廃棄キャベツでウニ美味に=「もったいない同士」活用-駆除対象、特産品に・神奈川
食べる部分がないウニにキャベツを与えたら、うま味のある身がぎっしりと生育-。
神奈川県三浦市で、海藻を食い尽くすと駆除されてきたウニに廃棄されたキャベツを与え、短期間で養殖することに県水産技術センターが成功した。味も好評で、新たな特産品へと期待が高まっている。
長いとげが特徴のムラサキウニは、岩礁の海藻がなくなる「磯焼け」の一因とされる。三浦半島周辺では海藻を食い尽くす一方、身が少ないため食用にならない。ダイバーが4年間で駆除したウニは11万個に上る。
「ウニは何でも食べる」。センターの臼井一茂主任研究員(48)は、OBが何気なく発した言葉にひらめいた。三浦半島はキャベツの一大産地だが、形や大きさが基準に合わず1割が廃棄されている。「もったいない同士を生かそう」と考えた。
2016年から実験を本格化させ、30種類以上の餌を試した。パンの耳やマグロ、トウモロコシの皮はほとんど食べなかったが、キャベツは食い付きが良かった。ウニ200匹が3日で3玉(約5キロ)をほぼ完食。身は77日で平均12.5%、最大17.3%増大した。北海道では3カ月で5%程度といい、名産地を上回る成長ぶりだった。