【1月21日 AFP】(更新)トルコは20日、米軍が支援するシリア北部のクルド人民兵組織「クルド人民防衛部隊(YPG)」の排除に向けた空爆と地上作戦を開始した。

 作戦はYPGとイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」を標的として、グリニッジ標準時同日午後2時(日本時間午後11時)に始まった。作戦名は「オリーブの枝」とされている。

 トルコの半国営アナトリア(Anadolu)通信の報道によると、トルコの空爆と砲撃の標的は、アレッポの北方に位置し、YPGが掌握するミナク(Minnigh)空軍基地など108か所におよび、クルド人戦闘員側に死者または負傷者が発生した。

 国境のトルコ側にいたAFP特派員は、トルコ軍機2機が夕方にシリア領内で空爆を行い、巨大な白煙が立ち上るのを目撃した。

 アナトリア通信は、トルコが支援するシリア反体制派組織「自由シリア軍(FSA)」が、YPGの支配下にあるシリアのアフリン(Afrin)への進軍を開始したと報じている。

 一方、現在のところ、トルコ軍が国境を越えてシリア側に侵攻したという情報はない。

 トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は、アフリンの後、その東方に位置するマンビジ(Manbij)からのYPG排除を目指すと述べた。 今回の作戦をめぐっては、米ロ両政府がシリア情勢のさらなる不安定化などへの懸念を表明していた。

 トルコ外務省は、首都アンカラ(Ankara)に駐在するロシア、イラン、米国の外交当局者を呼び、作戦について伝えたと明らかにした。また、メブリュト・チャブシオール(Mevlut Cavusoglu)トルコ外相はレックス・ティラーソン(Rex Tillerson)米国務長官と電話会談。さらに、トルコ軍トップのフルシ・アカル(Hulusi Akar)参謀総長は、米ロ両軍のトップに作戦について伝えた。

 ロシア当局によると、同国のセルゲイ・ラブロフ外相(Sergei Lavrov)とティラーソン国務長官の間でも協議が行われた。

 ロシア外務省は「ロシア政府はこの知らせに懸念を抱いている。われわれは双方に対して自制を呼び掛ける」と表明。一方、ロシア国防省は、あらゆる「誘発」を防ぐとともに、兵士の安全を確保するため、アフリンから軍を撤退させていると明らかにした。

 このほか、チャブシオール外相はテレビ局「24」に対し、「われわれはシリア政府に対して書面でアフリン攻撃について伝えている」「われわれとシリア政府には関係がないにもかかわらず、われわれは国際法に沿った手続きを取っている」と発言。

 一方、シリア国営シリア・アラブ通信(SANA)は、シリアへの通知はなかったとの同国外務省筋の発言を報じている。(c)AFP/Bulent Kilic with Stuart Williams and Fulya Ozerkan in Istanbul