2009年4月公開例会:「アイヌ民族を知り、自らを知る」
当会青年部はこのほど「アイヌ民族を知り、自らを知る」と題して4月公開例会を開きました。この公開例会には青年部員の他、青年団体メンバーや市内複数の大学生、アイヌ問題に取り組む青年、歴史研究者や九条の会関係者など23名が参加しました。
講師に北海道アイヌ協会江別支部長で元道立中札内高等養護学校長の清水裕二さんをお招きし、アイヌ民族が受けた侵略の歴史や差別・偏見、教育現場での課題や民族教育の可能性、国会「先住民族決議」以後の動向について講演を聞きました。
清水さんは講演の冒頭、38年間の教員生活を振り返り、「一番辛かったのは学校の職員室だった」と語り参加者は驚きました。アイヌ民族として認知され、途中から自らアイヌであることを隠さなかったからこそ「信頼すべき仲間がいるはずの職員室に、一部ですが信頼できない先生がいた」「いまだに許せない思いもある」と語り、差別の厳しさを紹介しました。
清水さんは「アイヌ民族だから」と受けてきた差別や「いじめ」を紹介。「成績でしか見返すことができなかった」と、清水さんは必死で勉強し、高校でも常にベストテンに入る努力家でした。一方で「アイヌの言葉を教えない」ことが徹底されてきたため、現在なお「アイヌ語は話せない」と清水さん。民族の尊厳を奪ってきた同化政策に驚きの声があがりました。
2008年6月に「アイヌ民族を先住民族と認める国会決議」が全会一致で採択されましたが「これは外圧(国連機関等の圧力)の結果」とみる清水さんは決議後、巻き返しを狙う右派による「怪文書」が旭川を震源地に発せられ、全国に波紋を広げていると指摘されました。また、決議の提案説明にも「御同情」と記載があり、「いま真に必要なのは『同情』ではなく謝罪ではないのか」と問いかけました。アイヌ民族が辿った歴史を多くの国民が知ることで、真の政府による謝罪と先住民族の権利擁護を実現しようと呼びかけました。
清水さんは「アイヌ民族学校」の可能性についても触れ、多くの権利を含む先住権のうち「教育権が一番大切ではないか」とその内容を紹介しました。
講演後の質疑応答では若い参加者2名が「厳しい差別の中で、なぜ教員生活を続けてこれたのですか」など質問が出されました。清水さんは「(教員を)途中でやめてしまったら『だからアイヌは…』と言われる。それに加えて自分を支えてくれた家族を養うため、最後までがんばることができた」と家族への感謝の言葉で講演を結ばれました。
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★当例会は「財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構」様の「アイヌ文化活動・アドバイザー派遣事業」により講師派遣をいただきました。この場にてご紹介するとともに、お礼申しあげます。
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