魔理沙とアリスの「ロボット工学三原則」殺人事件シリーズ考察


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そもそもロボット工学三原則とは

 ロボット工学三原則(ロボットこうがくさんげんそく、Three Laws of Robotics)とは、SF作家アイザック・アシモフのSF小説において、ロボットが従うべきとして示された原則。ロボット三原則とも言われる。人間への安全性、命令への服従、自己防衛を目的とする3つの原則から成る。アシモフの小説に登場するロボットは常にこの原則に従おうとするが、各原則の優先順位や解釈により一見不合理な行動をとり、その謎解きが作品の主題となっている。ロボット工学三原則は後の作品に影響を与えたのに加え、単なるSFの小道具にとどまらず現実のロボット工学にも影響を与えた。(ウィキペディアより)


第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

 要するに、ロボットが人間を蹴ったり、銃で撃ったり、毒を盛ったりすることはできないし、他人がそれらをしようとしているときは絶対に阻止しなければならない、ということ。
 ロボット工学三原則の最も根となる部分であり、以下二項が適用されるのもこの一条を厳守した上のもの、とされている。


第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。

 要するに、人間に危害を加える、というもの以外ならどんな無茶な命令でも聞かなければならない、ということ。


第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

 要するに、『人間を傷つける』場合と『人間の命令』以外ならどんな時でも、自身の稼働を継続させなければならない、ということ。


 あとは第0条もあるが、本作には関係ないので外した、とのこと。
 作中に出てくるロボットは以上の三原則をプログラムの根幹に仕組まれており、これを組み替えるのはたとえロボット工学の天才・第一人者でも絶対に不可能である。というのが作中におけるロボット工学三原則の立ち位置である。
 今作はいかにして三原則の矛盾をつくか、という点に主眼が置かれている。また、本作は推理モノとしては"ノックスの十戒"も"ヴァン・ダインの二十則"も必要ねぇんだよ!と言わんばかりガバガバっぷり。というかPart4での投稿コメントにもあるように大ポカがあるので、まじめに推理するだけ無駄である。
 あくまで推理はオマケで、事件をもとに引き起こされる刑事コンビの人間ドラマとして観るのがよいだろう、と考えて視聴していただきたい。

 作中の登場人物は全て「人間」か、「ロボット」に大別され、それ以外の種族は一切出てこない。
 原作の原作にあるような不死設定や特殊能力も誰も持っておらず、あくまでTDN人間と、ロボットである。また、原作の原作の職業や立場も一切考慮されておらず、寧ろ原作の原作を知っているほうが困惑するので、そういった設定は考えずに視聴されたい。

+<Part 1解説>

概要

 ロボット技術のハッテンした都市、「幻想郷」。
 この幻想郷に住まうロボット工学の第一人者、"エーリン"が自宅で死亡しているのが発見された。
 死因は薬物によると見られる急性肝不全。現場はガチガチにセキュリティの張り巡らされた完全な密室に、エーリンの死体と、彼女お抱えのロボットが二台。うち一台である"てゐ"は、エーリンの目の前で機能停止していた。
 C-5級私服警官"アリス"と、彼女の所有するロボット"魔理沙"は、事件解決のために"霊夢"市長に呼び寄せられ、同僚の"幽々子"とそのロボット"妖夢"とともに捜査にあたることとなる。
 不審な点は大きく二つ。「何故ロボットしかいない部屋の中でエーリンは死んだのか?」「ロボット工学三原則の第三条により、自身を守らなければならないロボット・てゐは機能を停止していたのか?」という点である。
 もう一台の博士のロボット"うどんげ"に事情聴取を続ける幽々子たちと別れ、アリスたちはエーリンの出資者であったスカーレット・マネジメント社へと向かう。アリスにはある心当たりがあった。
 スカーレット・マネジメント社社長"レミリア"と面会するアリス。スカーレット・マネジメント社にはエーリンの他にもう一人"パチュリー"という高名なロボット工学者がおり、アリスは彼女を疑っていた。
 多忙だというパチュリーに会うアポを取り付けたアリスたちは、それまでの間、エーリンを殺害した証拠を見つけるために動き出したのだった。

登場人物

アリス ・人間
 本作の主人公。幻想郷のC-5級私服警官。「C-5」級とはランクの一つで、例えるなら日本警察における警部・警部補・巡査部長のうちの一つだと思えばいいだろう。アシモフ作品内ではキッチンの食べ物の質が向上したり、と他にも特典があるようだが、本作では考えないでいい。
 相棒として「魔理沙」というロボットを所持しており、これを大切にしているようだ。
 今回の事件に関しては本来は管轄外だったが、ロボット工学の第一人者が殺害されたという今件を重く見た市長が呼び寄せたらしい。
 今件の犯人としてS.M.社お抱えのパチュリー・ノーレッジ博士を疑っているようだが・・・?

