エディー・マーフィーのアジア人変装ネタの記事が凄まじい反響だったけど、その反応で驚いたことがある。一部のリベラルな方々が「エディー・マーフィーのギャグには社会的な意味がある」と主張していたことだ。確かにエディーのギャグにはそういうのもあるし、それ以前に俺が前回の記事でエディー・マーフィーの素晴らしい反差別ギャグを紹介した。でもエディーのギャグは酷いのだらけだよ。差別ネタも多い。
おちんちんがエディー・マーフィーになるというギャグ。この時のお相手のヒロインは何とジャネット・ジャクソン!あのスーパースターがよくこんなくだらないギャグに付き合うよ。ジャネット・ジャクソンに影響受けた安室奈美恵とか絶対にやらない*1。
かなり昔の話だけどエディー・マーフィーが攻撃していたのは
- 同性愛者
- イタリア系移民
- WASP
- 黒人
だ。この動画はイタリア系をバカにしまくるエディー・マーフィー。トップコメントは「俺イタリア人だけど、全部その通り」。
他にも「妻が黒人」というのが人気ネタで、その派生バージョンで「妻が日本人」というのもある。ちなみに『ナッティ・プロフェッサー2』や『マッド・ファット・ワイフ』は黒人女性との性生活をとことんバカにしている映画だ。
ビバリーヒルズ・コップ
日本でも人気の『ビバリーヒルズ・コップ』だけど撮影直前で白人俳優が降板して急遽エディー・マーフィーが代役になった。脚本を変更する時間が無かったため、意外かもしれないが映画に人種要素は無い。その代わりエディー演じる主人公が黒人差別ギャグをかますシーンがある↓
↓予約無しでホテルに泊まるために、「予約に俺の名前が無いだと!このホテルはニガーを拒絶するのか!」と脅すシーン。この「嘘つきまくって色んな所に潜入する」が大人気でシリーズで繰り返される定番ギャグになる。騙されるのはたいてい白人女性。
↓同性愛者のフリをして「あのオトコに性病移しちゃったかもしれない」とオネエ言葉で嘘をつくシーン。当時は名シーンだったが今は問題だろう。
社会的な意味とは程遠いギャグだ。ちなみに『ビバリーヒルズ・コップ1』の悪役はユダヤ系イギリス人で、『ビバリーヒルズ・コップ2』の悪役はドイツ系。『ビバリーヒルズ・コップ2』では主人公キャラ3人がユダヤ人を笑いものにするシーンがある。
再びマッド・ファット・ワイフ
『マッド・ファット・ワイフ』も酷い。ネタバレだけど『マッド・ファット・ワイフ』のクライマックスを解説する。
- エディー・マーフィー演じる妻が、エディー・マーフィー演じる夫を殺そうとする。
- 妻「死が二人を分かつ時が来たわね!」
- そこでエディー・マーフィー演じるアジア人がクジラを殺す巨大な銛を持って登場
- アジア人が叫ぶ「クジラ女め!」
- アジア人は妻のアナルに太い銛を挿して「潮吹き穴に命中!」と叫ぶ
- 妻が逃げたのでハッピーエンド。
自分で書いていて呆れるほどくだらない。もし『マッド・ファット・ワイフ』と同じネタをダウンタウンがやったら、「エディー・マーフィーのギャグには社会的な意味がある」と主張していた人たちが逆に激怒するはずだ。
そもそもこの映画はエディー・マーフィーが特殊メイクで迷惑な黒人を演じたり、黒人への悪口を面白くするためにアジア人に変装する内容。浜田のモノマネよりもハッキリとした差別を感じる。だからこそ面白い。反差別ギャグだから面白いのじゃなくて、差別ギャグだから面白い。
なぜ逆の主張が?
しかしネット上ではリベラルなアカウントの人たちが『マッド・ファット・ワイフ』の記事を引用しながら「エディー・マーフィーのギャグには社会的な意味がある、このギャグを理解できない日本人がおかしい」と主張し、そして同意する人がたくさんいる。その原因はいったい何か?前回と同じ結論だけど、誰も『マッド・ファット・ワイフ』を観ていないからだ。別にそれは構わない。俺は「知らなかったでは済まない」と人々を叩く最近の風潮が嫌いだし。
それにここ10年のエディーの映画は「いったい誰が観るんだ?」状態を通り越して、「観るほうが変」状態。ああいう映画を観るのは変人(俺とか)に任せておけばいい。でも他にもう二つ原因があると思う。
まずネット上の記事を読む時に自分の政治思想が最優先すぎて、記事の内容自体はちゃんと読まなくなっている。これはフェイクニュースが流行る原因にもなっている。
もう一つの原因は、政治思想が違う相手を叩きまくるアメリカ型の分断社会が日本のSNSでも再現されつつあることだ。俺の考えるリベラルって言葉の意味通り「自由主義」だけど、実際には攻撃的で排他的なアカウントが多くてネトウヨにそっくりだ。彼らが対消滅してくれたら世の中は自由になると思う。
結論
↓エディー・マーフィーとは関係ないけど、2016年のコメディ映画『ザ・ブラザーズ・グリムズビー』から「ブッカケ・パーティ」の動画です。ブッカケられる男は何とマーク・ストロング!。超絶下品なので閲覧注意。「日本のお笑いはくだらない」と主張する方々、お笑いは全世界でくだらないのです!
なおダウンタウンの黒塗りについてはBCCの記事が、「差別するつもりがないからといって、侮辱的で道徳的にきわめて不快」という観点と「米国人の罪の意識を日本人に押し付け」という両方の観点を紹介していてとても良くまとまっています。
www.bbc.com
『マッド・ファット・ワイフ』以降のエディー
せっかくなので最後に変人向けに『マッド・ファット・ワイフ』以降のエディー・マーフィーを紹介する。
デイブは宇宙船
エディー・マーフィーが実は宇宙船だった!という意味不明の映画。宇宙人たちが地球でリベラルを学ぶという内容なんだけど、その結果女性に卑猥な言葉を投げかけるようになる。それってセクハラなんじゃ…。
ペントハウス
ペントハウスの従業員たちが力を合わせて、自分たちを搾取した金持ちから金を奪う。銃を持って戦おうとする白人と、銃を持ちたくないエディー・マーフィーの対比ギャグが面白い(黒人が銃を持っているとあっという間に撃ち殺されるから)。
ジャックはしゃべれま1,000
エディー・マーフィーが1000語喋ると死ぬという設定。喋るとうざいエディー・マーフィーが喋れなくなるというコメディだけど、喋れなくても十分うざいのが面白い。「千語」という原題を「しゃべれま1,000」にしたのが良いアイデア。
*1:That's カンニング! 史上最大の作戦?があったけど