新大久保といえばコリアタウンとしてあまりにも有名で日本での韓流のメッカとして名を馳せているが僕は声を大にして言いたい。
イスラム街もあるぞ
ということを。
コリアタウンは新大久保駅の東側に位置するが実は西側には小規模ながらイスラム街が存在する。
今回はそんなイスラム街へ飯を食べに行った話をしたい。
イスラム街なんてあったっけ?と思われる方が多いと思うが新大久保駅の改札を出て明治通りを渡り左へ行くとマツキヨがある。その角を曲った先にイスラム街がある。
地図真ん中の「グリーン ナスコ」や「The Jannat Halal Food」周辺がそうでマツキヨの角を曲がり進んでいくとイスラム系の食品店やスパイス専門店が軒を連ねる。都内で異国情緒あふれる場所と言えばアメ横地下街だがアメ横よりかは異国感は無いがコリアタウンよりは濃くディープな印象。少数精鋭という言葉が似合う街だ。日本人よりも外国人の方が歩いている人数が多い。
お目当ての店はその通りの先にある。
しかも
ライオンズマンション内に。
看板はあるけど〜
普通のライオンズマンションですねありがとうございます。
初めて住所を見たとき「ライオンズマンション2階」と書かれていて2度見くらいした。
そんなお店の名前は
「Solti HALAL KHAJA」
日本語読みするとソルティーガージャル(多分)
ライオンズマンションの階段を上がった2階にその店はあった。
実はイスラム食品店と併設されているのだが食品店の一角にありビデオ屋のAVコーナーのようにカーテンで仕切られているため存在が分かりづらくこの情報を知らずに初めて行くと辿り着くことが難しい。
入り口のお兄さん(もちろん外国人さん)に「ごはん食べれる?」みたいな感じに聞けば「ゴッハーンオイシヨーオッケーコッチ」と通してもらえる。
お店の中はそこまで広くなく4人用テーブルが4つくらいある程度。店員さんも全員ネパール人、テレビから流れる日本語くらいでしか日本は感じられずネパール感満載のお店だ。
このお店、日本人向けには全くアレンジされず本場のネパール料理を楽しめるという知る人ぞ知る隠れ家以上なレストランであり日本人客も全くいなくネパールから街の食堂をそのまま移設したようなお店なのだ。
この翻訳が雑な感じのメニューがいいよね。ソルテイイスペスルサラダとかネパールらめんがじわじわくる。ちなみに日本語対応のメニューができたのはつい最近らしい。それくらいネパール感が溢れるお店だ。
しかも
「DIRNK」
英語も間違ってるんかいwww
いいぞーいいぞー、こういうのほんと好き。
必要最低限の紹介しかされない謎なメニューと翻訳にツッコミを入れるだけで15分くらい平気でかかります。メニューが肴みたいなもんよ。
ということで最初はビールっしょ。エベレスト登頂50周年を記念して造られたエベレストビールで乾杯。味はちょっと甘いオリオンビールと言ったところであろうか。あっさりとしていてとても飲みやすく美味しい。スパイシーな料理によく合う。ちなみにグラスは出されない。ネパール男は黙ってラッパ飲みだ。
気にになった料理を何品かチョイスし注文。ざらっと紹介してみる。
まずはスクティ。
干したマトンの肉を揚げて玉ねぎとスパイスで揚げた料理。
噛めば噛むたびにマトンの肉汁とうま味がジュワワとしみだしてくる。更に干し肉なので噛みしめるのにちょうどいい硬さなのでいつまでも噛んでうま味を堪能することができる。飲み込むのがもったいないくらいだ。少しちりばめられたパクチーと一緒に食べるとアクセントになり一味変わった印象になる。まぁこれが本場パクチーの使い方というか適量なんだなと痛感。これ以降の料理もパクチーの使い方が絶妙だった。パクチーだけをどっさり食べてる人たちも見習ってほしいところだ。
続いてはネパールの餃子「モモ」