魔理沙 ・ロボット
 アリスの相棒で、ロボット。アリスとはそれなりにいいコンビのようだ。

幽々子 ・人間
 C-5級私服警官で、アリスの同僚。相棒として「妖夢」というロボットを連れている。
 今回の事件では管轄の刑事として捜査にあたっていたが、市長がアリスを捜査に加わるよう指示したためにアリスとは別の視点から犯人を追うことにした様子で、ロボットのうどんげから事情を聞き出そうとしている。

妖夢 ・ロボット
 幽々子の連れのロボット。真面目な性格のようで、逆に不まじめな幽々子のお付としてしっかり仕事をこなす。
 幽々子と共にうどんげから事情を聞き出す。

エーリン ・人間
 ロボット工学の第一人者で、今回の被害者。「うどんげ」「てゐ」という二台のロボットを所持している。他人に弱みを見せない性格だったらしい。
 今回の事件により、薬物による急性肝不全により死亡。ロボット工学の第一人者であったということで、市にも大きな波紋が広がったらしい。

てゐ ・ロボット
 エーリンお抱えのロボットの一台。
 死亡した永琳の目の前で機能停止していた。三原則第三条により自身を守らなければならない彼女が、何故機能を停止していたのだろうか?

うどんげ ・ロボット
 エーリンお抱えのロボットの一台。ただ少しドジらしく、うどんをこぼしたりと粗相も多いようだ。
 こちらはまだ稼働しており、今件を悲しみながらも幽々子と妖夢から事情聴取を受けていた。

博麗霊夢 ・人間
 幻想郷の市長。ロボット工学第一人者であったエーリンが殺されたことを重く見てアリスを呼び寄せ、事件解決にあたらせる。

レミリア ・人間
 エーリンへの最大の出資者であるロボット関連企業、スカーレット・マネジメント社の社長。「咲夜」というロボットを所持している。「クライアント」のことを警察から隠したがっているようだが・・・?

咲夜 ・ロボット
 レミリアの所持するロボット。警察であるアリスに対しても物怖じせず話しかけていた。

八雲紫 ・人間
 謎の「クライアント」。レミリアがアリスから匿った人物。その正体は謎に包まれている。

最後のまとめ


 第一条
 ロボットは人間に危害を加えてはならない
 またその行為を看過することによって、
 人間に危害を及ぼしてはならない

 Q:現場にはロボットしか居なかった。
 第一条を守らせたまま、
 人を殺させる方法は?


 第二条
 ロボットは人間に与えられた命令に
 服従しなければならない。
 ただし、与えられた命令が
 第一条に反する場合はこの限りではない。

 Q:第二条を守りつつ、人間から
 聞かれても、犯人に不利になる証言を、
 ロボットにさせない方法は?


 第三条
 ロボットは第一条および第二条に
 反する恐れのない限り
 自己を守らなければならない。

 Q:抵抗した形跡も無く、
 機能停止したロボット。
 何故、身を守れなかった?

総評

 遂に始まった蓮奈理緒作品第二の壁、ロボット工学三原則。
 作品は明らかに推理モノといった雰囲気ではあるが、あくまでガバガバトリックのTDN人間(ロボット)ドラマなので気楽に見て頂きたい。
 あくまで某脳噛漫画のように推理モノの皮をかぶった何か、と予め言っておけば評価も少しは違っただろうに、残念なところである。

