「横浜傾きマンション」、泥沼法廷闘争の行方

建て替え関連費用460億円をめぐって泥仕合

解体が進むパークシティLaLa横浜。新たなマンションは2020年ごろに竣工予定だ(記者撮影)

建て替え費用約299億、仮住まい費用約107億、その他も含めて合計約460億――1月19日、巨額の損害賠償を巡る泥仕合の火蓋が切って落とされた。

横浜の新築マンションが文字どおり”傾いた”――。

2015年10月、三井不動産レジデンシャルが販売した「パークシティLaLa横浜」(横浜市)で、マンションを支える基礎杭が支持層(マンションを支える固い地盤)に達していないことや、施工データの改ざんが発覚した。

その後の調査で、建物を支える基礎となる杭473本のうち、8本が必要な深さまで打たれておらず、重複を除く70本の施工データが改ざんされていたことが判明。こうした改ざんは全4棟のマンションのうち3棟に及んでいた。

ずさんな施工だけでなく、施工会社の三井住友建設、1次下請けの日立ハイテクノロジーズ、そして杭の施工を請け負った2次下請けの旭化成建材という重層下請けの実態も露呈した。

進まぬ建て替え費用の協議

傾斜発覚の発端となった手すりのズレ。三井不動産レジデンシャルは当初「東日本大震災の影響」としていた(撮影:2015年10月、今井康一)

あれから2年。当時の住民は転居し、4棟のマンションは建て替え工事が進んでいる。一方で、建て替え費用の負担をめぐる三井不動産レジデンシャルと三井住友建設らとの話し合いは決着を見ぬまま、裁判ざたへともつれ込んでいる。

対立の原因は、傾斜が確認されていない3棟まで建て替えとなったことだ。

三井住友建設およびその下請け会社である日立ハイテクノロジーズと旭化成建材は、傾斜発覚後、施工不良を認め謝罪。マンション全4棟のうち、傾斜が確認された1棟の改修費を全額負担するほか、残る3棟にも不具合があれば工事を行う意向を示した。

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  • NO NAME5492d98d3836
    新築のマンションなんて買うもんやないな。
    まして未だできていないマンションのモデルルームだけ見て買うのなんて論外。
    築10年くらいの物件ならクラックの発生状況や居住者の属性など確認できる。
    up23
    down8
    2018/1/20 08:05
  • NO NAME1d53fac38025
    建築業界、不動産業会は色んな意味でブラックすぎる。
    もっと法律で厳しく規制すべき。
    その方が、業界で働く人も、消費者もラクになれるはず。
    up21
    down7
    2018/1/20 08:05
  • NO NAME4c3801d67fb6
    係争中に施行された法改正や新条例に阻まれて当初の計画が立ち行かなくなり最終消費者へシワ寄せといった事例はあってはならないのになくならない。

    そういった前例も考慮せず全棟建て替え案を持ちかけたレジデンシャルの対応が案の定無責任だった結果、費用問題は宙づりのまま解体は進んで法律を抜きにしてもこのマンションの3棟改修案は既に手遅れ。

    今後同じようなケースがあった場合はせめて建設中、問題解決中の建造物に関して、その期間内に施行された法改正類に猶予を設ける仕組みには出来ないものでしょうか。
    up11
    down2
    2018/1/20 08:21
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