薬学部の学生ら薬害被害を学ぶ

薬の研究者や薬剤師を目指す学生が、血液製剤によってエイズウイルスに感染した被害者から薬害について学ぶ講義が名古屋市立大学で開かれました。
講義は国などによる対策がとられる前の1983年ごろ血友病の治療のために使っていた血液製剤でエイズウイルスに感染した花井十伍さんです。
花井さんは、薬学部の学生など、約300人を前に、医薬品によって繰り返されてきた薬害の歴史などについて話しました。そして、血液製剤を通して約1500人の血友病患者がエイズウイルスに感染し、その約半数が亡くなったと説明し、「医薬品は市販後も未知の副作用が生じる可能性があり、患者は命をかけている」と医薬品を扱う専門家の責任の重さを訴えました。
4月から製薬企業で働く予定の大学院生の1人は「自信をもって家族にも勧められるような薬を開発し、基礎研究からも薬害をなくすよう取り組んでいきたい」と話していました。
花井さんは「医薬品には病気を治す面だけでなく、必ずマイナスの面があることを理解し、専門家としての立ち位置を見失わないでほしい。それが薬害を防ぐことにつながる」と話していました。