絶望モモンガ様(勇者ガゼフ編完結/本編完結)   作:思いつきと実験
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アルベド編です。
初のスマホからの投稿なので短いですが、ご容赦ください。


届かない言葉

アルベドだけは全てを聞いていた。
玉座に座り、感情のない声で呟かれた言葉を信じたくなかった。

信じることなどできるはずがない。
自分たちを作った神にも等しき至高の御方々がアインズ・ウール・ゴウンを切り捨てたなどと信じれるはずがない。

だが、その言葉を呟いたのもまた至高の御方々の一人であり、最後まで自分たちを見捨てなかった最も慈悲深き方である。
その方の言葉を疑うことすらも不敬である。

アルベドは矛盾する二つの思考に苦しむ。
モモンガ様。
助けてください。

言葉にならない叫び。
モモンガ様はお疲れになって眠られている。
今は問うべきではない。

心の悲鳴を無視して笑顔を浮かべ玉座の間に控える。
かくあるべしと作られたがゆえに全うする責務。

アンデッドであるモモンガに睡眠など必要がないことに気づいていない振りをして笑顔を浮かべる。
モモンガ様だけはずっとここにいてくださる。
モモンガ様だけは私たちを見捨てなかった。

見捨てなかったから……。
優しすぎるから……。

私たちのために心を砕かれてしまったのですか?

アルベドの頭脳は優秀すぎた。
あの呟きとモモンガの今の状態だけで正解に限りなく近い答えを導き出す。

本当の意味での答えではない。
リアルの世界のことを知らないNPCでは導き出せる答えに限界がある。

リアルというものがあり、そこに至高の存在は拠点を置いているというのがNPCたちの共通認識であり、それ以上のことは何も知らないのだ。

だからこそ、NPCが導き出せる答えとしては限りなく正解と言ってもいいのかもしれない。

気持ちの向けていた先がNPCのためではなく、かつての輝いていた記憶と、40名のギルドメンバーのためであったとしてもモモンガが誰よりもアインズ・ウール・ゴウンを愛していたことに違いはない。

気付けば、アルベドの瞳からは涙がこぼれ落ちていた。
笑顔を固めて泣き続ける。

ごめんなさい。
ありがとうございます。
ごめんなさい。
ありがとうございます。
ごめんなさい。
ありがとうございます。
ごめんなさい。
ありがとうございます。

決して重なり合わない二つの感情。
心の中で何度も何度も謝罪と感謝を繰り返す。

「モモンガ様……」
私たちはここにいます。
あなたを見捨ててどこかに行くことはありません。

あなたが望むのなら何でもいたします。
私たちを求めてください。

だから……、起きてください。
また私たちを見てください。
今度こそ私たちがあなたの居場所になるから……。

祈りは届かない。
モモンガが玉座から動くことはなかった。




ビッチ(ロールプレイ)
※カルネ村は滅びました。







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