（鴨志田新一）これからは大人の時間です。
（萩尾将人）あっゆずもだ！
（萩尾奈津子）マーくん走っちゃ駄目よ！「ゆずも」
（２人の笑い声）あら？どこ行ったのかしら？マーくん？
（萩尾晃）将人が誘拐された。
（漆山忠夫）なんだと！？それで孫の命は？孫が誘拐されたらしい。
（岡崎真実）東王子署管内で誘拐事件が？
（田中孝典）東王子署に出向き捜査の指導に当たってくれ。
（坂下純次）君みたいなのがいると士気が下がるんだよ。
これはなもう課長命令だ。
今すぐ帰りなさい。
わかりました。
では失礼致します。
じゃあ被害者宅には私が詰めます。
（星田耕介）警視ご自身が？
（工藤潔）カーテンを閉めて頂けますか？その後犯人からの連絡は？
（萩尾）最初のメール以降まだありません。
不審な車１台…。
（大崎裕子）どうぞ。
（大崎通夫）ありがとう。
（大崎）あっ鴨さん！？
（和田一朗）何やってるんですか？こんなところで。
決まってるだろ誘拐捜査だ。
休暇中だろうがなんだろうが俺は捜査に参加する。
（ボイスチェンジャーの声）「金は用意出来たか？」将人は無事なのか？頼む顔を見せてくれ。
金はちゃんと用意するから！お父さん…。
大丈夫だ。
将人は必ず連れて帰ってくる。
（坂下）距離を保ってそのまま尾行しろ。
身代金の受け渡しはこの近辺かもしれませんね。
まだ帰ってきてないんですよ。
（佐竹信彦）困ります！社長からは誰も入れるなと…。
将人くんを誘拐させた人間がわかりました。
まあ…よくここまでほっときましたね。
そんなに悪いんですか？自覚症状は？はい…下っ腹辺りがずっと重たい感じで。
一度大腸の内視鏡検査しておきましょう。
あの…内視鏡って…お尻から入れるあれですよね？空いてるのは…２週間後かな。
えっそんな先なんですか？いやその間に進行してたらどうするんです？具合が悪くなったらいつでも来てください。
いやいや手遅れになったら…。
わかりました。
では痛みが出た時のために処方箋出しておきましょう。
いや痛みじゃなくて…。
（漆山）えっ！？次は家族と一緒にってそれはどういう事ですか？漆山さん落ち着いてください。
それはつまり何か重大な病気を告知するって事ですよね？考えすぎです。
いやいや告知だ。
告知でしょ！私がパニックになるから家族になぐさめさせようっていうんですね。
ですから少し落ち着きましょう。
もういいです。
いい！もういいです！別の病院探します。
漆山さん！あっ…！なんだよあの医者。
何も知らないで。
失礼にもほどがあるだろ！いや社長…。
おいジュース買ってきてくれ。
しかし甘いものは…。
いいから買ってこいよ。
おい炭酸入りのやつな。
はっ…。
はあ…。
あああの…これよかったらどうですか？はっ？うっかり炭酸入りを買っちまったもんだから。
開けてませんから。
あっそうですか…。
それはどうも。
どうぞ。
はい。
それじゃあ。
ああ！はあ…。
家族呼ばれたんですか？あっ聞こえました？ええまあ…。
そう。
恐らく告知するんでしょう。
そうか…はっきりしたら呼ばなきゃいけないのか。
失礼ですがご家族は？ああ娘が１人。
ほう…うちと同じだ。
じゃあお孫さんも？いやいや…まだ結婚しようかなという段階です。
あっそうですか。
いやいいな。
花嫁姿で三つ指ついてお父さん今までありがとうございましたなんてハハハッ…憧れますよ。
そちらは娘さんは？いやいやうちのはもう…。
お嬢さん何やってらっしゃるんです？はい。
同じ職場で働いてるんですがね役職は娘のほうがずっと上で父を父とも思ってません。
ほお…こりゃまたどういう会社なんだろう？しかし生きてる間に孫の顔を見てみたかったな。
病状深刻なんですか？まあそのようです。
