林家正蔵の演芸図鑑「キムラ緑子、オール阪神・巨人、古今亭文菊」[字] 2018.01.14

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「演芸図鑑」のお時間です。
ご案内役林家正蔵です。
まずは小ばなし。
「おい。
もう日記書くのやめたんだって?」。
「そうなんだよ。
書きたい事はいっぱいあるんだけどね」。
「うん。
何て書きたいんだい?」。
「今日も日記帳が見つからない」。
さて今日の出演者です。
まずはオール阪神・巨人師匠。
もう上方の漫才界の重鎮ですね。
そして古今亭文菊師匠。
2題どうぞ。

(拍手)どうも!どうもおはようございます!阪神さんでございます。
巨人ですよろしく。
いや〜会いたかったよ!フッフッフッ。
元気でしょう?元気でしょ。
嫁はん田舎へ帰ってます。
あほな事言いないな!嫁はんどっか行ったら喜んでるからね。
家にいますちゃんとね。
早いもんでねもう1月の今日は14日ですよ。
あっという間でございますね。
僕らも漫才やってもう44年。
私も44年でございますねや。
合わして88年。
何で足さなあかんの?その方がおもろいかな思て。
長すぎます。
ほんまに。
いろんな事やったんですがね去年は調子悪かったんですよ。
お互いありましたな。
ほんまに。
今年は皆さんもええ事あるように。
それでは皆さん…。
(2人)さようなら。
早すぎる!まだ1分少々や。
これで帰れたらええのになあ。
ボーナス番組やのにね。
ボーナス番組ってあんた。
ボーナス番組言うてもねNHKはねちょっと安いんですよ。
それを言うな!すんません。
またあっこで「お話があります」と言われんのや。
去年ねほんまに調子悪かったんですよ。
お互いちょっと調子悪かったですな。
阪神君がちょうど60歳の還暦で。
還暦60歳でございますねん。
ちっちゃい還暦やけどね。
ほっとけ!関係あるか。
やっぱりね還暦というのは60歳はね男の厄なんですよ。
これ厄なんですね男のね。
左耳がおかしなって。
そや耳がねおかしい。
聞こえんなってもうて。
あのメニエルほんまに。
ずっとこいつねメニエルやないムニエルムニエル言うてんの。
いやほんまね耳鳴りが朝から晩までねおっさんがね耳の横でね「あ〜!」言うてるみたいにず〜っと鳴ってまんねや。
調べたらねめだかさん入ってはった。
入らへん!何でここ池乃めだかさんが…。
これ本当の話なんですよ。
こっちしか聞こえへんの。
だからこうされるでしょ。
聞こえへんねんな。
うん!聞こえとるやん!聞こえとるやないかお前!治ってきたな。
ハハハハハッ!僕は僕でね去年の3月の末にね頸椎の手術やったんですよ。
骨ほんまに削りましてん。
骨削って…何で?何でそないなったんや。
原因か?お前やん。
何でやねんな。
44年間こうやって漫才してますやん。
いやほんまやよ!ほんでおかしなって…。
ほんまおかしなりましてんで。
穴開けて削りましてん。
削る前ね手上がっとったんですよ。
削ってからやっぱりね神経切るやんね。
今これまでしか上がりませんねん。
さっき上がったんちゃうか?削る前ここまで上がりましたって上がったんちゃうか?治ってきましたね。
あんたも治ってきてんねや。
そんな事いろんな漫才やってね巨人阪神という名前で。
これ皆さんご存じないと思うんですが巨人阪神はね本名ちゃうんですよ。
当たり前じゃあほ!ほんなもんオール阪神・巨人本名やったらほんならオールは名字か?え?そうなりますね。
ほな我々兄弟なんのかいな。
こんな兄弟…こんな大きなこんな差の兄弟おれへんよ。
ほな親子か何かか?親子ちゃうがな。
ほな何やねんな。
見てもろたら分かるがな。
夫婦やんね。
いや〜ん。
ウケたな。
ウケたな!よかったな。
でもねこの巨人阪神という野球の名前ねうれしいですよ。
ありがたいんですけど。
実は阪神君も野球は大好きで。
私野球はねちょっとだけ子どもの頃やってましたんで。
セカンド守ってました。
セカンド。
体ショートやけどね。
