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宮城・遊園地

「廃虚の聖地」売却先探しに奔走

敷地内に残るメリーゴーラウンドや観覧車などの遊具=宮城県大崎市で2017年12月15日午後、山内真弓撮影

 「廃虚の聖地」として知られる宮城県大崎市の遊園地「化女沼レジャーランド」(後藤孝幸社長)が売却先探しに奔走している。敷地内に朽ちた遊具が残り、その廃れた雰囲気が多くの人を引き付けてきた同ランド。売り出し始めた2016年6月以降、約10件の問い合わせがあったが、売却先は決まっていない。後藤さんは「観光地として再建させる夢を引き継いでくれる人に購入してもらいたい」と呼びかけている。

 昨年12月中旬、記者は後藤さんと一緒に雪が残る同ランドを訪ねた。赤いさびが目立つ「化女沼レジャーランド」と書かれたアーチをくぐり、高さ約1メートルほどの雑草が生い茂る敷地内をしばらく車を走らせると、赤い小さな看板が見える。朽ちて曲がっているため、「いらっしゃいませ」の文字の一部は読み取ることはできない。

 周囲に視線を巡らせると、メリーゴーラウンドや観覧車などの遊具が目に飛び込んできた。いずれも後藤さんが米国やドイツなど海外から買い付けたものだ。下車して近づくと、さびてはいるが花などの細やかな装飾は残り、往時の華やいだ空気を伝える。「廃虚マニアの人はさびてるからいいって言うんだよね」。後藤さんは遊具を見つめながらぽつりとつぶやく。

 同ランドは1979年に開園。約15万平方メートルの敷地に遊具やゴルフ練習場などが整備され、最盛期には年間20万人が訪れた。しかしバブル崩壊の影響で来園者が減少して経営が悪化し、01年に閉園となった。後藤さんは「悔しいが、時代の流れだった」と話す。

 その10年後、テレビ番組で取り上げられたことがきっかけとなり、廃虚マニアが見学に訪れるようになった。普段は立ち入り禁止だが、後藤さんは廃虚マニア向けのツアーに参加した人に、特別に同ランド内の撮影を認めた。訪れた人の前で同ランドの思い出を語ったこともある。

 「ニッポンの廃墟」などの著書がある鹿取茂雄さん(40)は「廃虚は立ち入り禁止の場所が多く、所有者が撮影許可を出すのは珍しい。後藤社長のように取材や(廃虚好き向けの)ツアーを許可している方は異例。後藤社長の人柄があったからこそ『聖地』とまで呼ばれる存在になり得た」と話す。

 後藤さんは再建を目指していたが、足のけがで断念。土地と設備を5億円で売却することを決めた。商社や医療法人などから「レジャー施設や療養施設にしたい」という問い合わせが相次ぐが、価格などが折り合わずに売却には至っていない。後藤さんは「考え方を引き継いでくれる人に譲りたい」と話している。【山内真弓】

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