社長ジュースです炭酸入りの…。
いやいやジュースはもういいよ。
こちらの方に頂いたから。
それより車を回してこい。
はっ？この人と一緒に飲みに行くから。
えっ？そんなね告知の日までため息ついて暮らすなんて私はまっぴらですよ。
余命短い者同士パーッといきましょう！パーッと。
私はまだ余命は言われてない…。
さあさあさあいいから。
いいからいいから。
余命は言わ…。
いやいやいやこうなったらもう前向きに前向きに。
いやあ私はねちっぽけな工務店から始めてまあがむしゃらに働いて働いて富も名声も全て手に入れました。
ハハハハハッ…！ウルシホームって知ってます？ウルシホーム…。
えっあのテレビコマーシャルに出てる？あれうちの会社です。
え〜！それはすごい！いやでもね今になって思いますよ。
なんのために働いてきたのかって…。
たった一人で孤独に死ぬためか？ってね。
たった一人で…。
私家族いないんです。
あの…さっき娘さんがいるって言ってましたけど…。
いるんですけどいないようなもんなんです。
あっ…はあはあはあ…。
なのに医者は当たり前みたいな顔してお子さんとご一緒になんて言ってくる。
世の中ね子供と孫に囲まれて幸せな年寄りばっかじゃないんだ。
家族に恵まれない人間だっているんだから。
そうですよね。
でもね人間死ぬ時はみんな一人だから。
私ね死ぬ時はこいつらにミュージカル葬で送ってもらう事に決めてるんですよ。
ミュージカル葬？彼ら本職はミュージカル劇団なんです。
（小野タケル）社長にはいつもお世話になってます。
ハハハッ…。
おいほのか。
俺たちのために何か歌ってくれ。
（梅谷ほのか）喜んで。
「いのち短し恋せよ少女」「朱き唇褪せぬ間に」「熱き血潮の冷えぬ間に」「明日の月日のないものを」
（鴨志田・漆山）「熱き血潮の…」「冷えぬ…」あの本当に泊めてもらってもいいんですか？いいのいいの。
娘はどうせ婚約者のところに行って帰ってくるの明日なんだからさ構わない。
あなたはどういう人なの？これすごい豪邸じゃない。
エッヘン。
まあうちには負けるけどね。
ハハハッ…。
ここはね実は俺の家じゃないんだよ。
えっ？これは誰の家なの？ここは。
行人…行人くん今帰ったぞ！
（物音）
（五十嵐進）うわあ！助けて…！裏切り者！
（五十嵐）イタッイタッ…！
（姉小路行人）真実さん暴力はいけません！うるさい！うるさいうるさいうるさい…！誤解だって真実さん！なんだい大家族じゃないかこれ。
待て！何があったんだ？進くんの浮気が発覚したんです！お前が浮気？お前が？いえ…してないですよ。
聞いて！この人ねロスに研修旅行に行ってお土産を買ってきたのよ外国の有名な香水。
おお〜。
免税店で人気だって聞いて。
それはよかったんじゃない。
そりゃあ最初は嬉しかったわよ。
ちょっと若い子向けの香りだったけどわざわざ買ってきてくれたってだけで…。
ああそれはな。
でどこがいけないの？それをこの人交通課の山守巡査にも渡してたのよ！山守…あけみちゃん？そう！知ってるんですか？鴨志田さん。
知ってるも何もミス・ミニパトでしょ？ちょっとあのね交通課だとかミニパトだとかって…お宅はどういう会社なんですか？あとで説明するからちょっと…座ってて。
寝てていいから。
それで？それで同じ香りがしたからあらいい香りね。
彼氏からのプレゼント？ってカマかけてみたら８係の五十嵐さんからもらったんです！ってしれーっと白状したのよ。
だからそれは女性向けのばらまき用に買ったお土産で…。
ばらまき？いや…他にもほら本庁の受付の人とか警務のおばちゃんにもあげてるんですよ。
そうなんだ。
私はそのばらまき土産をもらうその他大勢の一人の女なんだ！私はその程度の女だったんだ！もう！お義父さん助けてください。
