絶望モモンガ様(勇者ガゼフ編完結/本編完結)   作:思いつきと実験
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あと2話で終わりです。


無血の降伏

帝国では鮮血帝と呼ばれる若きカリスマであるジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスが、最近新たに現れた遺跡にワーカーと呼ばれる冒険者たちを送り込もうと画策していた。

だが、それをデミウルゴスが予期していないはずがなかった。
デミウルゴスとアルベドによって、アーグランド共和国を除いた各国の首脳の近くにエイトエッジアサシンを配置し、常に情報を送り続けるように指示を出してある現状において情報セキュリティなどもはやあってない状態である。

それができるのは偏にこの世界のレベルが低いからであり、ナザリックがガチ暗躍すれば一部を除き誰も対抗できない情報網の出来上がりとなっていた。

そして、帝国の掌握はある意味王国よりも容易いのかもしれない。
なぜなら、帝国には人間最強の魔法使いであるフールーダ・パラダインがいる。

あまりにも有名な彼であるが、世間には知られていない魔法キチっぷりはナザリック側からしてみれば誰よりも利用しやすい。

フールーダ・パラダインは先天的に相手の魔法レベルを視覚的に確認できるタレントを持っている。
その彼の前にナーベラルたちといったナザリックの第八位階以上の魔法を使える者を立たせればどうなるかはもはやわかりきった結末である。

結論として、彼は帝国を簡単に裏切った。
フールーダに魔法を教えてやると言えばそれだけで事足りるのだ。

ナザリック側はモモンガの眠りを邪魔されない状況を作り出すことを最優先として動いている。
暴力のような積極的な支配は無駄な騒動を起こしかねないからこそ、裏から手を回せればそれでよかった。

特に、帝国という国はジルクニフによって腐敗した貴族は排除されているため、独断行動をする愚か者は皆無と言っても良い。

それゆえに、ジルクニフの行動さえ制限してしまえば後は無駄に行動を起こす必要はない。
無理に支配者を変えることで起きる混乱を避け、大人しくさせられればそれでいいのである。

ある意味、帝国はこの世界において最も運の良い国なのは間違いなかった。

今やフールーダにとっても神となったモモンガのため、彼はジルクニフに助言する。

今までのように動くな。
動けば国が滅ぶだけでは済まない。
我らは偉大なる存在によって生きる事を見逃していただいているだけなのだと告げ、聞き入れないのならば敵に回るとまで言ったその言葉に冗談は含まれていない。

それだけでジルクニフは全てを悟っていた。
フールーダはもはや味方ではない。
忠告を破れば帝国全軍に匹敵する魔法使いが敵に回ることは間違いない。

ジルクニフは画策していた支配領域の拡大や、その他の計画の全てを諦める。
全てはフールーダがいたからこそ、維持できていた国力なのだ。
彼の逆鱗に触れればどうなるかはジルクニフでなくても理解できてしまう。

こうして、この世界において最も迅速に、最も平和的に帝国はデミウルゴスの思惑通りに沈黙させられる。

だが、帝国はフールーダがいたことに感謝をすべきである。
彼がいるからこそ、この国はこの世界において最も平和的な、潜在的支配で済んだのだから……。


***


ガゼフ・ストロノーフ。
人類有数の実力者であり、王国戦士長の地位を持つ男は深い傷を負いながらもかろうじて生きていた。

彼は運が良かった。
陽光聖典の天使によって追い詰められ、止めを刺されそうなとき、部下たちが身を挺して庇い切ったのだ。

それは一つの奇跡だったのだろう。
陽光聖典の油断、幸運、地形など、様々な要因が重なり、隊員は気絶したガゼフを抱えて逃げ切っていた。

だが、その代償は軽くはない。
格上相手に逃げ切るために囮となり、策を弄すには己の命を使うしかなかったのだ。

追っ手を振り切り、最後の一人となった隊員は深い森の中で糸が切れた人形のように倒れ伏せる。
その腹部からはおびただしいほどの出血があり、ここまで動けたことは奇跡である。

彼は霞んだ視界の中、駆け寄ってくる誰かに隊長を頼むと言い残し、事切れていた。
彼の表情には無念はない。
ガゼフを護り切れたことに安堵し逝ったのだ。

「ああ、任せておけ。
ストロノーフ、お前を死なせたりはしない」
託された男、ブレイン・アングラウスは強く頷くのであった。



帝国はさらっと流します。
※予想どおり過ぎるので魔法キチは省略しました。

※ブレイン&ガゼフにバタフライエフェクト発生中
ここまでやっておきながら、今後この二人のエピソードに触れるかは不明という。
勇者ガゼフやろうと思ったけど、戦力差ありすぎて・・







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