ブ〜ッ!それ何やねんそれ。
僕ね巨人という名前ですがちょっと看板に偽りがありまして。
何ですか?僕阪神ファンなんですよ。
阪神の大ファンでございます。
ちょっとややこしいんですよね。
うちの家庭もっとややこしいんですよ。
うち長男いてる長男。
長男がねこれご存じかな?ドラコンって分かりますか?ゴルフのね一発バン飛ばすね。
遠くへ飛ばすやつ。
あのドラコンのプロなんですよ。
日本チャンピオンなんです。
何でもチャンピオンほんまなんです。
ドラコンやっとってうちの息子は阪神タイガースのファンで息子の嫁はんが中日ドラゴンズありますでしょ。
あそこのねピッチャー山井君の妹さんなんです。
その方とほんまに結婚なされてるんですよ。
こっちはドラゴンズでしょ。
ほんで息子はね阪神ファンでしょ。
息子の嫁は中日ファンですよ。
中日阪神戦になったらもめよんねこれが。
それはやっぱりなお互いファンやからな。
「ケンカした」言うてうちに来るんですよ。
うちに来たら巨人がおんねん。
(笑い)ほんでこの巨人は阪神ファンや。
ややこしいでしょう。
あんたがややこしくさしてんねや。
もっとちゃんと前進め!はい。
誰が歩け言うてんねん!話を前へ進めろと言うてんの私は。
この巨人阪神という名前はねテレビで決まった。
本当。
「ヤングおー!おー!」という番組ありまして葉書でなんとまあ募集やったら5,000通来ましてね。
ほんでその中の一通だけねオール阪神・巨人というのがありましたんやこれ。
今やったらええやろうね葉書なんか要らんもん。
何かリモコンのボタン押すのかな。
リモコンでピッピッと何でもテレビの前でね。
何でもそうでしょ。
この間テレビ見とっておばあちゃんと2人で。
どっちか漫才面白い方手元のボタン押して下さい。
うちのおばあちゃんずっと…。
手元のボタン…違うがな!リモコンの手元のボタンやろあんた。
昔はリモコンが無かったから…。
あのチャンネルの時代冬の寒い時見たいのあったらまた布団から出てきてカチャカチャカチャカチャ。
古なってきたらチャンネルが…抜けんねやこれ!チャンネル抜けてもうた!止めなあかんなと思ったら段ボール挟んだりする。
いろいろ挟んでギュッとしめてね。
その古〜いテレビをねまだ使ってるんですよ。
使うてない!使ってへんのか。
映らへんあるけど!テレビでそれを募集やって名前が決まりました。
それをまたね大先輩が見てはったんですよ。
あの怖い怖い大先輩横山やすし師匠。
西川きよしさんの相方さんやすし・きよしのね。
自由奔放の漫才師。
見てはってね。
「なんちゅう名前や」言うて怒られました。
必ずね「怒るでしかし!」言いなはんねん。
「怒るでしかし!」口癖でんねんな。
「おはようございます」。
「おはようさん。
怒るでしかし!」。
「お疲れさまでした」。
「お疲れさん。
怒るでしかし!」。
「師匠怒ってはるんですか?」。
「怒ってへんがな怒るでしかし!」。
分かれへん。
…でその師匠にばったり会うて「名前変え」と。
「巨人阪神人間の名前ちゃうやないか!」。
なんちゅう名前付けとんねん。
「わしが付けたる」と。
ほんまでっせ。
びっくりしましたよ。
「競艇1号・2号」やて。
そう嫌でしょ?これ。
「それも人間の名前ちゃいますやん」。
「横山をやる」と。
これはすごいよね。
屋号ですよね。
屋号よこれおっきい名前ですよ横山。
「下何でっか?」言うたら「横山ボート・レース」。
いらんちゅうねん。
それもいらんわな。
でも売れる名前て皆さんあるんですよ。
「し」が付くねん。
やすし・きよし。
いとし・こいし。
いとし・こいし。
たかし・ひろし。
なるほどね。
五木ひろし。
それ歌手やん!漫才師にして。
松本人志。
あっあのダウンタウンのね。
岡村隆史。
ナインティナイン。
ビートさんとこそうですよね。
ビートたけし。
きよし。
あっなるほど。
お前も名前変え。
あっ俺?名前変える?オール阪神しにして。
そら死んでるがな!死んでるがなそれあんた!若手で売れる名前がねあのごはん系というかね。