と言われてもな…。
俺は無実ですよ。
いやあんたはやってるな。
はっ？あんたのやった事は手慣れた浮気男のやり口だね。
そういえばこの人は？ああうるちゃん。
漆山さん。
俺の友達なんだけど今日知り合ったばっかし。
香水っていうのは昔から浮気男の定番のプレゼントでね。
本命と愛人に同じ香りの香水を贈っておけば愛人のところへ寄って帰ってきても本命にはバレないんだ。
なるほど！それをいろんなところへばらまいたとなるとこれはもう２股どころか３つ股４つ股の可能性があるなこれは。
４つ股？よ…４つ股…。
いやいやいやいや…。
ついでに言っとくと一度浮気をした男はどんなに反省しようと必ずまた繰り返す。
これはもう１００パーセントの確率でね。
鴨志田さんより刑事っぽい！なぜなら私がそうだったからです。
あんたが？
（漆山）はい。
…刑事？はいそうですよ。
おじさん何者なの？今そんな事知らなくったっていいだろ。
こいつが肝心なんだろうが。
（五十嵐）お義父さん！いや違うんだ…。
出てって！出てって！いやちょっと…違うって。
話聞いてよ！もうあんたの顔なんか二度と見たくない！イテテテテ…！馬鹿男！絶対許さないからね〜っ！
（ドアの閉まる音）
（ため息）いや…お見苦しいところをお目にかけました。
いや…人生生きてりゃいろんな事ありますよ。
ところで鴨志田さんあなた警察の方だったんですか？バレちゃいました？実は東王子署の刑事なんです。
あら〜。
ちなみに僕は…。
高校生か？弁護士です。
今怒りまくってたお嬢さんの真実さんは警察庁のキャリアなんです。
ほお警察庁の…。
いやしかしこれじゃあ孫の顔どころかお嬢さんの花嫁姿も遠のきましたな。
まあ生きてるうちは無理でしょうね。
どういう意味ですか？いやなんでもない。
それより飲み直しますか？おおいいですね。
じゃあ僕つまみでも作りますよ。
行人くんは先に寝なさい。
そう高校生はもう寝る。
弁護士です。
これからは大人の時間です。

（将人）あっゆずもだ！マーくん走っちゃ駄目よ！『ゆずも音頭』始まるよ！はい集まって！「もてぎの山のゆずの木に」お山を作って…。
キラキラ〜。
「王子様が住んでいる」「ゆずの木から実ったよ」「ゆずの王子さゆずも」
（笑い声）
（近藤ゆかり）萩尾さん！近藤さん。
あっさやかちゃんも？ううん私はお買い物。
今日マーくん保育園お休み？そうなの。
どうしてもゆずもに会いたいって聞かなくて。
（２人の笑い声）あら？どこ行ったのかしら？マーくん？マーくん？マーくん！マーくん！
（井上広喜）延期するのはカフェ部分だけです。
ええマルシェのほうは問題ありません。
（井上）オープニングセレモニーはやりますよ予定どおり。
あ〜あ工事業者に払う金ケチってこのざまか…。
仕方ないよ。
野菜１個でも売って売り上げ確保しなきゃ。
このままじゃ社員の給料も払えない。
（大倉成美）明日のセレモニーに出演予定の女優がキャンセルしてきたわ。
女優って梅谷ほのか？うちが危ないってネットで噂になってるみたい。
マジか…。
ああもう…売れない女優にまで馬鹿にされるなんて。
（メールの受信音）何…？
（萩尾）「息子を誘拐した」「無事に返して欲しければ現金で一億円を用意しろ」「警察に届ければ命はない」マーくん！
（アナウンス）「迷子のお知らせです」「チェックのシャツに水色の半ズボンをお召しの５歳の萩尾将人くんをお母様がお探しでございます」「お見かけの方は１階インフォメーションカウンターまでお知らせくださいませ」
（携帯電話の着信音）ああ…。
もしもしあなた？大変だ。
将人が誘拐された。
えっ…。
はあ…。
（大崎）おい見ろよ鴨さん。
またため息ついてる。
この間の健康診断で引っかかったらしいぞ。
