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【大相撲】

稀勢5場所連続休場 在位7場所なら最短命で引退

2018年1月20日 紙面から

左大胸筋損傷の疑いで休場した稀勢の里=18日、両国国技館で(神代雅夫撮影)

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◇初場所<6日目>

(19日・両国国技館)

 横綱稀勢の里(31)=田子ノ浦=が初場所6日目の19日から休場した。3日連続で金星を与え、5日目まで1勝4敗と不振だった。5日目の嘉風戦で古傷の左胸を痛め「左大胸筋損傷の疑い、左前胸部打撲で今後精査を必要とし、3週間の安静とする」との診断書を提出した。稀勢の里の休場は昨年夏場所から5場所連続、通算6度目。昇進後は新横綱で逆転優勝を遂げた昨年春場所しか皆勤がなく、来場所以降は進退を問われる状況になった。横綱が5場所続けて休むのは、2002年九州場所から6場所連続休場した武蔵丸以来。年6場所制となった1958年以降では、貴乃花の7場所連続が最長。6日目の対戦相手、千代大龍は不戦勝。

 体の悲鳴に勝てず、稀勢の里がまたも土俵から姿を消した。師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)によると、3日連続で金星を配給した5日目の夜に横綱が「胸が痛い。相撲を取るのは厳しい」と打ち明けた。横綱としては2003年名古屋場所の武蔵丸以来、5場所連続休場が決まった。

 よりによって、昨年の春場所で重傷を負い、横綱相撲の歯車を狂わせた左胸を再び痛めた。古傷の不安が再燃する最悪に近い診断結果だった。

 今後、進退を巡り、周囲が騒がしくなるのは間違いない。場所前の横綱審議委員会の稽古総見で黒星先行すると、横審の北村正任委員長は「けがが治りきっていないことで、15日間続けられないなら出ない方がいい」

 全休を容認する温情を突っぱね、横綱本人が「結果を出さないと」と強行出場して1勝しか挙げられずギブアップ。横審からの視線が、厳しくなっても無理はない。この日の審判長の山科親方(元小結大錦)も、次の出場場所に進退がかかるかと問われて「言われるでしょうね、たぶん」と認めるしかなかった。

 年6場所制となった1958年以降、横綱在位は琴桜、三重ノ海、双羽黒の8場所が最短。現在6場所の稀勢の里はワースト記録更新の危機にも立たされたことになる。

 次の焦点は、稀勢の里がどこで勝負をかけるか。終日、姿を見せなかった横綱に代わり、師匠は「何とか次の場所に間に合うようにしたい」と方針を示した。

 これに反対し、稀勢の里に未経験の連続全休を勧めたのが、かつて同じ状況に身を置いた武蔵川親方(元横綱武蔵丸)だ。左の胸と上腕に加え、左足首に腰と続く故障に苦しむ稀勢の里の姿に「相撲になってない。治すことを、自分からやらないと」と指摘。そして復活への期待を込めて「焦らなくても、大丈夫だよ」と穏やかにエールを送った。八角理事長(元横綱北勝海)も、出場のタイミングについて「本人がね」と一任の姿勢だ。

 厳しい現実にぶつかり、試練の2018年をスタートさせた稀勢の里に、求められるのは我慢。ファンは強い横綱を待っている。 (志村拓)

 

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