あっごはん系の名前。
銀シャリ。
あっ銀シャリね。
笑い飯。
笑い飯。
おかずクラブ。
あの女の子2人のね。
ライス。
これみんなあるんですよ。
皆さん笑い飯何で名前笑い飯になったか知ってる?これ皆に由来がありますね。
知らんでしょうね。
由来ありますあります。
どんなん何で付いたか?何で笑い飯なったかと。
皆さんご存じないようですね。
ご存じない?知らん?私も知らん。
あんた知ってんの?知らん。
知らんのかい!知らないもん。
僕は知らんから皆さんに聞いてんねん。
知ってるか言うて。
まあまあええわいな。
おかずクラブ何でおかずクラブになったか知ってます?何でかご存じでございますか?知らんでしょ知らんでしょ。
知らんやろ?俺も知らん。
あんた知ってんのかいな。
知らん。
そんなんばっかりやなあんた!そんなんばっかりやなあんた!銀シャリ。
銀シャリは何で銀シャリっていう名前になったんか。
銀シャリという名前ね。
知ってますか?あっ皆さん知ってますか?知らんでしょう。
知らんでしょうね。
あんた知ってんのかいな?知らん。
やめい!プロの漫才師が。
ほんまは知ってますねん。
実は銀シャリ君はね2人で名前の候補挙げてきてんて。
本当にいっぱい書いていろんな名前があってそん中に2人とも銀シャリって書いてたやつがあって。
…でこれが縁がある。
それで名前決めたんですよ。
あらほんまかいな。
知らん。
ええ加減にせえ!
(拍手)
(出囃子)
(拍手)はいどうも。
(拍手)ありがとう存じます。
よろしくおつきあいのほどを願おうというところでございますが。
大してお構いもできませんでね本当に申し訳ございません。
落語でございますがね噺の中によく若旦那ってのが出ます。
若旦那。
こらぁのんきなもんでね遊びがすぎましてお父っつぁんから「お前はねもういいよ。
勘当だよ」ってんで勘当という事になります。
こうなると若旦那変わり身が早いですからねつっと体を逃がしていなくなっちゃう。
大概行く所ってのは決まってましてねお店に出入りをしている親方のところの2階でもって居候という事になりますがね。
「若旦那あ〜たねうちの2階でもってゴロゴロゴロゴロしてたって構わないけれどもね何かこうやってみようって気になりませんか?」。
「え?うん。
まあそうだね。
いや〜私もねちょいと了見を入れ替えてねやってみようという気になってますよ」。
「ああそうですか。
ふ〜ん何やるの?」。
「ん?奉公しようと思うの」。
「奉公?あ〜た奉公するの?ねえ。
急に話が真面目になってきたね。
奉公ってのはどこでするの?」。
「ん?浜町にある梅の湯という銭湯お湯屋さん。
ここでもって奉公しようと思うんだ。
そう。
あのねもう話ついてるんだよ。
いいかい。
だからちょいと顔出してきようと思うんだ。
荷物や何か運ぶの私は面倒くさいからさお前さん後でつっと運んどいてくれ。
いいかい?お願いしますよ。
はいどうもご苦労さん!どうもね」。
「驚いたな。
遊びがすぎてうち勘当になっちゃった。
あいつんところで居候をしていたと思ったらね今日からお湯屋で奉公しようってんだからなあ。
お釈様でも気が付くめえってのはこのこった。
お〜見えてきました。
梅の湯という銭湯ここんところだ。
今日はどっちから入ろうかな。
う〜ん…。
う〜ん…。
こっちから入ってみようかな。
どうもごめんください!」。
「ちょいちょいちょい!ちょいと!何してんの?あ〜た。
駄目だよそこは。
入っちゃ駄目だよ」。
「え?どうして?」。
「どうしてじゃありませんよあんた。
こっちは女湯じゃない」。
「そうですよ。
女湯ですよこれ。
見れば分かりますよ。
これ女湯ですよ。
私は女湯が大好きなんですよ」。
「んな事は誰も聞いてないんだよあんた。
男湯へ回んなさいよ」。
「あっそうですか?へい分かりました。
どうもすいまへん。
どうもごめんください!」。
「ちょいと待ちなさいってのあんた。
何なのさっきからお湯屋へ来て。