えっ？どこか悪いんですか？本人は何も言わないけどな。
あの様子じゃかなり深刻だな。
鴨志田くんいい加減にしたまえよ。
ああ課長。
さっきから見てるとざるそばを１本つまんでははあ…１本つまんでははあ…。
１枚食べるのに何分かかってるんだよ！はあ…。
いやだからもうはあ…じゃなくて！ここんとこ食欲がなくて…。
そんなに具合が悪いんだったら休暇を取りたまえ。
休暇？
（坂下）うん。
君みたいなのがいると士気が下がるんだよ。
これはなもう課長命令だ。
今すぐ帰りなさい。
わかりました。
では失礼致します。
よっこらしょ。
もう…よっこらしょもう…。
課長。
うん？誘拐事件です。
えっゆう…？
（工藤）シーッ！ああ…。
事件か？
（チャイム）
（奈津子）はい。
アスカ山電器商会です。
ご注文の品をお届けに参りました。
（奈津子）どうぞ。
（大崎）運んで。
ああ…。
失礼します。
カーテンを閉めて頂けますか？
（大崎）ここへセッティングしてくれ。
さりげなくお願いします。
（諸星雄一）これから電話に逆探知の装置を取り付けます。
パソコンも録画させてもらいます。
電話。
（鑑識員）はい。
私は東王子署刑事課の工藤と申します。
同じく大崎です。
萩尾です。
これは妻の奈津子。
それからこの２人は会社の同僚で犯人から連絡があった時一緒にいたので来てもらいました。
ラブ＆ベジ専務の大倉成美です。
同じく常務の井上広喜です。
将人くんが誘拐された事を知っているのはこの４人だけですね？はい。
妻と一緒に将人を探してくれたママ友とショッピングモールの人には見つかったと電話しておきました。
失礼します。
このコードを携帯とパソコンに接続します。
逆探知準備完了しました。
了解。
しばらく待機。
はい。
（工藤）その後犯人からの連絡は？最初のメール以降まだありません。
これがそのメールです。
（大崎）将人くんに間違いありませんか？はい。
服装もいなくなった時に着ていたものです。
失礼ですが１億円のあては？実は今うちの会社瀬戸際なんです。
えっ？取引先の倒産で売掛金が回収出来なくて…。
もちろんこの家も抵当に入ってます…。
いくらぐらいなら用意出来そうですか？どんなにかき集めても２００万が限界かと。
私のせいです。
奈津子！私がマーくんをちゃんと見てれば…私が…。
なっちゃんのせいじゃないよ。
マーくんの写真をブログでさらし続けた僕たちの責任だ。
（工藤）ブログとは？僕たち将人くんをうちの広告塔にしてたんですよ。
（大崎）「わが子に何を食べさせますか？」私たちは元々アグリカルチャー関係のＮＰＯをしていたんですが私に息子が生まれた事をきっかけにオーガニック野菜を扱う会社を起業したんです。
（大崎）あっちょっ…あれ？お子さんもしかして王子みどり保育園かな？…はい。
よくわかったな。
いやほらうちのかみさん。
そうか。
しかしこれだけ見ると会社の経営は順調そうですね。
ブログにはいい事しか書きませんから。
でも逆に言えば犯人は会社の内情を知らない人間って事じゃない？ネット掲示板も見ない人間か。
いやそうとも限らない。
どういう意味？犯人はもしかしたら妻の父親が誰なのかを知っていて将人を誘拐したのかもしれません。
奥さんのお父さん？妻の父は一部上場企業の社長なんです。
あの人なら１億くらいのお金…。
やめて。
あの男に頭を下げろって言うの？じゃあ１億なんて大金どうやって用意するんだよ！
（ため息）お前がお義父さんを許せない気持ちはわかってるよ。
でももう頼れるのはお義父さんしかいないんだ。
奥さん。
どういう事情があるかは知りませんが将人くんの命を救うためです。
お父様にご連絡を。
