蹴球探訪
異端のレジェンド 土屋征夫 41歳9カ月“J1最年長出場”(5月25日)
【芸能・社会】小室哲哉、不倫報道 「けじめ」引退 妻の介護、音楽活動への限界…2018年1月20日 紙面から
看護師との不倫疑惑を「週刊文春」に報じられたミュージシャンの小室哲哉(59)が19日、東京・南青山のエイベックス本社で会見し、引退を発表した。不倫疑惑については男女の関係を完全否定しつつ「誤解されても仕方がない。不徳の致すところ」と妻で歌手のKEIKO(45)や関係者、ファンに謝罪。突発性難聴による体調不良に加え、昨年8月ごろから音楽制作活動についても限界を感じていたそうで「今回の報道による罪を償うため、自発的な音楽活動は本日をもって終了します」と声を震わせながら宣言した。 約150人の報道陣が詰め掛けた会見場は静寂に包まれていた。午後1時すぎ。張り詰めた空気の中、スーツ姿で登場した小室はまずKEIKOやスタッフ、ファンに謝罪し何度も頭を下げた。そして沈痛な面持ちで「僕なりの騒動のけじめとして引退を決意しました」と表明した上で約50分間、くも膜下出血の後遺症を抱えるKEIKOの現在や不倫騒動、引退を決意した理由などを語った。 KEIKOは2011年10月、くも膜下出血で倒れた。一進一退を繰り返しながらリハビリに励む妻は最初、自身がボーカルを務める「globe」の楽曲を口ずさんだりしたそうだが、「音楽への興味が日に日に減ってしまった」という。 「小学校4年生くらいの漢字ドリルを楽しんでやっている。そういったレベルのこともあります。そういう中で(小室の)大人の女性に対してのコミュニケーションが日に日にできなくなってきた。3年ほど前から何度も繰り返しの質問だったり、少しずつ疲れ始めてしまった」 一方で自身の仕事量は増えていったため、2年前からは大分に住むKEIKOの家族や小室のスタッフに身の回りの世話を手伝ってもらいストレスを軽減しようとしたが、自身も16年に原因不明のC型肝炎に罹患。さらに昨年夏ごろから突発性の難聴になり、左耳がほとんど聞こえなくなり、8月に入院していたことも明かした。 入院中や退院後の通院で距離が近くなったのが、週刊文春に不倫疑惑を報じられた看護師のAさん。同誌は12月中旬、小室が女性宅に泊まったり、スタジオや自宅、仕事先にも呼んで「ニンニク注射」を打ってもらっていたと報じた。 小室は「自宅にKEIKOがいるときも来ていただいています」と“妻公認”を強調した上で「男女の関係というのはまったくありません」とキッパリ否定した。 ただ、難聴になってから、少しずつ音楽制作への限界も感じるようになり、A子さんの往診の過程で「ついつい相談事に頼ってしまった」と釈明。「間違いなく誤解を生じさせてしまいました。不徳の致すところという言葉しかありません」と繰り返し頭を下げた。 文春に疑惑が報じられたことで、頭の中でくすぶり続けていた引き際への踏ん切りがついたという。「勝手な苦渋の決断ではありますが、今回お騒がせした中での僕なりの償いとしては精いっぱいです。今後の生き方や身の振り方は少しお時間をいただいて考えたいと思っています」 ありったけの胸の内を吐き出すと、こぼれる涙を何度もぬぐった。安室奈美恵が引退する2018年、育ての親である“世界のTK”も芸能界から姿を消す。 ◆小室◇一問一答◇「引退について」 不安が曲に影響…望んでいない-引退を意識した時期は 「今も耳鳴りが消えなくて、音楽が作れないわけじゃないんですが、それによって体調が悪くなる。(治療と仕事の)両立する限界を感じたのは8月ですね。ある意味、60(歳)というのは能力の節目。来年は一般的な『定年』かなと」 -思い描いていた引退とは違ったか 「まったく違います。野球選手のような引退セレモニーを夢で見たことはここ2、3カ月はありましたが、勇退される方とはかけ離れた状況。(時期は)1年以上、もしかしたらもう少し早まってしまった」 -不倫が事実ではないなら活動休止という選択肢はなかったのか 「ご存じの通り、2010年に非常に大変なことをした(5億円の著作権詐欺事件)。罪があれば償いをしなければならないという思いが他の人よりは強いと思います」 -音楽生活への不安について 「最近は音楽制作の締め切りも滞り始めました。『期待に応えられているだろうか』と不安が17年の秋ぐらいから自問自答する日々でした。ふらついた考えやネガティブな状況が自分の作る曲に影響してしまうのは、今の状況でいちばん望んでいない」 -引退は誰かに相談したのか 「誰にも相談していません。(文春の直撃からこの日まで)5日間考え抜きましたが、文春さんが起爆剤になって、頭をもたげていたものが急に出てきました」 -安室奈美恵の引退は影響したのか 「安室さんの引退宣言は理解はすぐできました。美学を貫くという意味では、自分もいずれはステキな形で身を引きたいと思いました」 -後悔はないか 「『何てことを言ってしまったのだろう』という悔いが出てくる可能性は十分あると思う。