ごめんくださいましなんてえところを見るとあんた客じゃありませんね」。
「分かりますか?そうなの。
私はね客じゃないの。
私はね今日からこのお湯屋で奉公をしようという結構な若者でございます!」。
「ああ何あなたですか。
へえ〜。
じゃあまっあんたにはいろんな事を覚えてもらわなきゃしゃあないや。
ねえ。
じゃあまあ外回りか何かやってもらいましょうか」。
「外回り?あ…。
外回りって何ですか?」。
「え?外回りってえのはね方々でもってかんなくずや何か拾ってくるんですよ」。
「木っ端拾い…。
木っ端拾い?」。
「木っ端拾いってあなた!海老蔵のやる仕事じゃありませんよそら」。
「あんた何を言ってんの?海老蔵がやらないからあんたがやるんだよ本当に。
ねっ。
いろんな事覚えてもらいますよ」。
「私その…番台に座りたいの。
番台」。
「あのねここははなから座れる所じゃないのよ。
え?しょうがないねこの人は。
はいはい分かりましたよ。
じゃあね私が今からおまんま頂くから私がおまんまを頂いてる間だけこの番台に座ってもらいましょう」。
「本当ですか?私そこに座っていいですか?ねえ本当に?ありがとうございます!」。
「ちょっと待ちなさい。
まだ私上にいるんだから。
今下りていきますから。
本当にしゃあない。
釣り銭や何か間違うとね大変な事になりますからねよろしくお頼申しますよ」。
「はいかしこまりました。
はい。
どうぞごゆっくり。
はい。
お楽しみを。
行っちゃった。
ありがてえなあ。
何がありがたいってね奉公へ来てさはなからこの番台に座れるとは思わなかったもんな。
ありがてえや。
うん。
男湯があってね女湯があんだからなあ。
夢にまで見た女湯だよ。
フフフフフッ。
ひのふのみでのぞいちゃおうかな。
ハハハッ!ひのふのみ…アッハッハッハッ!わ〜!ハハハッ!ハハッ。
誰もいないねおい。
えっどうしちゃったんだろう?女湯は。
ねえ。
そこへいくとね男湯は随分人が入ってるよ。
昼間っから仕事もしないで何をしてんだろうねこの人たちは。
まあいいや。
女湯だって誰か来るよ。
その来た人といい仲になるってのが楽しみだな。
どういうのがいいかね?若いのはいけないな。
若いのは別れる時にね生きるの死ぬのってな事になっちゃうよ。
若いのはいけないよ。
といってな芸者衆ってのは浮気っぽいからな。
ここは浜町隣は兜町株屋のお囲い。
お妾さんなんてのはいいね。
ふだんからさ時間持て余してるもんだからね『どっかにいい男はいませんかね』何か言ってさばあやを連れてお湯屋へ来るよ。
カラコロカラコロカラコロカラコロカラコロカラコロカラコロ…ガラガラガラ。
そこで私が一生懸命仕事してんだよ。
その様子をね…」。
「見てね何にも言わないで向こうの方へ行っちゃうの。
…でばあやの耳元でもって『ねえばあやあそこにいる若旦那大層男前じゃありませんかね』か何か言うんだよ!だけどこっちは気取ってね聞こえないふりしちゃう。
そうすると生涯知り合えねえからな。
そうだ。
休みの日にね女のうちの前通りがかってみよう。
ばあやが表でもってこうやって掃除をしてますよ。
そこに私がつっと行くと『あら何そこ行くのそこ行くのはお風呂屋のおにいさんじゃございませんか。
お風呂屋のおにいさんちょいとちょいとお待ちになって。
ちょいとご新造さんお風呂屋のおにいさんがいらっしゃいましたわよ』なんてえと女は大変だよ。
お湯屋で私を見初めてるんだから会いたい会いたいと思ってるの。
当人だって出てくるのは歩いちゃ出てこないよ。
泳ぐようにして『まあお風呂屋のおにいさんじゃございませんの。
今日はどうなすったんですの?』。
『ええ釜が損じて早じめえ』。
何だ色っぽくないね。
『母の墓参に参りました』。
『まあおっ母さんのお墓参りなんか優しいじゃありませんか。
私そういう優しい方と苦労をしてみたいと思っていたんですよ。
おにいさんこっちへお上がりになって』。
『いえいえ初めてのうちでございますからまた後日…』。
『そんな事おっしゃらないの。
おにいさんこっちお上がりになったらどうなの?ほらおにいさんこっちお上がりに…。