+<Part 2解説>

概要

 アポ通りスカーレット・マネジメント本社ラボに、パチュリー博士に会いにやってきたアリスと魔理沙。そして、朝っぱらから楽しげなパチュリーとそのロボット"小悪魔"がイチャついている様を遠い目で見つめていた。小悪魔のスキンシップ(21禁らしい)は博士によって「この行動は危害じゃ無い!」と教えこまれているのだ。
 アリスはパチュリーとの小悪魔から話を聞き出そうとするが、小悪魔の言動により話をはぐらかされてしまっていることに気づく。
 そこにタイミング良く現れたのは、博士へ仕事を頼んでいる、という"八雲紫"と、そのロボット"八雲藍""橙"だった。怒るパチュリーをなだめる藍たちに、仕事のクライアントがわざわざ博士のラボに来るのか?と勘ぐる魔理沙。しかしアリスは紫たちの情報が全く無い現状は不利だと感じてさっさと引き上げた。
 一方その頃、新しい情報をうどんげから引き出すことが出来ずに困り果てていた幽々子・妖夢だったが、そこにうどんげを訪ねて"輝夜"が現れる。なんと、輝夜はエーリンのフィアンセだと言うのだ。
 アリスたちは、行きつけのロボット専門店「妖怪の山」で、店長の"文"とそこで働くロボット"にとり"に、魔理沙の今日1日記録したデータのコピーを依頼していた。
 そしてにとりがバックアップした(おそらく)魔理沙の視界のデータを見ると、データ内の「机の上のメモ」に武器の明細、それもとんでもない重火器の明細が書かれていたのだ。
 果たして、このメモが意味するものとは・・・?

登場人物

アリス ・人間
 本作の主人公で、C-5級私服警官。エーリン殺人事件の調査をするためにパチュリーのもとへと出向くが、紫たちに阻止され引き返すことに。

魔理沙 ・ロボット
 アリスの相棒。彼女のデータのバックアップから重大な証拠が掴めるか・・・!?

パチュリー ・人間
 スカーレット・マネジメント社お抱えのロボット工学者。ロボット工学者としては非常に有能で社長からの信望もアツゥイ!ようだが、同分野の第一人者であるエーリンにはさすがに劣っていたようだ。

小悪魔 ・ロボット
 パチュリーの所持するロボット。パチュリー博士によって変態チックな調整をされているらしく、彼女に対してセクハラまがいのスキンシップを強制してくる。

八雲紫 ・人間
 謎のクライアント。前回ではあんなにアリスたちの前に出るのを嫌がっていたのに、今回はパチュリーがアリスと話さんとなるとあっさり出てきて、話をはぐらかした。

八雲藍 ・ロボット
 八雲藍のロボット。ロボットにしては頭の回る優秀な機体の様子。

橙 ・ロボット
 橙のロボット。藍よりは馬鹿っぽい。

幽々子 ・人間
 アリスと同僚のC-5級私服警官。事情聴取の最中に団子を食っていた。お仕事したくないもの~

妖夢 ・ロボット
 幽々子の所持するロボット。幽々子とともにうどんげの事情聴取にあたっており、意外な来訪者と出会う。

うどんげ ・ロボット
 エーリンお抱えのロボットの一台で、壊れてないほう。幽々子と妖夢から事情聴取を受けており、これ以上めぼしい情報は無いと悲鳴を上げている。

輝夜 ・人間
 うどんげを訪ねてきた、エーリンのフィアンセ。

文 ・人間
 アリス行きつけのロボット専門店「妖怪の山」の店長。優秀なロボット技師であるらしく、アリスも信頼を置いているようだ。

にとり ・ロボット
 「妖怪の山」で働くロボット。ちなみに彼女は雛という従業員のロボットらしいが、正直関係ない。

総評

 前作の最後で言ってた「それまで証拠詰め」とは何だったのか、イキナリ激寒イチャつきパートを見せつけてアリスと視聴者たちをゲンナリさせ、ヴァン・ダインの法則など関係ないということを改めて思い知らせてくれる。また、前作でコソコソしていたいとうあさこがあっさり出てきたり、と相変わらずつっこみどころが多いが、とりあえず最後まで見て頂きたい。そんなツッコミなど些細なものだと思い知らされることになるのだから。

