ウーバー創業のカラニック氏、億万長者に ソフトバンク出資完了で

カラニック氏 Image copyright Getty Images

日本のソフトバンクグループが主導する投資家連合による米配車大手ウーバー・テクノロジーズへの出資交渉が19日、まとまった。これにより、ウーバーの共同創業者トラビス・カラニック氏は億万長者の仲間入りを果たすことになる。

投資家連合は、ウーバーの既存株主の持ち株の一部や新株を93億ドル(約1兆280億円)で取得する。各社の報道によると、昨年6月に最高経営責任者(CEO)から退いたカラニック氏は14億ドル相当のウーバー株を売却する。

これまでも計算上はカラニック氏の保有資産は巨額に上っていたが、今回の株売却で実現化する。

カラニック氏は、社内のセクハラ問題などスキャンダルが相次いで浮上するなか、株主らの圧力を受けてCEOから退いているが、株売却後もウーバーとの強い結びつきは変わらない。

ウーバー取締役のカラニック氏が売却するのは保有株式の3分の1以下で、所有し続ける株の価値は、現在の株価で30億ドル相当。

ソフトバンクの投資家連合が今回取得するのはウーバーに対する持ち分17.5%。出資額の93億ドルのうち、約13億ドルで新株を取得し、残りは既存株主の保有株購入に充当する。

ウーバーは出資について、「我々の株主、社員、顧客にとってすばらしい成果で、我々が技術投資をさらに強化し、我々のサービスを世界のさまざまな地域や人々に拡大するなかで、ウーバーの企業統治が強化される」と評価した。

すでにウーバーに出資していたソフトバンクは、出資について「非常に満足している」とし、「ウーバーがこれまで以上に世界的に成功するのを助ける」のを楽しみにしている、と述べた。

ソフトバンクのラジーブ・ミスラ取締役は、「新たな経営陣の下、ウーバーには明るい未来がある」と述べた。

今回の出資に伴い、ウーバーは取締役の数を現在の11人から17人に増やし、増員数のうち2人分を投資家連合が確保した。

サンフランシスコに拠点を置くドラゴニア・インベストメント・グループも主要な投資家の一つ。

ウーバーは、セクハラ問題に加えて、規制当局による調査をかいくぐるソフトウエアの開発が批判を集め、技術の盗用で訴訟を起こされるなど、2017年の困難な1年を終えるなかで今回の投資交渉に入った。同社の業績も大幅赤字が続いている。

ソフトバンクは技術分野で大型投資を積極化しており、ライドシェアの中国最大手の滴滴出行や同様に東南アジア最大手のグラブなどに出資している。

(英語記事 Uber co-founder Travis Kalanick a billionaire after $8bn investment deal

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