勇退みたいな環境があれば『悔いなし』と心から言えたと思う」 -35年の音楽人生を振り返って 「いちばんうれしかったのは、90年代にいろいろな方が歌ってくれたヒット曲を皆さんが楽しんでくれたこと。いちばんつらいのは、今日です」 ◇「不倫について」 依存強くなってしまった-A子さんとの関係性について 「普通の雑談や会話を女性とすることがない状態が何年も続いていたので、普段話せないことを聞いてもらった。少しずつ自分のこともお話しいただくことになって仲の良い、信頼できる看護師さんになってきてしまいました」 -文春の報道について 「年末に風のうわさかわかりませんが、こういった事態が起こるだろうと胸騒ぎがしていました。話を聞いてはくれるんだけど、理解してもらっているか分からない妻(KEIKO)。ピアノのフレーズを弾いても30秒も持たない。そういう環境の中で(A子さんへの)依存が強くなってしまった」 -報道では腕を組んだり、ベッドで一緒に寝たことを自身が認めていたが 「体調不良を大前提で来ていただいている方で、一般の男性が女性を招く感覚で招いたわけではない。不徳の致すところで、誤解を招く形で(A子さんが)長時間居続ける形となってしまった」 -精神的な支えとなっていたのか 「かなりありました」 -A子さんと今連絡は取っているのか 「事務的な連絡はせざるを得ないので取っています。誤解を招かないように、今後は戒めたい」 -引退については事前に報告したのか 「はい。『もったいない』と言っていました」 ◇「KEIKOについて」 これからも夫婦で歩む-現在実家にいるKEIKOに不倫疑惑について謝罪したか 「話は全部してあります。特殊な例だと思います、簡単な単語で『こういうことだ』『ごめんね』とLINEで伝えたところ、『わかったよん』と。短い会話を昨日までしていました。一般の奥さまのひと言とはちょっと違うかなと。しっかり向き合って理解してもらえるかは、これからです」 -離婚の可能性は 「僕は女性というよりも、子どものような(現状の)KEIKOに愛情が深くなっていると思います。これからも夫婦で歩んでいく? はい!」 -いつ会うつもりか 「急ぎます」 ◆スチル74、ムービー13、取材陣150人… 小室会見各テレビ局リポーター陣勢ぞろい小室の会見場にはスチルカメラ74台、ムービーカメラ13台、約150人の取材陣が駆けつけ、注目度の高さをうかがわせた。各テレビ局のリポーター陣も勢ぞろい。エイベックス側は「時間の許す限りご質問にお答えしたい」とし、小室も質問に丁寧に対応。会見時間は1時間40分に及んだ。 ◆「先生…落ちる…」マーク・パンサー ありがとう…お疲れさま…小室ファミリーも衝撃引退表明を受け、小室と妻・KEIKOとともに音楽ユニット・globeのメンバーとして活動していたマーク・パンサー(47)が19日、ツイッターを更新し小室引退について言及した。 マークは地下鉄駅のホームを背景に、目を見開いた表情の自撮り写真ををアップ。自身が「先生」と呼んでいた小室の引退について、「車内の学生たちの会話からニュースを聞いた…先生が引退…落ちる…」とショックを隠し切れず。しかし、続けて、「いやっ、落ちてはいけない!グローブのともし火は消さない!!!信じ続けて突っ走る!!!」と自らを鼓舞した。 ▽TRF 「25年前、私たちは『TK RAVE FACTORY』として小室さんのプロデュースのもとデビューさせていただきました。小室さんがいなければ、今の私たちはいません。とても寂しい思いがございますが、私たちは小室さんからいただいたたくさんのすばらしい楽曲を、これからも大切にしていくことに変わりはありません。いつかまた一緒に奏でられる日がくれば…と願っています」 ▽鈴木亜美(あみから改名) 「涙が止まりません。父のような存在の小室さんが、何年か前から現場でお会いするたび、体調が悪そうなのに周りを気遣い、頑張って音楽制作をしている姿を心配しながら見ていました。小室プロデュースでデビューして今年で20年。小室さんがいなければ今の私はありません。心からお疲れさまと、ありがとうをお伝えします」 ◆主な小室ファミリー TRF、観月ありさ、篠原涼子、globe、内田有紀、安室奈美恵、hitomi、H Jungle with t、鈴木亜美(旧あみ)、dos、華原朋美、H.A.N.D.、MIYUKI、Kiss Destination、Ring、tohko ▽AAA(トリプルエー) 「小室さんの引退の決意を聞き、メンバー一同、本当に寂しい気持ちです。AAAにとって、小室さんに作っていただいた楽曲(『逢いたい理由』など)があったからこそ、立てたステージがあり、出会えた人たちがたくさんいます。そして、今までもこれからも、多くのファンのみなさんに愛され、活動を支えてくれるとても大事な作品たちです。心から感謝しています」 ◆昨夏から耳鳴り、摂食障害などで入院
