚が増えているので、戻していかないと。
アラスカだとかノルウェーだとかアイスランドは資源管理をしているので、そういう表示に適合するわけですけど。
日本の水産物は、資源管理をほとんどやっていませんからこれをもらえないですよ。

 

小野 アナウンサー
なんとなく今の感覚だと、これがついている海外の物もいいけれど、なんとなく安心感のある国産の物を手に取るという心理もあるなと思っているんですね。

 

小松 さん
そうですね、だから安心・安全と、それから資源管理をして持続的に食べましょうという考え方が二つあるわけですね。で、いま外国が大事だと思っているのが、永久末代食べられる持続的に長く管理しましょうというところに重要さを置いているわけです。

 

小野 アナウンサー
吉永さん。今、ご覧になっている方々から届いたツイッターを見ているのですが。
もちろん「教育が大事だな」とか「今度の買い物で見て付いているやつを買おう」という方も多いのですけれど。
「安い物しか買わないんじゃないかな?」「たしかに値段を気にする人は多いんじゃないかな?」という本音も届いていまして。
こういうエコラベル付いている物を買っても、ポイントが貯まったりしませんよね。それに値段もたぶん最初はぜったい割高ですよね。
こういう物が浸透するときってなにが決めてになるものなんですか?できると思われますか?日本人にも。

 

吉永 さん
できないと水産物がもうこれ以降利用できなくなるのは、たしかなわけですよね。もう、どんどんどんどん減っていっているわけですから。特にウナギの場合、いま世界中で減り続けるわけですね、この先も。
ですから、消費者のなにが変わればいいのか?というのはむずかしいですけれど。いま少なくとも大量に消費できる魚ではないわけですね。たとえば5年、10年ちょっと消費をおさえれば、また増えるかもしれないし。どうなるか分からないですけれども。
もともとウナギというのは、すごく資源管理がそもそもむずかしいんですね。海で産まれて、数千キロも泳いで川にやってくると。またそこで5年も10年も育って、やっとそれで海に帰っていくという。すごく寿命も長いですし、地球全体を動くような魚で。そもそも持続的に利用するのがむずかしい魚なんです。
ですから、そういうことを考えて、安い物はたしかにいいんですけれど、安くておいしい物にはなにか"からくり"があって。そういうことを良く考えて、うな丼の未来をしっかり考えないといけないと思います。

 

小野 アナウンサー
国は資源管理についても、これもまたどうなんでしょう?

 

合瀬 解説委員
それも一生懸命やっているんですよ。だけど一番の問題は、いま枯渇している魚がどういう魚だっていう情報が消費者のところまできていないことなんですよね。
たしかに水産庁のホームページなんか見ていると、どういう魚が危ないというのが書いてあるんですけれども。それがね、漁業者向けなんですよね。
一般の人たちには、いまは魚の消費が落ちているから、とにかく食べてくださいという情報ばっかり出して。
しかもスーパーなんかも、どんどん魚を出しますでしょ?また減ったら、あちこち行って努力してやっていると。
ぼくらは魚資源って豊富なんだなと、もっと食べなきゃいけないんだなという風にしか思わないわけなんです。

じゃあ、どういう魚食べているかというと、実は日本って、物すごくたくさん魚があるのに食べている魚って極めて限定されていて。たとえば、えびとか、まぐろとか、さけ・ます、たら、いか、とか。
かたよっているんです。本当はもうちょっとまんべんなく食べてくれれば。
そうすれば、資源もバランスよくなってくるんですが。ある特定の魚に、これが日本人のね。

 

吉永 さん
ウナギに関してですけれども。安くてたくさん食べたいんですけれど。
いまたとえば、ウナギの専門店があって、スーパーがあって、牛丼屋があって、いろんなかたちで消費されているわけですけれど。いまウナギっていうのは、いないわけですね。
ですから消費をまずおさえなければいけない。食べちゃいけない、食べちゃいけないと言うだけではしょうがないんですけれども。
たとえば、専門店に行って一匹のウナギのコンディションを見て、一番おいしく作ったかば焼きを1年に1回食べればいいわけですね。それに3,000円とか5,000円を出して、おいしいかば焼きを食べると。
で、スーパーでは1年間に5匹食べるのではなくて、1年間に1杯だけおいしく作ったうな丼を食べると、いうような消費に替えなくてはならない。

 

小松 さん
やっぱり末永く獲る方法を考えると。
わたしいま、新潟県でえび、甘えびというのがありますけど。あれをちゃんと全体に獲る数量を決めて、今度漁師さん1人1人の獲る量を決めて、新しい方策でやっているんですね。
それで、ちょっと最初は網目を大きくして、漁獲量を減らして、そこのところは保障しましょうと。

 

小野 アナウンサー
そういう例がどんどん増えてきますように。どうもありがとうございました。


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