一面中電、尾鷲火力発電所を18年度停止 木質バイオ発電新設へ
中部電力は三重県尾鷲市の尾鷲三田火力発電所(計八七・五万キロワット、石油燃焼)の運転を二〇一八年度限りで終了する方針を固めた。エネルギー自由化や省エネの浸透で販売電力量が先細りする中、原発一基分(百万キロワット)に迫る異例の大規模な出力削減に踏み切る。一方で木材を燃やすバイオマス発電所を市内に新設する見通し。 三月にも公表する電力供給計画に盛り込む方向で地元との協議に入った。三重県と経済産業省にも近く伝達する。 中電で建て替えを伴わず火力発電所を閉じるのは旧新清水火力(静岡市、一五・六万キロワット)以来十四年ぶり。五十万キロワットを超す大型火力では初めてで、全国的にも珍しい。一九年度に予定されている中電・東京電力の火力統合で尾鷲火力は除外される見通しだ。 関係者によると、新設のバイオ発電所は一万キロワット未満の小型となる。地元の間伐材を燃料として林業活性化に役立てる。発電の排熱は魚の養殖に活用する。環境に優しいバイオ発電を通じ、県南部の産業振興に寄与したい考えだ。 尾鷲火力は、電気事業に大きな影響力を持った実業家松永安左エ門(一八七五~一九七一年)が提唱した大型火力発電所構想に基づき、高度成長期の電力需要に対応するため、中電の三田民雄元副社長が建設を指揮。名称は三田元副社長にちなむ。六四年に運転を始め、主に夏場の電力使用ピーク時に活躍した。 現在は二基の運転で約百人が勤務。東日本大震災で電力需給が逼迫(ひっぱく)した二〇一一年度は稼働が二百日近くに達したが、近年は年数日にとどまる。発電コストが高く、絞り込みの対象となった。 今、あなたにオススメ
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