+<Part 3解説>

概要

 パチュリー博士に加え、彼女のラボに現れた紫たちも何かを知っている、と考えたアリスたちは、市長に連絡を入れて紫たちの経営するボーダー商会へと向かうことに。
 ボーダー商会にて紫達と対峙するアリス。前回、魔理沙の記録にあったパチュリーの机の上のメモの内容から、ボーダー商会が本来の事業だけでなく、パチュリーと武器の取引をしていることを突き止めていたのだった。
 普通、三原則があるゆえにロボットでは人を殺せないハズの工学者が武器の取引をしているのはおかしい、と睨み、紫を逮捕・拘束しようとするアリスたち。しかし紫は明細だけでは証拠にならない、という。
 そこに、客人へのお茶を持って、ロボットの橙がやって来た。お茶を怪しんで調べる魔理沙だったが、「ロボットは人間に危害を加える事ができないからお茶も安全なはず」だというアリスの言葉に納得し、お茶を手渡す。
 魔理沙から手渡されたお茶を飲んだアリスは・・・その場に倒れこんでしまった。
 魔理沙は、自身が手渡したお茶によってアリスに危害を及ぼした、と思い、自分の行動と、第一条の制約のズレが過負荷になって、電子頭脳が壊れ、機能を停止してしまった。
 紫はその二人の様子を冷静に見つめながら、客人が倒れたから、とアリスたちを自身の部屋に運ぶように藍・橙に指示する。
 そんな藍たちを静止するように霊夢市長と、幽々子・妖夢が現れた。幽々子の指示によって搬送されるアリスと魔理沙。
 霊夢はアリスから、「理由付けは自分がするから紫を逮捕するのに協力してくれ」と頼まれてやってきていたのだった。公務執行妨害、並びに傷害罪、並びに私有財産破壊の容疑で逮捕される紫。こうして紫の身柄を確保することに成功したのだった。
 霊夢や文に見守られ、病院で目を覚ますアリス。アリスは重度のきのこアレルギーであり、橙の持ってきたお茶に含まれていた少量のきのこエキスで発作を起こしたのだった。
 アリスは無事だったものの、魔理沙はショックにより電子頭脳がぐちゃぐちゃになり、もう使い物にならなくなってしまっていた。自身が無茶な作戦を立てたせいで魔理沙を犠牲にしてしまった、と落ち込むアリスに、魔理沙のカタキヲトルノデス!と励ます霊夢たち。アリスは誤字も乗り越え、なんとか頑張ってみると再び立ち上がる。
 そんなアリスに霊夢が紹介したのは、エーリンのフィアンセだという輝夜だった。輝夜の話によると、エーリンはなんと妊娠していたのだという。エーリンと、お腹の子供のカタキヲトルノデス!と言う輝夜。そしてアリスは、市長に事件の関係者全員を集めるよう願い出る。
 パチュリー博士に、「ロボット工学三原則の、特に第一条の欠点が見付かった」と伝えるように付け加えて・・・

登場人物

アリス ・人間
 今作の主人公で、C-5級私服警官。八雲紫逮捕のために何の証拠も無いのに敵の本陣に乗り込むが、危うく昏睡レイプされかける。

魔理沙 ・ロボット
 アリスの相棒。自身の手渡した紅茶を飲んでアリスが昏睡してしまったことからロボット三原則第一条と矛盾が生じ、破損してしまう。UDK死んじゃったよ~(半笑い)

八雲紫 ・人間
 ボーダー商会の社長で、パチュリーと取引していた。今回、別件逮捕ではあるが身柄を拘束されてしまった。

八雲藍 ・ロボット
 八雲紫のロボット。

橙 ・ロボット
 八雲紫のロボット。アリスに紅茶を運び、魔理沙に怪しまれて紅茶を取られてしまったものと思われる。

霊夢 ・市長
 幻想郷の市長。アリスに呼ばれ、ボーダー商会にやってくる。

幽々子 ・人間
 アリスの同僚のC-5級私服警官。アリスと魔理沙が身を張って作り出した容疑で紫を逮捕した。

妖夢 ・ロボット
 幽々子のロボット。

文 ・人間
 アリス行きつけのロボット専門店「妖怪の山」の店長。アリスの見舞いに来たり、とただのお得意さん以上の関係であることがうかがえる。

にとり ・ロボット
 「妖怪の山」の従業員ロボット。魔理沙を何とか修理しようと奮闘しているようだ。

総評

 今回は特に、いとうあさこの逮捕劇がメインとなる。この逮捕劇にも色々とツッコミたいことがあるだろうが、一応次作でもガバガバ解説があるので、そちらで詳しく考察したい。というか、今回の逮捕劇がそのまま事件の顛末であるのだが。
 霊夢市長の「敵を取るのです!」というセリフに違和感を感じる人も多いかもしれないが、エルシャダイのPVが発表されたのは2010年のことなので、オマージュとかでは無い筈。