本当によかったのかな？ええ？何が？いやこの間ごちそうになったから今回は私が寿司でもおごろうと思って呼んだんだけど。
寿司でもって…鴨志田さん食欲あるんだ。
いや全然。
俺もだよ。
今はもうこの団子１本で十分だよ。
それにしてもこんな昼間っから団子食ってて刑事さんってそんな暇なのかい？いや実はね今日から休暇。
えっ？そんなに具合が悪いんだったら有休取れって追い出されちまった。
しかし心配するから娘にも言えないしさ。
娘さんってこの間大荒れだった？ああ…。
さて明日からどうするか。
まあいいじゃないか。
私なんかもう十何年も娘に会ってないんだから。
へえ〜。
じゃあ娘さん海外かなんかに住んでるの？いや俺に反抗して高校卒業と同時に家を出てそれっきり。
女房の葬式の時に顔を合わせたけど口も利かなかった。
ああ…。
あの頃は俺も仕事仕事で…。
外に女もいたしな…。
女？なんだい？あっいや…。
とにかくそんな父親に嫌気がさしたんだろうな。
で娘さん今どこにいるの？結婚して子供も出来てこの街に住んでるよ。
この街って王子？そう。
その亭主っていうのがまた胡散臭い男でさ…。
犯罪者？いや…会社の経営者。
オーガニックだとか人の絆だとか歯の浮くようなセリフをブログに書き散らしてる。
…と言いながらこっそり読んでるんでしょ？まあね。
これ孫の将人。
かわいいだろ？ほうほほほほ…。
あれ？裕子ちゃん？大崎の女房…。
娘と孫に会いたいな…。
漆山さんこの…。
娘に嫌われたまま死にたくないよ俺は。
（足音）社長秘書室からお電話が。
（漆山）ああ。
はいもしもし？えっ娘から？ああ…繋いでくれ。
もしもし？あっ…うん…。
なんだと！？それで孫の命は？わかった。
俺がなんとかする。
おい大丈夫かい？孫が…誘拐されたらしい。
ちょっと待て。
孫ってこの子か？犯人は１億円を要求しているらしい。
東王子署管内で誘拐事件が？ああ。
誘拐されたのは５歳の男の子だ。
君は直ちに東王子署に出向き捜査の指導に当たってくれ。
はい。
警視庁捜査一課からは８係を向かわせる。
８係…？君の婚約者の五十嵐くんもいる。
わかってるだろうが現場でラブラブモードは慎んでくれよ。
当たり前です！ラブラブモードなんてとんでもない！おうその意気だ！報道各社とはすでに報道協定を結んでいる。
くれぐれも警察が動いている事を犯人に悟られないように。
わかったな？はい。
（工藤）誘拐されたのは赤羽に本社のある株式会社ラブ＆ベジ社長萩尾晃氏の長男将人くん５歳。
本日午前１１時１５分頃母親に連れられて行ったショッピングモール東王子のイベント広場でいなくなりました。
父親が仕事で使っているアドレスに犯人からのメールが送られてきたのが１１時４５分。
その時の映像がこちらです。
（和田）たった３０分後か…。
犯人のアジトは近くだな。
メールの送信には海外のサーバーが使われておりユーザーを特定するのはほぼ不可能です。
（大崎）えー将人くんの父親は会社のホームページに度々将人くんの写真を掲載しています。
さすがに自宅の住所や車のナンバープレートなどはぼかされていますがブログを注意深く読み込めば将人くんの行動パターンが把握出来ます。
いかにも成功した若い経営者一家って感じね。
犯人はこれを参考にしたのかもしれませんな。
ただ父親の会社は現在資金繰りに困っておりブログでは子供を使って実際以上に豊かな生活を演出していたようです。
今萩尾家には誰が？鑑識が張りついています。
じゃあ被害者宅には私が詰めます。
警視ご自身が？はい。
ではあと１人。
あっ自分が行きます。
（星田）おお〜８係の五十嵐刑事なら安心だ。
ですよね？岡崎警視。
お願いします。
仕方ありませんね。
坂下課長。
（坂下）あっはい。
