「映画ドラえもん のび太の宝島」予告3(星野源 主題歌「ドラえもん」ver.)【2018年3月3日公開】
この予告で聴いた時点だと俺は「お前さすがにやりすぎだろ」くらいに思ってて。
タイトルもそうだし、ラストの「ドドドドドドドドッドーラえも!ドドドドドドドドッドーラえも!ドドドドドドドドッドーラえもん!」もリフレインでリスナーの脳みそトランスさせたいにしてはやりすぎ。頭おかしくなるわ。初っ端の「少しだけ不思議」(藤子・F・不二雄の作品のテーマが『すこしふしぎ』)も狙いすぎだし、のび太たち登場人物を匂わすような歌詞のフレーズも、「いや、歌詞に出木杉まで入れるんだったら1話のアイツも入れろや」って。
誰だよコイツ。
っていうか、2018年にドラえもん映画の主題歌のタイトルにまんま『ドラえもん』ってつけてOKもらえるの今の日本のミュージシャンじゃ星野源か福山雅治くらいですよ。たぶん他のヤツだったら許されてない。同じこと高橋優がやったら藤子プロにボコボコにされてるからな。
…みたいな感じでぶーぶー言いながら、いざラジオでフル音源聴いてひっくり返った。先生すいませんでした。
マヌケなイントロから想像もつかない曲展開、初代・ドラえもん主題歌の雰囲気を感じさせつつも、『SUN』みたいにファンクの要素も若干散りばめられてて、底抜けに明るい曲なのに泣ける。どポップの中に「切なさ」のエッセンス入れるのうますぎる。 特に2番からCメロまでの展開…聴いた瞬間、表面だけなぞって聴いてた俺自身をぶん殴りたくなった。間奏で『ぼくドラえもん』のメロねじ込まれたところで俺は大山のぶ代思い出して泣いた。それはダメだろ…こんなの涙腺直接ぎゅーってやられてるみたいなもんですから。
そしてフルで聴くと「やりすぎ」だと思ってた散りばめられた数々のオマージュが全然やりすぎじゃない、こうやって聴くとこのメロディに対してこの歌詞しかありえないし、『ドラえもん』ってタイトルしかありえない。星野源のタイアップ曲に対する「バランス感覚」みたいなものはミュージャンの中で今日本で一番なんじゃないかとすら思う。マジでタイアップの化物。
『地獄でなぜ悪い』でサブカル層を取り込み、『恋』でF1層とティーンを取り込み、『family song』でファミリー層を取り込み、『ドラえもん』でキッズを取り込んだ星野源、これで次朝ドラの主題歌でもやろうもんなら、冗談じゃなく『一億総星野源』になるぞこれ。
それで、ラジオでの
「いろんな形の主題歌っていうのがあると思うんですけど、タイアップっていうところで『宣伝効果』だけの関係っていうのが僕はあんまり好きじゃなくて、まったく関係ない曲を作るということができないんですよ。
なにがタイアップ・主題歌っていいかっていうと、自分の力だけでは絶対に行けないところまで行けるから、ということなんですよね。それは作品の力だったり、自分が一人では発想できないヒントをその作品から頂けるので。
だからこそ、なにか主題歌ってものをやるときは必ずその作品っていうものをしっかり自分の中で咀嚼して、かつその作品ことだけを歌うのではなくて、その時自分がやりたいこととか、表現したいこととその作品の中に流れてるものが合致してる部分を一生懸命探すんです。それで、楽曲の中にそれを落とし込むという作業をするんですけど」
この星野源のコメント聴いてまたシビレた。
これあくまで俺の解釈なんですけど、今回の『ドラえもん』でいうところの「星野源の表現したい部分」と「作品の中に流れてるもの」の合致してる部分って 『希望』だと思ってて。
一番好きなフレーズ2番Aメロの
「背中越しの過去と 輝く未来を 赤い血の流れる今で繋ごう 僕ら繋ごう」
って部分。「赤い血の流れる今」でつなごうって、ドラえもんは『ロボ』じゃないですか。赤い血は流れてないんですよ。だから冒険するメンバーにドラえもんは入ってないんじゃないかって。そしてサビ終わりの「いつか時が流れて 必ずたどり着くから 君に会えるよ」の『君』をドラえもんのことだって考えると、そうか、この曲って俺たちがドラえもんに「出会うまで」の曲なんじゃないかと。
実際、ドラえもんっていないじゃないですか。たしかにのび太たちが生きてるあの世界の中にはドラえもんがいて、それを見たり読んだりしてる僕らもドラえもんを知っているんだけど、ドラえもんってやっぱり頭の中だけのことで、ドラえもんはいない。でも、過去と未来を今でつないでいけばきっと会える。ああ、そうか、『ドラえもん』って「希望」なんだと。
この曲聴いてたら少しだけそれを信じたくなる。
「ドラえもんがいる未来」ってやつを。
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