+<Part 4解説・総合考察>

概要

 魔理沙が死んでも「アリガト☆」と平静を装うアリスと、彼女を心配する幽々子たち。彼女たちはスカーレット・マネジメント社社長の別邸へとやってきていた。

 そこにはレミリア、咲夜の他、今回の容疑者たるパチュリーと小悪魔が呼ばれていた。アリスは、余裕の様子で工学三原則の欠陥について尋ねるパチュリーに、前日のボーダー商会での顛末を説明しはじめた。

 重度のきのこアレルギーであるアリスに、きのこエキスの入った紅茶を「ロボット」(魔理沙)から手渡され、それを飲んで昏倒してしまった事。

 そして、その紅茶は元々別のロボット(橙)の持ってきたものであり、それにより安全だと判断してアリスに紅茶を手渡した、という事。

 飲み物を入れるロボット(橙)は、「入れたもの(きのこエキス)が、大多数の人に対して無害であること」が認知出来れば良い。

 飲み物を人に渡すロボット・・・(魔理沙)は、「それが、飲ませる相手(アリス)に害の無い物」であるかが認知出来ればいい(お茶を持ってきた自分以外のロボット(橙)も第一条の下で動いているハズだから安全だと認知する)。

 故に、アリスは第一条を

 ロボットは人間に危害を加えてはならない
 またその行為を看過することによって、
 人間に危害を及ぼしてはならない

 ただしロボットはその行為が人間に危害を
 及ぼすのか、知っていなければならない

 と書き換えるべきだ、と指摘する。
 そして、エーリン殺人事件では、"橙の役をうどんげ"が、"魔理沙の役をてゐ"がやらされたという。
 それでも私がやったということにも証拠にもならない、と言うパチュリーの前に、うどんげがやってきて証言を始める。エーリンはアレルギー疾患で、パチュリーが事件の前日に、免疫抑制効果のある薬をエーリン・うどんげの家に持ってきており、うどんげはそれを薬溶液に混ぜたのだという。

 うどんげが証言していることに驚くパチュリー。アリスは、ロボット工学第二条「ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。」という条件を破らせ、人間の命令(幽々子たちからの事件の真相を話せという命令)を拒否させる方法が見付かったという。
 それは、第二条の後半部分「ただし、与えられた命令が第一条に反する場合はこの限りではない。」を利用したもので、うどんげが与えられた命令に服従する(事件の真相を話す)ことで、パチュリー(人間)に危害が及ぶことを教えたのだという。
 こうすることで、パチュリー(人間)に危害が及ぶ故にうどんげは真実を話すことが出来ず、幽々子たちと押し問答を繰り返していたのだが、にとりら優秀なロボット技師のおかげでなんとかなった(笑)という。

 パチュリーが置いていった薬はアレルギー疾患の際に飲む免疫抑制作用のある薬ではあるが、もし妊娠している時に飲んでしまうと急性肝不全を引き起こしてしまう副作用があるのだという。エーリンはアレルギー疾患のことといい妊娠のことといい自分の弱みを他人に見せたがらない性格で、うどんげはエーリンの妊娠を知らずに薬を出してしまったのだ。

 パチュリーはこの三原則の問題点を利用し、レミリアらにも内緒でロボット兵器の作成に着手していたようで、それをエーリンに知られて犯行に及んだのだ。

 こうして全ての真相が解き明かされ、パチュリーと小悪魔は逮捕されることとなった。
 しかし、アリスにはまだやるべきことが残っているのだった・・・

登場人物

アリス ・人間
幽々子 ・人間
妖夢 ・ロボット
パチュリー ・人間
小悪魔 ・ロボット
霊夢 ・人間
文 ・人間
にとり ・ロボット
うどんげ ・ロボット
輝夜 ・人間
レミリア ・人間
咲夜 ・ロボット
紅美鈴 ・ロボット
魔理沙 ・ロボット

事件考察

 ほんへだけでは語られ無かった事件についての考察。考察であり公式(HZN)の考えと同じかどうかは不明。

考察1、ボーダー商会での顛末

  1. アリスと魔理沙のことを鬱陶しく思った八雲紫が、事前に"アリスがきのこアレルギーである"ことをリサーチする
  2. "橙にはアリスがきのこアレルギーであることを告げずに"紅茶にきのこエキスを入れさせ、運ばせる
  3. ただし橙にはそれとなく魔理沙に紅茶を渡すように指示し、魔理沙に紅茶を渡すことで、魔理沙の手からアリスへ紅茶が手渡されるように仕向ける。
  4. アリスが魔理沙から受け取った紅茶を飲んで昏倒、魔理沙も第一条に矛盾して破損する

