りずろぐ。

ぬるくやわらかく

ヤモリが脱走したときの絶望感は異常

 

ペットのヤモリちゃんを飼い始めて7ヵ月とちょっと。

実は、これまでに一度だけヤモリちゃんを脱走させてしまったことがある(´・ω・`)

 

脱走したのはこの子。
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クチサケヤモリのぐみちゃん

 

 

ある水曜日のこと。

その日は仕事終わりにひとりでショッピングに行っていて、おうちに帰ったのが21時過ぎ。

いつもの通り「ただいまーーーこどもたちーーー♡」と浮かれて帰宅し、ケースを覗き込む。

珍しく葉っぱの上に乗って、ぐみちゃんハウスの方を見つめているもう一匹のヤモリ、つぶぉさん。
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けど、ぐみちゃんがいない。

 

いつもは木の上にいるぐみちゃんがいない。

葉っぱの下に隠れてるのか、床材に潜ってしまったか……ケースの蓋を開けて、葉っぱを取り出してみる。

でも、いない。

 

ああ、これは、脱走だ。

 

完全に親バカなんだけど、ぐみちゃんはとっても賢いヤモリちゃん。

私が毎日天井の蓋を開けてお水をあげたりしているうちに、ここからお外に出られるという知識を得てしまった。こんな風に。
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その日も蓋の隙間に温湿度計を挟んでいたから、きっとそこから出てしまったのでしょう。

さて、どこに行った?

 

ぐみちゃんは小さなヤモリちゃんだし、きっと遠くには行っていないはず。

近くのカーペットの上、棚の裏、置きっぱなしの荷物の隙間。

……いない。

 

この辺でものすごく焦り始める。

範囲を広げて、キッチン、寝室、玄関。

……いない、どこにも。

 

絶望。

 

相手はヤモリ。犬や猫と違って、呼んだら寄ってくるような生き物ではない。

鳴きもしない。物音すら立てない。しかも壁を登れるものだから、捜索範囲は上下左右全方向360度。

 

手狭なマンションとはいえ、10cmちょっとしかない生き物を見つけ出すにはあまりに広すぎる。

おまけに、こんな日に限って寝室と玄関のドアを開けっ放しで来てしまった。クローゼットの中に入り込んで、段ボールの中にでも潜り込んでしまったらさすがに探しきれない。

 

それにもし、歩いたり物を動かしたりした瞬間に潰してしまったら……

 

……

 

ああ、終わった。

ぐみちゃん、どこに行っちゃったの……?

 

まだそこまで寒い時期ではなかったとはいえ、雨が続いて冷え込んだ夜。

おなかを空かせてはいないにしても(ヤモリちゃんは数日食べなくても平気な生き物なのです)、お水は飲まなきゃいけない。

 

もし、見つかったときにぐみちゃんが冷たくなっていたら……

干からびてしまっていたら……

動かなくなってしまっていたら……

 

そんな悪い想像が止まらなくなって、必死で捜した。気付けば午前4時。

合間に一度シャワーを浴びたけど、とても気が気じゃなかった。

 

でも、もしかしたら朝になったらひょっこり帰ってきてるかもしれないし。

おちゃめなぐみちゃんのことだもの、何事もなかったかのように、またちょこんと木に掴まってるかもしれない。

明日も会社だし、私も少し休まなきゃ……

 

 

当然だけど、朝になってもぐみちゃんはいなかった。

ぐみちゃんのケースにぐみちゃんがいないのは、とても不自然に見えた。

つぶぉさんはずっとぐみちゃんハウスの方を向いている。この子にも異変がわかるのだろうか……

 

ぐみちゃん、無事?寒くない?喉乾いてない?

ぐみちゃん、ちゃんと生きてるよね……?