「もう曲も書けない。体もボロボロだ」-。小室はここ最近、近い関係者に自身の心と体の不調を何度となく漏らしていたという。不倫疑惑は引退のひとつのきっかけだった。華々しい引退会見ではなく、不倫疑惑の釈明会見を引退発表の場にするほど、小室は心身とも疲れ果てていた。 小室は頂点を極めた90年代以降、ヒットには恵まれず、2008年に巨額詐欺事件での逮捕。活動自粛後、再起を懸けて09年から制作活動を再開。復帰作がリリースされた10年5月に記者は小室にインタビューした。当時51歳だった小室は「50歳を超してまさかハングリー精神が出てくるとは思っていなかった」と意欲的で、「自分の昔に勝ちたい」と熱く語った。 しかし、その直後の11年に妻・KEIKOがくも膜下出血で倒れ、それ以降、療養する妻の介護と仕事に明け暮れた。周囲の期待からの重圧と、自身もC型肝炎を発症するなど私生活での疲れは極限に達した。会見では、昨夏にストレスからくる耳鳴り、摂食障害、睡眠障害で入院生活を送ったことも明かした。 1984年からTMネットワークで頭角を現した小室は、続く90年代には音楽プロデューサーとして音楽市場を席巻。絶頂期には手掛けた楽曲の総売り上げ1億7000万枚、ミリオンヒット20曲という金字塔を打ち立てた。4日に1曲のペースでの作曲は、まさに神がかっていた。2000年7月の九州・沖縄サミットのイメージソング「NEVER END」のリリースを境に、広く知られる楽曲は生み出せなかったが、作曲は精力的に続けた。 不倫疑惑が報じられた際、小室は対応を協議する関係者に記者会見を開くよう自ら求めたという。そして、どのようなやりとりになろうとも、引退発表の場にしたいと訴えた。関係者から「活動休止にしないか」との説得にも「身を引きたい」と譲らなかったという。 昨年末、記者は東京都内で食事をしていた際、プライベートの小室と出会った。女性ファンが1歳ぐらいの男児を抱いて小室に近づき、記念撮影を求めていた。その際、小室は「名前は?」と優しく聞き、自ら男児を抱き寄せ、大泣きされても穏やかな笑顔で応じていた。その姿は、時代の最先端を突き進んだアーティストではなく、ひとりの温和な紳士だった。 (安藤篤人) ◆TV番組出演も変更予定はなし小室は現在放送中のテレビ朝日系オーディション番組「ラストアイドル season2」(土曜深夜0時5分)で、同番組の「season1」から誕生したアイドルグループ「ラストアイドル」のセカンドシングルをプロデュースすることが決定していた。 小室は自発的な音楽活動に関しては、「本日をもって終了させて頂きます」と“引退宣言”。しかし、携わっているプロジェクトに関しては「責任は果たしたい」と話した。 同番組の公式サイトには次回20日放送分の予告で、小室のインタビュー動画もアップされていた。同局によると、20日放送分が収録されたのは、小室の不倫疑惑が報じられる前だったという。 同局は今後の小室の番組出演について、「出演予定に変更はありません」。20日の出演部分も予定通り放送するという。 ◆現在までの仕事「責任果たしたい」 未発表曲「出来栄えがいい」小室はこの日をもって自発的な音楽活動を終了すると宣言したが、すでに作曲を終えた未発表曲への手応えは感じており「自分でも出来栄えがいいと思う曲もあります。発表していただけるのであれば」と語った。 19日以降、新規の仕事は受けないが、現在までに引き受けている仕事については「責任は果たしたい」としている。女性歌手Beverlyとの音楽ユニット「PANDORA」として24日に東京・日本武道館で開催される仮面ライダーのイベントと、26日にビルボードライブ東京、2月3日にビルボードライブ大阪で開催する同ユニットのコンサートには予定通り出演する。 自身が所属する「TM NETWORK」と「globe」についてはメンバーから外れることになり、グループ継続は今後の話し合いになりそうだ。 <小室哲哉(こむろ・てつや)> 1958(昭和33)年11月27日、東京都生まれ。幼少時に訪れた大阪万博で冨田勲氏の楽曲に触れ、シンセサイザーに開眼。学生時代のロックバンド活動を経て、83年、宇都宮隆、木根尚登とTMネットワークを結成。翌年「金曜日のライオン」でデビュー。作曲家としても渡辺美里、松田聖子、中山美穂、小泉今日子、宮沢りえらに楽曲提供。94年にTM解散後は、プロデュース業に軸足を移し、TRF、安室奈美恵、華原朋美らを手がける。95年には自身参加のユニット「globe」を結成し、いずれもミリオンヒットを連発。同年から4年連続でプロデュース曲がレコード大賞を受賞するなど、「小室ファミリー」と呼ばれる社会現象となる。2002年、globeボーカルのKEIKOと結婚。08年11月、音楽著作権を譲渡すると偽り、投資家から5億円をだまし取ったとして、詐欺容疑で大阪地検特捜部に逮捕される。09年5月、大阪地裁で懲役3年執行猶予5年の判決。同年8月、エイベックス恒例夏フェス「a-nation」でシークレットゲスト登場し、活動復帰。10年5月には復帰作となる楽曲をAAA(トリプル・エー)に提供し、本格的に音楽活動を再開した。
|