「わろてんか」一週間 第16週「笑いの新時代」[字] 2018.01.21

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今後小さくてもいいので店を持って頑張っていきたいと思います。
元号が昭和になりラジオ放送が開始。
大阪ではラジオ体操がブームとなっていました
(てん)何や肩凝りですか?
(藤吉)う〜ん最近疲れが残りやすうてな。
毎日体操したはるのに。
(隼也)年や年。
うるっさいわ。
無理せんといておくれやす。
ああ大丈夫や。
・「出かける時の忘れ物」・「ひょいとつかむハンカチのように」・「心の中にすべり込む」・「いちばんちいさな魔法」・「泣いたり笑ったり」・「今日も歩き出す」
(風太)これが来年の各寄席のおおまかな番組や。
ああ。
万歳ばっかりやないか。
落語はどうするんえ?落語は年々客足が遠のいてる。
年が明けたら思い切って落語の数減らして万歳を中心にしてったらええと思う。
アカンアカンアカン!落語のない寄席なんて寄席やないやろ。
いやもうその考えが古い言うてんねや。
何やと?今はみんな新しい文化を求めてんねや。
それやのに落語は百年も前から変わらへん。
落語は大事にせなアカンえ。
うちがここまで大きなったんは団吾師匠や文鳥師匠のおかげなんやし。
万歳も大事やが寄席の華はやっぱり落語や。
その伝統守るんも俺らの仕事や。
俺の目ぇが黒いうちはそこは譲れん。
やり直せ。
・はい南地風鳥亭です。
あっ先生!え?隼也の事で?白紙で出したてどういう事や?ずっと成績よかったのに。
勉強したって意味ないやん。
僕はお父ちゃんの跡継ぐって決まってんのやろ。
ほかに何かやりたい事あるんか。
別に。
やりたい事もないんやったら学生は学生らしいに勉強せえ!お父ちゃんかて学校行かんで旅芸人やってたやろ。
米屋も継ぐの嫌がって潰したんやろ。
何やとお前この野郎!藤吉はん。
会社なんか継ぎとない。
隼也。
ほっとけ。
(ため息)
(りん)ごめんやす姉さん。
りん!どないしたん?隼ちゃん道修町の支店の方に来てますさかい伝えとこ思て。
へ?隼也がりんちゃんとこへ?向こうで一晩面倒見てもらいますよって。
勉強もせんとこんな本ばっかり読んで。
藤吉はん?何してはんの?あいつは何も分かってへんのや。
俺は将来の事心配して…。
藤吉はん!藤吉はん!脳卒中いわゆる中風です。
中風?意識が戻ったとしても手足のまひが残る可能性があります。
今は血の巡りがようなるようよう手足をさすってあげて下さい。
隼ちゃんはよう入り。
僕のせいや。
あんたのせいちゃいます。
お父ちゃんすぐに目ぇ覚まして冗談や言うて笑わはるわ。
お父ちゃんごめん。
はよ起きてぇやお父ちゃん。
藤吉はんてんてんてんごのおてんちゃんですえ。
なあ藤吉はんわろてんか。
北村笑店始まって以来の一大事や。
社長が戻ってきはった時今より寄席を繁盛させて驚かせたるんや。
ええな!
(一同)はい!
(亀井)寄席繁盛させるてどないしまんねや?
(トキ)そんな手だて何かあるん?まだ考えつかん。
え!?もう〜藤吉おったらなぁ。
(リリコ)藤吉っつぁん!リリコさん!大丈夫なんか?なあ目ぇ開けてえや。
何辛気くさい顔してんの。
頼むから起きてぇや。
忙しいのに来てくれはっておおきに。
絶対うちが助けたる。
医者に掛け合うてくる。
リリコさん?アカンかったわ。
金ならなんぼでも出す言うたったんやけど…。
おおきに。
けどじき目ぇ覚まします。
あんた偉いなぁ。
こんな時でもわろうてられて。
うちは涙しか出てけぇへん。
(栞)藤吉君顔色はよかった。
あの分だとすぐによくなって戻ってくる。
へえそう思い…。
大丈夫か?おてんさん。
悲しゅうて…心細うて…。
けど藤吉はんは約束してくれはった。
一生うちを笑わせるって。
そやから今うちが泣いたらアカン。
たまには泣いてもいいんじゃないかな。
藤吉君とこれまでよりもたくさん笑っていけるようになるためにも。
あっ。
何やお母ちゃんか。
何や?これ。
リンドバーグや。
ニューヨークからパリまで単独無着陸飛行に成功した有名な冒険家や。
僕も冒険したいねん。
へ?お父ちゃんの跡継ぐいうても超えられるとは思われへん。
僕はお父ちゃんを超えたいんや。
やっぱり藤吉はんの子ぉやな。
え?
(うめき声)藤吉はん?お父ちゃん?藤吉はん!てん…。
はい。
左半身に少しまひがありますが大きな後遺症が残るような事はないかと。
よかった。
寄席は?風太があんじょうやってくれてます。
好きにやらかしそやなぁ。
ああ見えて忠義もんでっさかいなぁ。
何も心配いりまへん。
そやな。
へえ。
ただいま。
(イチ)お帰りやす。
ご心配おかけしましたけど社長ちゃんと言葉もしゃべれてわろてくれました。
あ〜よかった。
そらよろしゅうおました。
(お楽)ごりょんさん社長にお客さんですが。
大阪中央放送所さん。
月の井団吾師匠をラジオに出してもらえませんか?団吾師匠の落語を流したら聴かはる皆さんも大喜びですわ。
アホな事言うな!ラジオで落語流したら寄席に客が来ぃひんようになる。
いや…。
お引き取り下さい。

