死期を迎え、息も絶え絶えとなった男が、病室のベッドで横になりながら妻の方に顔を向け、涙を流しながら言った。
「死ぬ前に、お前に謝りたいことがある。実は、オレはお前の妹と寝たことがある」
妻はベッドの横に座って、黙って聞いていた。
男はつづけた。
「実は、まだあるんだ。オレは、お前のいとことも、寝たことがある」
妻は表情を変えず、男の驚きの告白の続きを聞いている。
男はさらに、妻に打ち明けた。
「実は、他にもあるんだ。オレは、隣の奥さんとも、息子の学校の女の先生とも、会社の秘書とも寝たことがある」
妻は顔色一つ変えず、死期を迎えた男に向かって静かにこう答えた。
「ええ、全部知ってるわよ。安らかに眠りなさい。毒はもう完全に回っているから」