ほらお上がり…お上がり!』」。
「おい!よう!番台見ろ番台をよ。
え?変な野郎が上がってるよおい。
てめえの手引っ張って『お上がりお上がり』って面白いじゃない。
見てよ。
おい源ちゃん。
顔洗ってる場合じゃないよお前。
番台見ろ番台」。
「ト〜ンと上がるとねお膳が用意してあってお銚子。
『それじゃあおにいさんお酌』。
『おうすまねえ』。
キュッと飲んだ。
杯洗でゆすいで『それじゃねえさんご返杯』ってえと『まあ私お酒駄目なんです』。
『ねえさん酒飲まねえんですか』。
『いや飲まないという事はないんですが私お酒を飲むとだらしなくなってしまうの』。
『いいじゃありませんか。
2人っきりなんだからいいじゃありませんか』ってんで無理やり女に酒をつぐと女はね…『悪い方なんですね。
このあとどうなっても知りませんわよ』か何か言ってねキュッと飲んだ。
杯洗でゆすいでご返杯。
やったり取ったり取ったりやったりしているうちに私がこの杯を口へ持っていこうとした瞬間に女がすごい事言うよ。
『ちょいとおにいさん。
その杯杯洗の水でゆすがなかったのをご存じでお飲みになるんですか?』。
ハハッ!弱った弱った!」。
「おい今度は弱ってるよあんな所でもっておい。
おい源ちゃん顔が血だらけになってるよおめえ。
どうしたんだい?」。
「そうなんだ。
あいつがあんまり変な事言うからねせっけんと間違えて軽石で顔こすっちゃったよ」。
「顔が無くなっちゃうよそのうちにね」。
「やらずの雨ってやつに降ってもらいましょう。
遠くの方で雷がゴロゴロゴロゴロ。
『まあばあや私雷様怖いんですよ。
蚊帳をつって下さいよ』ってんで蚊帳をつりに来るけどこのつり方が意地が悪いの。
私と女の間に蚊帳をつっちゃうの。
蚊帳を挟んで差し向かい。
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロと鳴っていた雷がカリッカリッカリカリッピシッ!庭の木に落ちるってえと女は持病の癪でもってク〜ッと目を回す。
ここだね。
ここで私の…。
蚊帳をバッとはね上げてね女のもとへ行ってグッと抱きかかえて杯洗の水を飲まそうとするんだけど口を固く閉じてるから飲まない。
しかたがないからこの水を口へ含んで口から口への口移しという事になるんだけどこうなるとハハハハッ恥ずかしい!」。
「恥ずかしがってるよ今度はおい」。
「ゴクッとこうね女が目を覚ますよ。
ここでどういう言葉をかけてあげられるかで男の了見ってのは分かっちゃうからね。
グッとこう抱きかかえて『ご新造お気が付かれやしたか?』。
悪役だよこれじゃあねえ。
いい男ってのは声が鼻に抜けるってえからね。
『ごひんのうおきがつがれ…』。
これ何言ってか分からねえ。
程のいいところでもってね『ご新造お気が付かれやしたか?』。
『今の水のうまかったこと』。
『今の水のうめえとは』。
『雷様は怖けれど2人にとっては結ぶの神』。
『そんなら今のは空癪か』。
『うれしゅうござんす。
番頭さ〜ん』」。
「おい落っこっちゃったよあいつはおい!」。
「『私ゃお前の…』」。
「何か言いながら上ってくねおい」。
「湯屋番」でございます。
(拍手)緑子さんと初めて会った時にあれ多分Eテレの番組だったと思うんですよ。
その節はお世話になりました本当に。
もうお会いできるのが楽しみで楽しみで…。
あの時緑子さんは画面にはあのナレーションっていうか声を…。
「グレーテルのかまど」というお菓子作りの番組でねいらして頂いて…。
出さして頂いた時に緑子さんがお会いした途端にわ〜って笑ったんですよ。
何でですか!うれしくてでしょ。
また興奮しちゃったんですよ。
すぐ興奮するんです。
すっごいいい人だって思って。
声がでかいんですねきっとね。
声でかいです確かに私。
いいなって。
ありがとうございます。
子どもの頃から何か活発なお嬢さんだったんですってね。
それこそ本当にゲラリ子って言われてたんです。
緑子なんで担任の先生が私のあだ名をゲラリ子って付けたんです。
