東京から行く、温泉旅行。何日もお休みを取れるわけじゃないから、さらっと1泊2日で。
そんなとき、「箱根か熱海」を検討する人は多いと思う。確かに、箱根はロマンスカーで行けばすぐだし、観光もできるし、宿の種類も豊富。熱海は海鮮おいしいし、時期を狙えば花火大会やら梅の花やらも楽しめる。
箱根か熱海。その二択が間違っているわけでは全然ない。でも、他の温泉地も全力で推したいので、本記事では別の選択肢を提案していく。全国400カ所の温泉をめぐった温泉オタクの一意見だけど、参考にしてもらえたらすごくすごくうれしい。
※各項目の評価はあくまで目安、独断と偏見、個人の見解。混雑◎=空いている、混雑×=混んでいる。
※選んでいるのは電車/車で片道2時間半ぐらいまでのところ。それ以上は1泊2日しんどい。
山梨県・甲府
温泉◎ 観光× 混雑◎ 近さ◎
甲府には良質なモール泉がわんさか湧いているので絶対の絶対にイイ。どこもかしこも最高。個人的にはビジネスホテル泊で、大興奮の温泉銭湯を楽しみながら夜は甲府の地元の店でワイン飲むのが一番好き。旅館希望の場合はすぐ近くの石和温泉に宿泊がよさそう(石和の湯も楽しめるし)。
おすすめ温泉(日帰り) ― 国母温泉、草津温泉
山梨県・富士河口湖
温泉〇 観光〇 混雑△ 近さ〇
お湯自体は一般的な無色透明の温泉だけど、やっぱり富士山ビューが叶う露天があるのはうれしい。河口湖畔の観光はもちろん、鳴沢氷穴も思ったより楽しめる。ご当地ビールもあればワインもあるのでお酒好きには◎。宿もおしゃれなところが多いし、結構平均点高い気がする。
おすすめ温泉(宿泊) ― ラビスタ富士河口湖
神奈川県・湯河原
温泉〇 観光△ 混雑〇 近さ◎
湯河原はとにかく東京からの近さがウリ。おこもり宿も多く静かな湯本で、まさに「疲れた東京人の駆け込み寺」のような存在。観光も神社とか滝とかだけなのですごく落ち着いてる。
最近は新しくできたTHE RYOKAN TOKYOが「卒論執筆プラン」を出してバズっていた。卒論ないけど泊まりに行きたいところ。
おすすめ温泉(宿泊) ― まだ行ってないけどTHE RYOKAN TOKYO。たぶんすぐ人気宿になる
埼玉県・秩父
温泉△ 観光〇 混雑△ 近さ〇
開放的な露天風呂を備えた日帰り温泉施設が充実している印象。羊山公園の芝桜やら三十槌の氷柱、水のアクティビティが楽しめる長瀞やらが近くにあって、観光には困らない。車じゃないとちょっと楽しみ切れないかも。
おすすめ温泉(日帰り) ― 星音の湯
千葉県・南房総
温泉〇 観光△ 混雑◎ 近さ△
アクアラインを通って南房総まで足を延ばすのもひとつの手。山のほうは黒湯が湧いているし、海のほうはオーシャンビューの露天が楽しめる。言葉を選ばずに言ってしまえば「何もない伊豆」。海鮮グルメと海の温泉をゆっっったり楽しむならここ。
おすすめ温泉(日帰り) ― 不老山薬師温泉
長野県・軽井沢
温泉△ 観光◎ 混雑× 近さ×
もはや星野リゾート王国の領地なのではと思うくらい星野。温泉も星野、レストランも星野。…もちろんそれだけじゃなくて、旧軽の銀座商店街はにぎやかだし、ちょっと外れれば「森林浴ができるカフェでパンケーキ」だの「森の中をサイクリング」だのが叶う。温泉は湧いているし美しい露天風呂もあるんだけど、温泉めあてに宿泊は決めなくていいかもしれない。コテージとかのほうがたぶん楽しい。
おすすめ温泉(日帰り) ― 星の温泉トンボの湯
栃木・鬼怒川
温泉△ 観光△ 混雑〇 近さ△
鬼怒川の観光は「渓流を見る」「渓流を下る」「廃墟を観察する」ぐらいしかないので、日光とセットがおすすめ。こだわりある宿が多いので、おこもりするのが良さそう。紅葉の時期にいくとエラい目にあうので注意。温泉自体はあまり特徴なし。