今回は蒸し餃子と揚げ餃子をチョイス。ネパール料理はインド料理+中華料理+チベット料理と言われるようにこのような中華テイストでありながらイスラム系のような料理が多い。これは凝ったお店にあるカレー餃子のような具で日本の餃子とは違ってスパイスが多く使われている。タレは黄色いのがカレーソースで赤いのがチリソース。お酒が進む進む。
お次はネパール風焼きそば。
ちょっとスパイシーなナポリタンのような味。これは日本人の口に合う。
4人でつついていたらすぐに無くなってしまった。
ワイワイサデコ
ベビースターラーメン(向こうの名前でワイワイと呼ぶ)をキュウリ、ニンジン、ニンニク、パクチーと和えてスパイスで味付けしたもの。
ベビースターのパリパリ感とキュウリのみずみずしい食感が新鮮に感じてなかなか美味しい。
競馬の馬みたいな名前ですがワイワイ(ベビースターラーメン的なもの)サデコ(和え物)だそうです。
そして今回食べたかった一番の料理がこれ
の う み そ
飲食店のメニューでは初めてみた4文字「のうみそ」
ネパールでは山羊の脳みそをGidi(のうみそ)と呼び食べる風習があるそうだ。
ここでは脳みそをスパイスで味付けしてフライにしたものが食べれる。
新大久保でチーズタッカルビを食べれる店は多数あるが山羊の脳みそが食べられるのはおそらくここだけ。日本でも両手で数えられるくらいだと思う。
スパイスの色でゲテモノ感は薄いが食感は完全にくにゅくにゅしている。白子みたいな感じ。
クリーミーかつくせも無くスパイスがガッツリ効いているのでお酒にも合う。魚の白子もこういうふうに調理したら新しい食べ物が生まれるような気がする。
ちなみに併設されているお店で脳みそを買う事ができる。お土産にどうぞ。
そしてメインディッシュ
ソルテイぐるんデイドウセット
カイルはぐるんデイドウがわからぬ。
メニューにも書かれているぐるんデイドウ。
デイドウの正体はディード。真ん中にある石みたいなものがそれ。ぐるんだけはわかりませんでした。
ディードとはネパールで食べられている主食の一つでそば粉を練ったもの、例えるならネパール風そばがきといったところか。これを米やナンのようにカレーにつけたりおかず、漬物と共に食べる。ディード自体には味付けは特にされておらず素朴な味でほんのりとそばの香ばしい風味がする。日本にはない味というより日本にはあったけれども食文化の変化により失われた味なような気がする。どこか親近感の湧く素朴な味だった。
ソムラスというネパールのそば酒。飲んだ感じだと30~40度くらいある。電気ブランと同じ味がした。ちなみにネパール産のだったんそばを使い長野の酒造会社に委託して製造しているそう。新大久保界隈で買う事が出来る。
ネパールのお酒ジャイカッテ。なんとお酒をお米とバターで炒めるという斬新なお酒。
炒めているからアルコールが飛んでると思うが強烈に強い。口に含んだ瞬間バターの香りがくると思いきやものすごい勢いでアルコールがドゥーーーンと鼻孔までつきぬけるなんとも不思議なお酒だ。お酒自体がバターで脂っこいのであっさりとした料理に合いそう。
最後は〆にマンゴーラッシー。説明不用の美味しさ。今まで飲んだマンゴーラッシーの中でも一番うまかった。ちなみにテイクアウトもできた。
今回食べたのはこれだけであったがこれ以外にも興味深い料理が多数あるので再訪の価値があるお店。値段も比較的安いので軽く飲むにもちょうどいい。
Solti HALAL KHAJAの他にも何件かイスラム系の料理屋があり冒頭に名前を出したグリーン ナスコ(NASCO FOOD COURT)
ではバーベキューチキンが1本100円で売られている。
これもまたスパイスの具合が絶妙で値段も安く何本でも食べられる。
ちなみにこのお店にも併設された食堂があるのだがイスラムの教えに従い飲酒と喫煙がすることができない。それくらいコアな世界が東京にもあるのだ。
様々な文化に触れあえる街である新大久保。興味を持った方は是非とも足を運んでいただきたい。
新大久保でチーズタッカルビを食べる時代は終わった。これからはイスラム料理の時代だ。