笑うからずっと。
ゲラリ子?先生が言った事にわ〜って笑ってるから。
緑子っていうのはご本名なんですか?緑子本名なんです。
それで黒板にゲラリ子って書かれました。
うるさいから。
ゲラゲラ笑ってるから?うん。
授業中に「もうゲラリ子ってこれから呼ぶ」って言って先生が言って。
昔はよくしゃべってたんですね。
今暗いですけど。
そうですか?うん。
相当暗い。
全然そんなふうに見えないです。
多分お一人の時は考えてる時は。
暗い。
こういう感じずっと。
割と一人が好きなんです。
でも役者さんって思うんですけども映画ドラマ実際にお客さんがいる舞台とやはり違う?それは違いますよ。
日々のお客さんでも全く違いますしお客さんが笑ってくれたり泣いてくれたり反応してくれる事によって調子乗りますからすぐに役者は。
どんどん調子乗って調子に乗り過ぎて駄目になっちゃう事もあるから要注意なんですけど。
今こんな感じなのかって本当にそれを空気を読める方がやっぱりすごい。
はあ〜すごいなって思いますけど。
自分でもできたいけどできてるかどうかも最終的に死ぬまで分かんない事ですから一緒にこう作り上げられて最終的にすごいとこにいく瞬間を得た気がする時がないですか?今日はすごいお客さんと一体感があった気がするみたいな日。
それはねごくまれ。
本当に。
本当にまれですね。
ごくまれにはあ〜やっててよかった。
…でおいしいお酒を飲むっていう。
おいしい〜。
しみる。
幸せそうでした今。
メチャクチャ幸せそうでした。
奇跡的な時ですよねあれ。
あります。
だからあれはやっぱり見に行ってて観客でもそうだし今日もしかして奇跡的な一日じゃないかと思うような観客もぶわ〜っ沸いてもう体温が熱くなってきててこっちが。
向こうも何かものすごい汗出してるから集中してお客さんと客席…舞台の役者さんが集中されてる。
こっちもすごい集中してるっていうのでああ今日は絶対これ奇跡的なステージの一日だったんだなって見てる時に思う時もありますし。
逆な時ないですか?逆な時もあります。
お客さんが「すごくよかった!面白かった」とかワーワーワーワー沸いてんのにこっちが「今日そうでもなかったんです。
すいません」って。
「自分の中ではそんなにマックスな方じゃなかったんです」。
でもそれがよかったりするのかなっていう反省になる時ないですか?「今日私もうメッチャクチャよかったんだけど」って言ってる日にみんな演出家に駄目出しされたりするんですよ。
いや最高…えっお呼びじゃないっていう…。
どうもすいませんっていう…すいません。
使わせて頂きましたけど…。
みたいな日ありますよね。
ありますあります。
この年代になるとこの年代になりますとねまあ「連続テレビ小説」の時もそうだったと思いますが人を立場的に上にいったり下の人が楽屋見たらあっ私が一番上だって新しい前座さんとか見習いから前座になったばかりの人がいて何かこう…教えなくちゃとか違うよって言わなくちゃいけない立場にあられますでしょ。
私なんかは全然駄目ですけど。
でも一緒に舞台に立ってる子若い方とかいると…。
ああ劇団の時はね。
あと劇団離れても慕ってくると教えてあげたいとかちょっと違うから言わなくちゃとか。
どうします?私どうしてます?私どうしてますって…。
いや〜私結構言ってる方でしたね。
割とパッと思ったらワッと言ってましたけど。
最近ちょっと言わなくなったかなと思ってます。
それ言う自分もつまんないなと思ってますけど。
何で言わなくなりました?う〜んちょっとねもうお呼びじゃないっていう感じがした時があったの。
何か自分なんかの話はどうでもいいんだなっていう…。
何か分かんないんですけど。
いやみんな聞きたいって後輩の中でも聞きに来る人いるじゃないですか。
その人には100ほど持ってます。
例えば一緒に舞台作っててこういうふうにしたら面白いかもしれないって自分の事棚に上げてですよ。
人を見てる時は思うじゃないですかいろんな事。
言いたい言いたいって思うんだけどもう言わない。