鴨志田さんは？ああ…鴨志田くんでしたら午後から有休を取っておりますが。
有休？はい。
健康診断の結果が出てから落ち込みっぷりがもう目に余りまして。
健康診断ってどこか悪かったの？さあ…。
まあとにかくうっとうしいんで帰しました。
しかしいい時に休みを取ってくれたよ。
あの人がいたらまた何をしでかすかわからんからな。
（坂下）はい。
ああ…やっぱ駄目かな…。
おいどうしたの？いや…。
娘に会ってなんて言っていいかわかんないもん。
ああ…。
まあ俺もついていってやりたいんだけどこれでも刑事だからさ…。
あんた本当に刑事なの？うん…えっ？こんな大事件が起こってるのにさ呼び出しもかからないなんてよっぽど頼りにされてないんだね。
悪かったよ。
えっ？いいから行ってこい。
ちょっと押さないでよ。
行って。
だから行くから。
早く行きなさいっていうの。
行くから押さないで。
（チャイム）お義父さんですね？やっとお会い出来ました。
奈津子さんの夫の萩尾晃です。
今日は本当にありがとうございます。
奈津子。
どうぞ。
（漆山）ああ…。
不審な車１台…。
鴨さん…。
もうやめてください。
なんだ鈴木じゃないか。
お前転職したの？そんなわけないでしょ。
捜査ですよ。
ああ〜。
という事はこれ警察車両？
（鈴木）はい。
本庁の秘密兵器です。
いいから…。
あれ…なんですか？その格好は。
なんですかって育児中の若夫婦ですよ。
ああ…若夫婦？はい。
とにかくこんなところをウロウロしないでください。
警察が動いている事を知られたくないんです。
ああ…。
という事は誘拐の話は本当なんだな？鴨さんこそどこからその話を？いやまあ…いいからいいから。
それより鴨志田さんちょっと…。
はいはいはい。
いいよ戻って。
はい。
具合が悪くて有休取ったって聞いたけど…。
別にどこも悪くないよ。
ピンピンしてるだろ？ほら。
ほっほっほっほっほっね？本当なの？じゃあこれで。
あっちょっとちょっと…。
あっお前たち…。
はい。
この設定なら喧嘩なんかするなよ。
はい。
だって。
（チャイム）「こんにちは。
近所の岡崎です」
（五十嵐）お邪魔します。
（諸星）岡崎警視！ご苦労さま。
捜査を担当します警察庁の岡崎です。
警視庁捜査一課の五十嵐と申します。
君…。
漆山さんですね？早速ですがお金のほうは？今運転手を銀行に行かせてます。
朝までにはなんとか…。
よろしくお願いします。
あのあと犯人から連絡は？まだです。
とりあえず次の連絡が来るまで待つしかありませんね。
お義父さんクッションしたほうが腰に…。
（漆山）ああ…ありがとう。
君意外といい男だな。
参ったな…。
意外とですか？家も安普請だけど住みやすそうだし。
プロの目は厳しい…。
花もきれいだ。
癒やされるよ。
それ造花です。
えっ？だってバラの香りが…。
あれ？私の香水のにおいだと思いますけど…。
（漆山）あっ失礼しました。
お父さんもうやめて！奈津子。
みんなマーくんを心配してるのよ。
空気読んでよ。
あ…。
（携帯電話の着信音）きた！
（携帯電話の着信音）
（萩尾）非通知だ。
（携帯電話の着信音）出てください。
（携帯電話の着信音）もしもし？
（ボイスチェンジャーの声）「金は用意出来たか？」もしもし？今準備してる。
もう少し待ってくれないか。
（ボイスチェンジャーの声）「あんた誰だ？」将人の祖父だ。
（ボイスチェンジャーの声）「へえ〜。
金はあんたが出すのか？」将人は無事なのか？頼む顔を見せてくれ。
金は…金はちゃんと用意するから！
（メールの受信音）パソコンにメールが…。

（将人）「ちょんちょちょんがちょん」
（ボイスチェンジャーの声）「朝まで待ってやる」「ガットのスポーツバッグを用意しておけ」ガットのスポーツバッグ？「税込み６４８０円の黒いやつだ」「また連絡する」
