絶望モモンガ様(勇者ガゼフ編完結/本編完結) 作:思いつきと実験
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ちょっと思いつきと練習で10分で書いたやつなのでいろいろすみません(先に謝っておくスタイル)
ナザリック編ここにはもう誰もいない
数あるVRMMOにおいて、この時代最も流行したといっても過言ではないユグドラシルという一つのゲームが……、否、時代が後数分の時間を持って終わろうとしていた。
終わりに近づくゲームの中、悪名名高き攻略不可とまで嘆かれた一つのギルド、アインズ・ウール・ゴウンの中で鈴木悟……モモンガは胸が張り裂けそうなほどの焦燥感と絶望感に身を焦がしていた。
「後2分……」
終わりまでわずか。
それを過ぎてしまえば何もかもが終わってしまう。
最後の数分だけと、最後だけの我侭として玉座に座り終わりを待つ。
このゲームのために、ギルドのためにいくらの金を注ぎ込んだのかはもはや覚えていない。
どれほどの時間を費やしたのかわからない。
かつて最盛期には41名いた仲間たちが去っても彼だけはそこを捨てられなかった。
否、捨てられなかったのではない。
彼の居場所はここにしかなかったのだ。
リアルよりも、ゲームの中が彼にとってのある種の現実だった。
仲間たちが去っていってもかつての楽しかった思い出を胸に我慢できた。
しかし、それもサービスが運用されてこそでしかない。
だからこそ、最後だけは仲間たちと会って話したかった。
会ってお礼を言いたかった。
最後だからこそ、一言でいいから話したかった。
だが、煙たがられてもかまわないという想いで出した彼らへの招待状への返信はなかった。
もしかしたらという思いでモモンガは待った。
残り10秒。
誰も来ない。
6……5……。
残酷なまでに時間は進む。
時は止まらない。
「ああ、そうか……。
俺は切り捨てられたのか……。
彼らにとってここはもうどうでもいいものでしかなかったんだな」
奇しくも呟きが終わった時間とサービスが終了した時間は同時だった。
モモンガの精神は限界に達していた。
思い出だけを胸に現実から目をそらし、最後には希望を打ち砕かれた。
もはや彼に動く気力など存在するはずがない。
「……もうどうでもいい」
何もかも捨て去れればいいのに……。
言葉は続かない。
考える気力もなくした彼は違和感も全て無視した。
誰かが話しかけた気がした。
それも無視する。
仲間はもう戻ってこない。
己に話しかける仲間はいない。
いるはずがないという思い込みが外界の情報を全て遮断していた。
モモンガの精神はもう揺るがない。
もしもこのときわずかな精神の起伏でもあれば、精神安定の能力が発動して通常の精神状態に戻ることも出来たであろう。
だが、モモンガの精神はどこまでも安定している。
喜怒哀楽の何もないがゆえに、心を閉ざし全てを拒絶する。
そう、いつまでも終わらないゲームに気づくことも、玉座に座るオーバーロードであることにも気づかないまま……。
アルベドは見ていた
※ただしビッチである