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キャリアコラム

六本木ヒルズ復活に一役、すご腕営業マンが語る極意

2018/1/20

東京都港区の六本木ヒルズ

 2020年の東京五輪を控え、首都圏では次々超高層ビルが建設され、テナント獲得競争も激化している。東京を代表する超高層ビル「六本木ヒルズ」復活に一役買ったすご腕の営業マンがいる。森ビルのテナント営業で前人未踏の境地を切り拓いたチームリーダー、飛松健太郎(39)だ。リーマン・ショック後、空室率に苦しむ六本木ヒルズにメルカリ(東京・港)など有力な新興企業約30社を引き込み復活させた。これまで営業のノウハウは決して口にしなかったが、「一線は引いた。そろそろいいかな」と飛松が今明かす極秘の営業の手の内とは……。

■灘中受験に失敗

 「生きるか死ぬかでやっている営業マンが手の内をさらすわけなんかない。よくある営業手法のハウツー本なんて中身はスカスカ」。取材をすべて拒否。この10年間、飛松はこのスタンスを貫いてきた。

森ビルの飛松健太郎氏

 ではすご腕といわれる飛松の「本物」の営業手法とは。意外や意外、基本は学生時代のアルバイト、子供向けの教材販売でたたき込まれた。「たかが教材販売」と笑うことなかれ、ここで実績を残すことは飛松にとって自分の存在意義を示すことそのものだった。パワハラ体質のアルバイトで、飛松はグッと耐え、森ビルで伝説をつくるのに必要な営業の基礎を皮膚の穴から全身で吸い込んだ。

 兵庫県宝塚市で育ち、小学校のときに「ごく当たり前のように灘中学を目指した」飛松だったが受験に失敗、四国の有名進学校、愛光中学(松山市)に入学した。「よし、東大を目指そう」。奮起した飛松。しかし、これもかなわず、さらに追い打ちをかけるように父親が勤めていた会社が倒産し、リベンジも許されなかった。仕方なく首都圏の国立大学に入学したものの「正直、腐っていた」。

■アルバイトで月60万円

 そんな時、出会ったのが教材販売のアルバイト。家庭を訪問し、家庭教師の派遣とセットで教材を販売する仕事で、「腐っていても仕方がない。ここでまずはトップをとってみよう」。必死で駆け回り最高で月60万円を稼いだ。ものの見事にトップ営業マンとなったが、ここで学んだのは「クラッチング」という営業の手法だった。

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