(ラジオ)もし落語がラジオで聴けるようになったらどない思います?そらうちの会社潰れるわ。
そうですな。
お母はんわざわざおおきに。
(しず)お加減はどうどす?ええ。
日に日にようなってそろそろ歩く練習してもええて。
夫婦水入らずで過ごせる休みをもろた思たらよろしおす。
(団吾)そら夢みたいな話やな。
日本中の人らが師匠の噺聴いて腹抱えて笑う日が必ず来まっせ!オモロイな。
ラジオに出たらなんぼもらえますんや。
まさかラジオに出る気やありませんやろな。
北村の寄席から噺家締め出そうっちゅう奴がおるらしいやないか。
その腹いせにラジオに出るちゅう事ですか?うちにぎょうさん借金あんの忘れた訳やありませんやろな。
もしラジオに出るんやったら返してもらいまっせ。
「返せ」言われてもない袖は振れ〜ん!ならこっちにも考えがあります。
おい!・はい!
(風太)これでも出はりますか?一人でおったら不安になってな。
ちゃんと歩けんかもしれん。
仕事も戻れんかもしれん。
怖いんや。
そんな事二度と言うな。
おてんさんがどんな気持ちで君の看病をしていたか分かるか?どんなにつらくても君が戻ってくる事を信じて笑っているぞ。
いいか?必ず歩け。
這ってでも歩け。
おてんさんを悲しませるな。
分かった。
約束や。
何や?これ。
(団吾)噺家の口に蓋をするのは無理というもの。
わしはこの封印を解くためにラジオに出ます。
絶対出させへんぞ。
起き上がれるようになってよろしおしたなぁ。
さすが藤吉さんや。
うちの人がてんのお婿さんと認めただけの事はありますなぁ。
お父さんが?一生あの子を笑わせてくれはるいう約束あんたさんなら必ず守ってくれはる。
そう信じたからこそ駆け落ちも放っといたんやと思います。
苦労ばっかりかけてますけど…。
好いたお人とする苦労は苦労のうちに入りまへん。
これからも親子三人でどんどん苦労してどんどんわろうとくれやす。
はい。
きれいなお花やわ。
お母はんおおきに。
てん覚えてるか?え?「花と信じればどんな寒空の下でも花は咲く」。
お父はんがあんたに言わはった言葉や。
へえ。
藤吉さんとてんの花はまだまだこれから大きゅう咲きますやろ。
その大輪の花をお父はんと私に見せてもらえますやろか。
お母はん。
はい。
死神がお迎えに来ましたで。
ああっ…。
どないしはりましてん。
こんな夜中に。
落語と万歳どっちがオモロイ?その質問うどんとそばどっちがうまいっちゅうのと同じです。
あんたはどっちが好きや?うどんかな…。
わしはそばや。
わしはラジオに出んで。
え?そんな事したら寄席にお客さんが来んようになってしまいます。
うまいそばのためやったらわしはわざわざ遠い店まで食べに行くで。
お客さんが店に来んのはまずいもん出してるさかいや。
明日ホンマにオモロイ落語聴かしたる。
新しい時代の幕開けや。
ちょっ…。
団吾師匠はまだ来ぃひんか。
(イチ)まだです。
北村笑店がのるかそるかの一大事や。
団吾師匠中に入れたらアカンぞ!
(2人)へえ!ラジオ局にはゆうべから社員を張り付かせて見張らしてるさかい。
捕まえたるわ!俺な三途の川の手前まで行ったんや。
へ?けど後ろの方からワッハッハて大勢の笑い声が聞こえてな。
何やオモロそうな事やってるんやったらちょっと見たろ思て戻ったら目ぇ覚めた。
ほんでな思ったんや。
もっともっと世の中に笑いを広めるために新しい事にも手ぇ広げなアカンちゃうかってな。
いや〜アカンアカンアカンアカンアカン。
社長がそんな坊さんの説教みたいな事言うてどないすんねや!おうラジオ絶対アカンぞ!あ〜もううるっさい。
何やそれ!何やまたケンカなん?おお隼也。
お父ちゃんな長い事病院におってふぬけてるからガツンと一発励ましたってや!頼むでもう!うん。
ほなな隼也。
全く…。
藤吉はん隼也が話があるそうです。
何や。
僕勉強して大学行きます。
お父ちゃんが倒れて歯食いしばって頑張るお母ちゃん見て初めて気ぃ付いたんや。
自信がないから逃げてるだけかもしれんて。
僕にとって一番の冒険はお父ちゃんの跡継いでお父ちゃんを超える事や。
なまはんかな仕事ちゃうで。
はい。
大学行ってそれでも男の一生の仕事や思たら北村笑店継いでくれ。
はい。
あと10分や。
見逃してへんやろな。
瞬き一つせんで見てました。
おじけづいて諦めたんや。
放送中止や。
そうでんな。
ええ。
(ラジオ・アナウンサー)「8時になりました。
『ラジオお好み演芸』のお時間です」。
何でや放送始まってんのか。
普通に。
「月の井団吾師匠の独演会です」。
どういうこっちゃ!?
(団吾)お茶の間のラジオの箱ん中にちっちゃいわしが入っててしゃべってんのとちゃいまっせ。
わしは今京都の放送所からしゃべってまんねん。
大阪から放送する思てたお客さん方当てが外れましたな。
やられた!風太も一本取られたなぁ。
(団吾)ラジオと聞くとむやみやたらに怖がる頭の古いお人がいはるもんで…。
誰が頭古いやこら!
(団吾)新しいもん怖がるんは分かりまっけどそらもったいない話やと思うんですわ。
何より怖いいうたら死ぬ事でんな。
ここに1人死神に取り憑かれた男がおりまして借金で首が回らんようになったこのどうしようもない男。
「ああもうこうなったら死んでしまうよりしかたないわ」。
「おい」。
「誰や?あんた」。
「死神や」。
「死神?わしをあの世に連れに来たんやな?急に死にとなったんはお前のせいやな!」。
「そうやない藤吉。
お前にはまだ寿命がある」。
(アサリ)藤吉言うたで!
(万丈目)これ東京落語の「死神」や。
(団吾)「これが皆人間の寿命や」。
「あれその横のは?暗うて短うて今にも消えそうな…。
あっこれ…」。
「そうやこれが藤吉お前や。
お前の寿命はもっと長かったのに欲張り過ぎたんや。
もうじき死ぬで」。
「まだまだ俺にはやり残した事がぎょうさんあるんや!」。
「ここに灯しかけのろうそくがある。
これにその消えかかってる火ぃを移せたら助かるかもしれん」。
「はよせんと消えるで」。
「横からゴチャゴチャ言いなはんな!」。
「ああ…消えた」。
ラジオやのにろうそく消えたん見えたわ。
(団吾)ろうそくみたいに最後まで明るう燃え尽きたいもんや。
落語はまだまだオモロなりまっせ!皆さん明日は風鳥亭の高座でお待ちしとります。
やっぱり団吾師匠は天才や。
俺らは今笑いの歴史のとんでもない瞬間を味わったんかもしれん。
団吾師匠のラジオ放送が寄席の世界をぶち壊そうとしてるんや。
俺もはよ退院して働くで!また頑張っていきましょ。
あんたより団吾師匠の方が一枚上手やったんや。
お前は俺の味方ちゃうんか。
いつもそばにいてて俺の事よう知ってるやろ。
うちはいつもあんたの味方や。
ちゃう!そういう味方やのうて。
お前が好きや。
結婚して下さい。
ホンマにうちでええの?お前しかおらへんわ。
よろしゅうお願いします。

