月額料金を抑えつつiPhoneを使いたい――そんな時、MVNOが提供する通信サービス、いわゆる「格安SIM」は有力な選択肢の1つとなる。
しかし、au(KDDI・沖縄セルラー電話)の回線を利用するMVNOサービスでは、他の機器とネット接続を共有できる「テザリング(インターネット共有)」を利用できないという大きな制約がある。
KDDIグループの一部MVNOサービスでは、機種限定でこの制約は解消された(参考記事)。しかし、一部機種では未だにテザリングできない上、他のMVNOでは全機種非対応のままである。
「au系MVNO×iPhoneでテザリングできない」問題は、このまま解決できないのだろうか?
1月15日、総務省で「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の第2回会合が行われた。
この会合にケイ・オプティコムが提出した資料から、同社とKDDIがiPhoneのテザリング問題について協議を進めていることが明らかとなった。
そんな同社は1月18日、SIMロックフリーの「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」を独自に調達して販売することを発表。しかし、このiPhone 7/7 Plusはauプランでテザリングできない問題を抱えたまま。ある意味で「見切り発車」での発売となる。
この問題に関連して、同社の上田晃穂モバイル事業戦略グループ グループリーダーに「auプランでテザリングができるようになる見通しはないのか?」と質問したところ、「技術的にはできるめどが付いた。ただし、費用と時期の調整が付いていない」との回答を得た。
iPhoneでのテザリング実現にはめどが付いたものの、費用と時期の調整が必要だという。どういうことなのだろうか。
先述の通り、KDDIグループの一部MVNOサービスでは、機種限定ながらiPhoneでのテザリングを実現している。対象機種では当該MVNO用の「キャリア設定」が用意されており、これをダウンロード(アップデート)することでテザリングが可能となる。
キャリア設定はOSと一体となって動作するものなので、テストもしっかりと時間をかけて行う必要がある。また、その配信はAppleが行うので、キャリア(MVNO)の一存でタイミングを決める訳にもいかない。
そのことを踏まえると、mineoのauプランにおけるテザリングは、キャリア設定を用意(追加)して対応しようとしている可能性が高い。そうであれば費用と時期の調整が必要であることも納得が行く。
キャリア設定でテザリング対応すると、別途「APN構成プロファイル」をインストールしなくても通信できるというメリットもある。接続設定が不要となるのだ。
しかし、機種ごとにキャリア設定を用意する必要があるため、全機種に対応しようとすると相当なコストと労力が必要となる。それをMVNOごとに、となればAppleの負担も相当なものになってしまうはずだ。
筆者個人としては、APN構成プロファイルで書き換えたAPNでテザリングを許可することがコストもかからず手っ取り早い解決方法だと思う。もっといえば、手動でのAPN書き換えを許可して(参考リンク)、それをテザリングでも使えるようできれば、構成プロファイルをあらかじめ導入しておく必要もなくなって、ある意味で楽になるとも考える。
しかしauでは、テザリングは“オプション”。iPhoneの場合、一定のタイミングでオプション契約の有無を確認するようになっている。この「認証」の方法を変えるか撤廃しない限り、これらの手法は使えない。
ともあれ、全てのau系MVNOサービスにおいてiPhoneを使ってテザリングできる日は来るのだろうか。今後の動向に注目したい。
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