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沼津・鉄道高架 土地収用調査費、予算案計上へ最終調整

(2018/1/20 07:40)

 沼津市はJR沼津駅付近鉄道高架事業に伴い移転を計画する新貨物駅用地(同市原地区)の取得に向け、土地収用法に基づく立ち入り調査の関連費用を2018年度当初予算案に盛り込む方向で事業主体の県と最終調整に入った。19日までの複数の関係者への取材で分かった。18年中の調査開始を県、市で判断する見通し。用地交渉が難航し、長年硬直状態にあった市の最重要課題は大きな局面を迎える。
 調査費は約5千万円で、市が当初予算に盛り込む18年度の鉄道高架関連事業は、前年度とほぼ同規模の15億円程度となる見通し。立ち入り調査は、土地収用法35条に基づき測量や物件調査を行い、作成した調書を基に県収用委員会に権利取得と明け渡しの採決を申請、収用委の審理に移る。裁決申請に向けた手続きに入る一方、市は地権者との任意交渉を続けて円満解決を目指す。
 沼津駅周辺総合整備事業の核である鉄道の高架化には、現貨物駅の移転が必要となる。調査費は08年に市が予算計上したものの、川勝平太知事の事業見直し方針を受けて撤回。住民参加型の合意形成手法パブリック・インボルブメント(PI)など大規模な検証を経て、14年に川勝知事が改めて事業推進を表明した。
 大沼明穂市長は16年10月の市長選で事業の財政面の検証を訴え当選。17年2月に一転、事業の推進姿勢を示したことで地権者との溝が深まり、対応が注目されていた。
 市は15年から用地交渉を再開し、17年末時点の用地取得率は83%。土地売却に応じていない地権者は33人となっている。

 <メモ>JR沼津駅付近鉄道高架事業 沼津駅付近の東海道線、御殿場線を延べ約5キロ高架化する計画で、南北交通改善や新たな土地利用の可能性などを見込む。県が事業主体で、2006年に国の事業認可を得た。事業費は787億円で県、市がそれぞれ約190億円を負担する。事業期間は22年度までだが、高架化の前提となる現貨物駅の移転予定地・原地区の地権者の反対で事業が進んでいない。周辺の区画整理などを含めた沼津駅周辺総合整備事業(全体事業費約2千億円)は、16年度までに約3分の1が完了している。

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