ラジオ放送を聴いた人たちが団吾の落語を生で聴こうと寄席へ押しかけました
お帰りやす。
(歌子)よかったな。
これから頑張って働くで。
何やったらもうひとつきぐらい休んどったらよかったんや。
ここは俺とおトキがいてたら安泰や。
俺と?おトキ?ようやっとこの二人祝言挙げる気ぃになったんや。
おめでとう風太おトキ。
おおきに。
あんたらが結婚できんのも団吾師匠のおかげちゃうか?寄席が繁盛してんのは師匠のおかげやしな。
俺も新しいもんに挑戦する気持ちもろたわ。
これからはラジオとケンカせんと仲ようしていきまひょな。
(一同)へえ!生字幕放送でお伝えします2018/01/21(日) 11:08〜11:28
NHK総合1・神戸
「わろてんか」一週間 第16週「笑いの新時代」[字]

昭和になりラジオ放送が始まった。落語を大切にしたい藤吉(松坂桃李)とてん(葵わかな)に対し、風太(濱田岳)は万歳が今後主流になると考え対立が大きくなる。

詳細情報
番組内容
昭和になりラジオ放送が始まった。時代の変化は北村笑店にも押し寄せ、落語を大切にしたい藤吉(松坂桃李)と万歳が今後主流になると考える風太(濱田岳)の対立が大きくなっていた。そんな時、藤吉が突然脳卒中で倒れ入院するが、てん(葵わかな)の付きっ切りの看病の甲斐もあって藤吉は意識を取り戻した。ラジオ局が人気落語家・団吾(波岡一喜)を出演させようと画策するが、寄席の客が減ると考えた藤吉も風太も反対する。
出演者
【出演】葵わかな,松坂桃李,濱田岳,広瀬アリス,徳永えり,大野拓朗,前野朋哉,枝元萌,堀田真由,藤井隆,内場勝則,波岡一喜,高橋一生,鈴木保奈美
原作・脚本
【作】吉田智子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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