 

ぐみちゃんは、昨日のいつ脱走したんだろう。

もし、昨日私が寄り道せずに帰っていたら。きちんと部屋のドアを閉めて出かけていたら。温湿度計を挟んだままにしなければ。そしたらきっとこんなことにはならなかった。

私は飼い主失格だ。かわいいかわいいと言いながら、そんなの口だけだったんだ。ちゃんと見ていなかったんだ。だからぐみちゃんは……

 

……

 

もう、一目だけでもいい。ぐみちゃんに会いたかった。

本当に、時間が戻せるのなら何だってするのにって思った。

 

それでも私は会社に行かなければならない。社会人つらい。

後ろ髪を引かれる思いで家を出た。

 

人は、本気で思い詰めると「One more time,One more chance」の心境になるらしい。

www.youtube.com

 

いつでも捜しているよ どっかに君の姿を
向いのホーム 路地裏の窓 こんなとこにいるはずもないのに

 

まさにこんな感じだった。

こんなとこにいるはずもないどころかいたら困るんだけど、視界の端で影や葉っぱや埃が動くたびに「ぐみちゃん!?」ってなった。

 

仕事はつつがなくこなせた……と思う。誰にも何も言われなかったし。

通勤中や休憩時間には、ネットでヤモリの脱走について調べた。

見つけるのは至難の技とか、数週間単位で待ってれば出てくるとか……何の慰めにもならなかった。

Twitterには同じような状況の人もいたし、やっと見つかったよーなんて投稿している人もいた(天井にトッケイちゃんが張り付いている図はなかなかにシュールだった)

でも、私ほど取り乱している人はいないようだった。

 

違う。私は脱走したヤモリを捕まえたいんじゃない。

ぐみちゃんに会いたいんだ。

 

家に帰ったら、もう一度捜そう。

部屋中にごはんとお水の入れ物を置こう。部屋が寒かったらエアコンをつけよう。Twitterには玄関のドアにくっついていたと投稿している人がいたから、ドアは気をつけて開けよう。

大丈夫、ぐみちゃんは絶対にいる……!

 

逸る気持ちを抑えて家に帰り、そっと玄関を開ける。

ただいま、と言いかけたとき。

 

 

ぐみちゃんがいた。

傘立てにちょこんと掴まって、震えていた。

 

 

ああ……本当に……本当の……ぐみちゃんが……

 

泣いた。いや、泣いたどころじゃない。号泣した。大号泣した。

リアルに「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぐ゛み゛ち゛ゃ゛ん゛ど゛こ゛に゛い゛た゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」って感じだった。27にもなって、こんなに声をあげて泣くことってあるんだなって思った。

 

丸一日外にいたぐみちゃんはちょっと冷たくなっていて、鋭い目つきをしていた。

いつものんびりしていてあどけない顔をしたぐみちゃんから感じる、初めてのワイルド感。

それまで「お姫しゃま♡妖精しゃん♡」と箱入り娘として扱ってきたけど、この子はこんなに強い子だったんだ……

 

ケースに帰してお水とごはんをあげても、しばらくその目つきは変わらずに、ケースの中をうろうろしてた。

たぶん、私のことも私として認識してなかったと思う。

「ぐみちゃん、ごめんね、怖かったね」と何度も声をかけたけど、全く届いてないようだった。

 

それでも一晩経ち、私が会社に行って帰ってきたときには、もういつものぐみちゃん。

いつものように、はんぺんみたいでかわいいおなかを見せつけながら壁に張りついたりしていた。
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※超絶かわいい一枚。

 

ああ、よかった。こんなによかったと思うこと、他にないくらい。

「つぶちゃん、ぐみちゃん帰ってきてよかったね♡」と話しかけてみたけど、つぶぉさんは木に掴まったままそっぽを向いていた。
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もーーーーーこんなのは嫌だ!\(^o^)/

悪いのは完全に私だけど、二度とこんな思いしたくない!

何より、ぐみちゃんが一番つらくて不安だったと思うから……本当に本当に反省した。

いまは蓋もドアもきっちり閉めてる><

 

 

この件があってから、交番の前に貼ってある「この子を捜しています」のポスターがまともに見られません。

ヤモリと同じにするなって話でしょうけど、想像するだけでつらくて……(´;ω;`)