聞きに来たら…聞きに来てくれたのっていうので分かる分かる!ここねこうねっていっぱい言いたいけど聞きに来ない人にわざわざこっちから言ってそれはあなたのやり方でしょっていう事でしょ。
だって本当はやっぱり。
例えば。
スタッフの方がどうしても聞いて下さいっていう事でお聞きしたいんですが。
「スター誕生!」…。
(笑い声)そんな事聞きたい事じゃないと思うんですけど…。
ある情報を得てキムラ緑子さんは「スター誕生!」のオーディションのいいところまで残ったんではないかと。
受けに来た…。
それでテレビには出てないんですよ。
だから県大会みたいなとこ。
淡路島出身で。
まあ県大会って言ってもすごい人数来てる訳です。
でもその兵庫県で5人ですよ。
すごいじゃないですか。
私の中で自慢ですけどまあテレビには出てないから。
でも音楽は今でも続けてらっしゃるんですよね。
…事になりました。
ライブやってらっしゃる。
そうなんです。
ふとこの何年か4〜5年前ぐらいからちょっと誘われてライブやり始めて…。
どんな感じでおやりになるんですか。
有名なジャズを関西弁で歌うというのをやってるんですよ。
本当にもうなめとるのかって言われるような歌を…。
それをやり始めてふと歌手になりたかった事が今ちょっと歌ったりしてる事につながってたんだなって事を何年か前に思いましたけど。
ミュージカルはお好きですか?大好き。
やりたいんです。
ミュージカルやりましょうよ。
スズナリ辺りで。
ミュージカル?はい。
声が大きいからいけますね私。
その時ちょい役で出して下さい。
何言ってんですか。
是非私を使って下さいおやりになる時は。
お願いします。
あっそうだ。
今度のお芝居は剣劇?そうなんです。
ですって?はい。
2月に渡辺えりさんと新橋演舞場で女剣劇の扱った舞台をやるんですね。
女剣劇ですか。
新国劇の…こんな何て言うの?「赤城の山も」っていうやつ。
国定忠治?国定忠治とかをやったりするんです。
劇中劇で。
本当でもああいうのやった事ないんで殺陣とかそういう所作とかこれからも研究に研究をして…。
演劇の座長の役をえりさんがやって私その座員の役で。
その座長のおはこの役を私が取りたいって言って裏でいろいろ画策して嫌らしいまた意地悪な嫌な役です。
また嫌な役です。
またもや。
楽しみです。
やりますはい。
じゃあ殺陣の稽古とかも…。
そうですね。
ダンスの稽古とかあとタップやったりとか。
タップもあるんですか。
それも今もう奮闘しあとは本番を待つのみぐらいの感じですね。
是非楽しみに伺わせて頂きます。
本当にありがとうございました。
ありがとうございました。
2018/01/14(日) 05:15〜05:45
NHK総合1・神戸
林家正蔵の演芸図鑑「キムラ緑子、オール阪神・巨人、古今亭文菊」[字]

落語家・林家正蔵が、演芸界のえりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸はオール阪神・巨人の漫才と古今亭文菊の落語「湯屋番」。対談のゲストはキムラ緑子

詳細情報
番組内容
落語家・林家正蔵が、演芸界のえりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸はオール阪神・巨人の漫才と古今亭文菊の落語「湯屋番」。対談のゲストはキムラ緑子▽ともかく明るかった子供時代、先生からつけられたあだ名とは…▽歌が大好き。ライブのステージではジャズのナンバーをなんと○○○で披露▽本番中に正蔵師匠とかわした固い約束は…▽女剣劇への初挑戦を語る。
出演者
【出演】キムラ緑子,オール阪神・巨人,古今亭文菊,【ナビゲーター】林家正蔵

ジャンル :
バラエティ – お笑い・コメディ
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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