2018年に創業99年を迎えた東京都台東区の「真多呂人形」が、人気キャラクター「初音ミク」の雛人形を制作した。
非売品で、3月9日までショールームの真多呂人形会館(台東区上野5-15-13)で展示する。
伝統工芸とポップカルチャーの融合
真多呂人形は1919(大正8)年創業。約270年の歴史がある、木彫りの像の溝に布を埋め込んで衣装を着せる「木目込(きめこ)み人形」の技術を現代に受け継ぐ。
「初音ミク雛」は日本の伝統文化を知ってもらおうと、3月3日のひな祭りと3月9日の「ミクの日」にあわせて制作した。
初音ミクを生んだクリプトン・フューチャー・メディア社と熟練の職人たちが協力し、伝統工芸とポップカルチャーが融合した躍動感ある作品を目指したという。
まずは3分間見つめて
企画当初は頭部のみをフィギュア素材にすることも検討したが、木目込み人形の伝統的な意匠を生かすことに。髪形や十二単の色合わせにより、ミクらしさを演出する。
もともと、ひな人形は男雛と一対で女児の幸せな結婚を願う意味もあるが、初音ミク雛はあえてペアを作らないことで、幸福の価値観が多様化した現代に自立した女性が夢を叶える姿も表したそうだ。
同社は発表で、「まずは、3分間見つめてください。長い時間をかけて研究・洗練されてきた伝統工芸品の表情には、眺めれば眺めるほど引きこまれる、不思議な趣深さがあることに気づくはずです」と呼び掛けている。