 以上の予測が恐らく一番可能性としては高いと思われる。いとうあさこが幽々子に逮捕された際に「アリスがきのこアレルギーだと知らなかった」等言い逃れしなかったことからもうかがえる。
 三行目のそれとなく魔理沙に紅茶を渡す点の難易度が高いことから、結果として一石二鳥にはなったものの、紅茶で狙ったのはアリス一人だけで、魔理沙に関しては別の排除プランを考えていた可能性もある。
 ちなみにこの予測だと、いとうあさこを逮捕出来たのはほぼ99%運、というより彼女の完全な自滅であり、何も知らずに無邪気に紅茶を飲んで魔理沙を壊したアリスは棚から牡丹餅である。(仮にアリスがきのこエキスか何かを仕込まれるのをわかった上で紅茶を飲んでいたとしたら、魔理沙を壊したは完全にアリスの故意ということになる)

考察2、うどんげの口封じについて

 パチュリーがうどんげに、人間の「事件の真相(パチュリーが薬を置いていき、その薬を自分が薬溶液に混ぜたという事実)を話せ」という命令を拒否させるために、後半の「ただし、与えられた命令が第一条に反する場合はこの限りではない。」を利用した、という点。
 うどんげが「事件の真相を話す」という命令を実行することにより、人間に危害が及ぶ、という状況をパチュリーが作り出したという事らしい。
 恐らく、うどんげが真実を話すとパチュリー(人間)が捕まってしまう、あるいは罰を受けて死刑にさせられてしまう、とか教え込んだことにより真実を話せなくなってしまったものだと思われる。

考察3、本事件の顛末

  1. ボーダー商会から武器を買い取り、ロボット兵器の開発を研究していたパチュリー。しかし、そのことを同じロボット工学者のエーリンに知られてしまう。
  2. 何らかの方法(笑)でエーリンのアレルギーと妊娠の事実を知ったパチュリーは、妊婦にのみ有毒な薬を手に入れてエーリンのもとに出向く。
  3. 薬をうどんげに与え、「私が薬を持ってきたことがバレると危害が及ぶ」と付け加え、薬をてゐを経由してエーリンに飲ませるように命令する(第二条)。
  4. てゐがエーリンに薬を飲ませる。しかし薬により急性肝不全を引き起こされたエーリンはその場で死亡。てゐはその様子を見て、自分がエーリンに危害を加えた(第一条)と思い、ショートを起こして機能停止する。

 というものであったと考察される。

本作品における、いわゆる"ポカ"

 これは、エーリンの殺害に使われた"ブレディニン"のことを指していると思われる。
 ブレディニンは作中でも説明されているように一般にも市販されている免疫を抑える薬である。
 ブレディニンは今作のエーリンのような、妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人には処方が禁止されている。
 が、禁止されている理由は、ブレディニンの動物実験での胎児に対する催奇形作用(子供が奇形になってしまいやすい効能)が報告されているから、である。決して妊婦がブレディニンを採取してからといって急性肝不全で死んだりはしない、らしい。
 一応、ブレディニンの副作用にて急性腎不全がおこることがあるらしいが、それは妊娠云々とは関係なく引き起こるらしく、また起こる可能性は高くない。
 よって、今件は『毒性はあるが死亡率は低い薬を飲ませたらたまたまエーリン死んじゃった☆』という推理モノにはあってはならないガバガバご都合主義展開であり、今作品を推理モノではなく激寒SF人間ドラマ作品とせざるを得ない要因なのである。

 ただ、ブレディニンでも妊婦死んじゃうかもしれない!という話を聞いたことがある兄貴がいたら是非とも編集していただきたい。

総評

 まだまだツッコミどころは色々あるだろうがキリが無いので考察はこのあたりにしてあとはダッシュで帰っちゃえ!
 犯人の特定、事件解決の糸口、さらには事件の真相まで何から何までご都合主義展開で、少なくとも推理モノとするならばとてもお粗末なものである。そもそも視聴者に解説・補填してもらわないと全ての謎が解決しない、というのはいかがなものか。
 人間(ロボット)ドラマパートにしても、自分でロボット(魔理沙)を潰しておいてそんな感傷的になられても・・・と思わず言ってしまいがちなところ。
 他、名推理兄貴(特にアシモフ作品既読兄貴)が居れば意見などお寄せいただきたい。
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