おすすめ温泉(宿泊) ― 七重八重
群馬・伊香保
温泉◎ 観光〇 混雑△ 近さ△
有名な石段街は1泊2日あれば十分回れるし、あとは近辺ちょこっと寄り道すればOKという感じで、1泊2日の温泉旅行としてはかなりコンパクトに済ませられそう。鉄臭い温泉もグッとくる。新宿からJR高速バス「上州湯めぐり号」で1本でいけるのもポイント高い。
おすすめ温泉(日帰り) ― 伊香保温泉露天風呂(伊香保訪れたらマスト)
静岡・修善寺
温泉△ 観光〇 混雑〇 近さ△
かなり小さな温泉街だけど、フォトスポットやら雰囲気の良い茶屋やらがあって、1泊2日であれば飽きずに楽しめる。中心部にある修善寺も美しくて◎。温泉は無色透明の特徴ない湯なので、雰囲気の良い宿を予約したほうがよさそう。文化財の宿・新井旅館は予算が厳しければ日帰り温泉で。
おすすめ温泉(日帰り・宿泊) ― 新井旅館
静岡・東伊豆(伊東以南)
温泉〇 観光〇 混雑〇 近さ×
海沿いにオーシャンビューな温泉がたくさんあるので、温泉の満足度は高め。もちろん海鮮も美味しいし絶景スポットも多い。ただし伊東以南は電車だととかなり厳しいので、車で行くほうが無難。河津桜の時期は絶対に外すこと。
片道2時間半超の遠出なら、おこもり宿を予約して温泉地へ
楽しみ方はそれぞれだけど、遠い温泉地に1泊2日でいくなら「おこもり」できる魅力的な宿を選んだほうがよさそう。ここでケチると逆に疲労感増す可能性ある。
- 栃木県・湯西川温泉 →鹿肉とか熊肉を出す趣きある宿が点在
- 栃木県・那須塩原温泉 →白濁湯がとっても美しい。観光スポットはファミリー感強め
- 群馬県・四万温泉 →「千と千尋」のモデルになった積善館にぜひ
- 群馬県・みなかみ18湯 →温泉街はほぼないので宿にこだわるべし。おすすめは法師温泉
- 群馬県・草津温泉 →東京から車だと3時間かかるのでけっこう遠い。温泉は最高
- 長野県・戸倉上山田温泉 →地味だけどつるとろのいい温泉が湧くところ。善光寺とかとセットで行けるかも
他にも奥日光、万座、渋、湯田中、西伊豆~南伊豆などいろいろ。だいたいが車ないとしんどいのでレンタカー激推し。
ちなみに:箱根か熱海、選ぶならどっちがおすすめか
これはもう行き方による。電車なら熱海、車なら箱根だ。
旅行情報誌で働いていたときから、箱根は「回りにくい観光地」だと思っていた。東京から近いと言っても、電車なら箱根湯本駅まで行って、それから箱根登山鉄道またはバス。強羅まで行くとなるとかなり時間がかかるし、観光スポットは点在している。基本どこも混んでいるので、公共交通機関で回るとなると「ほぼ移動」「すごい疲労感」になりがちだ。箱根の満足度を高めるあの美術館も、あの絶景も、あの温泉も、あのカフェも、車であれば訪れられる。
熱海はその分、観光スポットは限られているし、徒歩で巡れるところも多いので、電車でも問題ない。新幹線で行けるのも◎。最近は若者がおしゃれなカフェやイベントを開いているし、バブルの残り香ただよう歓楽街も絵になる。温泉的にはあっつい塩湯、という感じで、たとえば箱根の奥のほうで浸かれる「硫黄の匂いがする白濁湯」とかはない。
一軒宿を目がけていくのも全然ありでむしろ推せる
今回紹介したのは比較的「観光できる温泉地」で、温泉の沼にハマったオタク的にはもっと山梨の秘境とか群馬の一軒宿とか推したい。一軒宿を目がけていく1泊2日の旅も全然ありで、むしろ最高…と思っている。
でもそういうのは「箱根か熱海」を検討している旅行パターンとは全く別のところにあると思う。私が関東圏内の一軒宿にまだまだ明るくなりきれていないというのもある。もうちょっと勉強してそういうエントリーも書きたい。
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