トランプ米大統領、禁句使い中米やアフリカの移民罵倒=報道
米メディアは11日、ドナルド・トランプ米大統領が米国への移民の一部出身国について、公の場での使用がはばかられるような汚い言葉を使って語ったと報じた。
米紙ワシントン・ポストによると、トランプ大統領はハイチやエルサルバドル、アフリカ諸国からの移民について、「肥溜めみたいな国からなんであんなにやってくるんだ」と発言したという(訳注:「肥溜め」の原文は「shithole」で、直訳すれば「くその穴」。英語圏では公の場での使用はマナー違反とされる)。
米メディア各社も同紙と同様の内容を報道。ホワイトハウスは報道を否定せず、ラジ・シャー報道官は文書で、「ワシントンにいる一部の政治家たちは外国のために戦うが、トランプ大統領はいつも米国民のために戦う」と述べた。
同報道官はさらに、「能力に基づく移民制度がある他国と同じように、トランプ大統領は、我々の社会に貢献し、経済を成長させ、我々の偉大な国家に同化できるような人々を歓迎することで、我々の国をより強くする恒久的な解決策のために闘っている」とし、「勤勉な米国人の生活を脅かし、合衆国でのより良い生活を求めて合法的にやってくる移民たちが損をするような、一時的で弱く、危険な当座しのぎの方策を彼(トランプ氏)は絶対拒否する」と述べた。
報道によると、トランプ氏の発言は、共和・民主両党の議員たちが超党派の移民政策を提案するためにホワイトハウスを訪れた際に出た。民主党のリチャード・ダービン上院議員(イリノイ州選出)が自然災害や戦争、伝染病の流行に直面する国の市民に一時的な居住資格を与える制度について説明している際だったという。
ワシントン・ポストによると、トランプ氏は議員らに対し、ノルウェーのような国から移民を受け入れるべきではないのかと語ったという。10日には、ノルウェーのエルナ・ソルベルグ首相がホワイトハウスを訪問している。
共和党のリンジー・グレアム上院議員(サウスカロライナ州選出)もホワイトハウスでの会合に出席していたが、トランプ氏の失言についてはコメントを避けた。
ニューヨーク・タイムズ紙は先月24日、昨年6月に大統領執務室で行われた移民に関するミーティングでは、トランプ氏がハイチ人は「みんなエイズに感染している」と発言したと報じている。
トランプ氏の今回の発言が報道されると、反発の声がすぐに上がった。
民主党の黒人議員、イライジャ・カミングス下院議員(メリーランド州選出)はツイッターで、「許しがたい発言と大統領職の品位を落とす行為を強く非難する」と述べた。
同じ民主党の黒人議員、セドリック・リッチモンド下院議員(ルイジアナ州選出)は、トランプ氏の発言は「米国を再び偉大にするという意図は実際のところ、米国を再び白人の国にするという意図だというのを示す新たな証拠だ」と指摘した。
米議会で唯一のハイチ系米国人議員、共和党のミア・ラブ下院議員(ユタ州選出)は、「不寛容で、対立的、エリート主義的」な発言をトランプ氏が謝罪するよう要求した。
全米黒人地位向上協会(NAACP)は、トランプ氏が「人種差別と排外主義の異次元にさらに深く」沈み込んでいると非難した。
しかし、ホワイトハウスは批判をものともしない姿勢を示した。
米CNNテレビによると、ある政権高官は、「中央政治の場では激しい反発を招くだろうが、彼(トランプ氏)の支持基盤には共感されるだろうと政権関係者は予想している。国歌斉唱の際にひざをつくNFL(米プロフットボールリーグ)選手たちを攻撃した際に、支持基盤の離反が起きなかったように」と語ったという。
ワシントンのエルサルバドル大使館はトランプ氏発言へのコメントを控えるとした。
11日の会合では、議員たちは一時的な在留資格(TPS)を一部の国の市民に与える制度を打ち切らない代わりに、メキシコ国境の壁の建設費として15億ドル(約1670億円)の予算配分を提案したという。
トランプ政権は今週8日、20万人以上のエルサルバドル出身者が対象となっているTPSの打ち切りを発表。このため過去30年近く米国内に居住してきた対象者は来年9月までに米国から出国するか、正式な居住資格を申請しないと、強制退去させられる可能性がある。
1991年に中央アメリカを襲った地震で被災した人々がTPSの対象となっていた。今回の措置によって数十万人の移民が米国から強制退去を命じられる可能性がある。
しかし、国務省は8日、当時の地震で損壊したインフラはほぼ再建されていると述べた。ハイチ人やニカラグア人を対象とするTPS滞在許可はすでに打ち切られている。
(英語記事 Trump 'in Oval Office foul-mouthed outburst about migrants')