【1月14日 AFP】ミャンマーのアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問は12日、同国のイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が法的手続きを経ずに殺害された事件への関与を国軍が認めたことについて、「新たな一歩」だと述べた。現地紙が13日報道した。

 ミャンマー軍は過去数か月間、ロヒンギャに対する虐待や虐殺があったことを強く否定してきた。しかし、同軍は10日、西部ラカイン(Rakhine)州インディン(Inn Din)村で昨年9月2日に起きた事件の調査結果として、治安部隊員4人がロヒンギャ戦闘員10人の殺害に手を貸したと発表した。

 同州では昨年8月から約65万5000人のロヒンギャが隣国バングラデシュに避難しており、難民たちは一貫してミャンマー軍による虐殺があったと証言している。

 スー・チー国家顧問は12日、日本の河野太郎(Taro Kono)外相との会談後、軍がインディン村での虐殺事件への関与を認めたことは「わが国が踏み出した新たな一歩」だと述べた。

 現地英字紙「ミャンマーの新しい灯(Global New Light of Myanmar)」の報道によると、スー・チー氏はさらに「最終的には、国内における法の支配(を実現すること)は、その国の責任である。われわれが責任を果たすため歩んでいることは、前向きな兆候だ」と述べた。

 ロヒンギャ武装集団「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」は軍が虐殺への関与を認めたことを「心から」歓迎すると表明し、このことはレイプや殺人、組織的な村の焼き打ちなど、より広範なロヒンギャ迫害疑惑を立証するものだと述べた。

 ARSAはツイッター(Twitter)上で声明を発表し、「(虐殺され)集団墓地で発見されたこれら10人のロヒンギャは民間人であり、ARSAの構成員でも、関係者でもない」と述べた。

 ミャンマー軍はインディン村で殺害された10人は戦闘員だったと主張しているが、同村から避難したロヒンギャらは、被害者はすべて民間人だったと証言している。

 村民の女性は、仏教徒の集団と兵士が村を襲った後、「会議に出席させる10人から15人(の村民)を選んだ」と証言。連行された村民たちが戻ることはなく、後になって女性の夫と他の村民たちが殺害されたことを知らされたと述べた。(c)AFP