（不通音）岡崎です。
「今のどこからかかってきたかわかりましたか？」
（工藤）秋葉原です。
この基地局がカバーするエリアは半径５００メートル。
了解。
絞り込みを続けてください。
バッグはこれです。
（井上）僕が買ってくる。
（成美）私も行くわ。
ああ頼む。
「ゆずの王子さゆずも」将人くん手荒なまねはされてないようですね。
待ってろよ。
おじいちゃんが絶対助けてやるからな。
（裕子）バイバーイ。
気をつけてね。
また明日ね。
さようなら。
バイバーイ。

（園児たちの歌声）
（裕子）あなた…。
どうも。
２年前の結婚式以来ですね。
和田さんも…。
どうしたんですか？その格好。
ああ…。
あのね内密で捜査に協力してほしいんだ。
あっ先客がいるんだけど…。
どうぞ一緒に。
先客？
（裕子）どうぞ。
（大崎）ありがとう。
あっ鴨さん！？何やってるんですか？こんなところで。
決まってるだろ誘拐捜査だ。
ちょっと駄目ですよ。
超極秘の捜査なんだから。
いやいや…。
大体事件の事誰に聞いたんです？ウルシホームの漆山社長。
誘拐された子のおじいさんじゃないですか。
実は社長とは友達なんだ。
友達？いやいや…鴨さんが？誘拐事件は警察が総力を持って取り組む事件だ。
休暇中だろうがなんだろうが俺は捜査に参加する。
（ため息）それより将人くんは無事なの？犯人は変質者じゃないのよね？変質者？実は最近近くの公園で子供に声をかけてくるおじさんがいるらしくて。
おじさん？
（和田）って事は中年男か？とは限らないです。
子供たちって相手が高校生でも平気でおじさんって呼ぶから。
今のところ何かされたっていう報告もないしただの子供好きの優しい人かもしれないんだけどでも気をつけようって話し合ってたところだったの。
うんわかった。
地域課と連携して調べてみるよ。
裕子ちゃん将人くんの事なんでもいいから教えてくれないかな。
そうですね。
まず将人くんはすごい人見知りです。
人見知り？今でこそ保育園にも慣れたけど最初の頃はお母さんと別れるのが嫌で毎朝１時間は玄関で大騒ぎしてました。
（将人）やーだ！他の子供たちともなかなか打ち解けないし…。
（裕子）マーくん。
マーくんもみんなと一緒に遊ぼう。
やーだ！なんで？なんで嫌なの？
（和田）いじめられっ子か…。
好き嫌いも激しくて特に野菜は大嫌い。
（大崎）父親の会社のホームページじゃなんでも食べてたぞ。
（和田）とんだ誇大広告だな。
誘拐した犯人は今頃大変だと思う。
それがね送られてきた動画じゃ結構ご機嫌なんだよ。
嘘！？うん…。
これがさっき犯人から送られてきた動画です。
（裕子）ああ…だってゆずもと一緒だもん。
ゆずも？はい。
あっ…。
これがゆずもです。
将人くんのたった一人のお友達なんです。
（大崎）へえ〜。
初めて見たけど有名なの？
（裕子）将人くんのお父さんがお仕事で関わっている地方のご当地キャラなんですって。
そっか…。
ゆずもと一緒だったら将人くん寂しくないわね。
（和田）そういえば将人くんがいなくなったのも栃木のご当地キャライベントの間だったよな？ああ。
犯人は将人くんがゆずもを大好きだって事を知ってたのかもな…。
（裕子）じゃあ今夜は泊まりになるのね？
（大崎）ああ。
事件が解決するまでちょっと帰れそうにないな。
（和田）鴨さんはおとなしく帰ってくださいね。
わかってますよ。
あっそうだ。
ところで裕子ちゃん…。
はい。
将人くんの家庭ってどんな印象だった？問題はなさそうに見えましたけど…。
あっでも実をいうとお父さんとは入園の時しか会ってないんです。
仕事が忙しいらしくて。
という事は送り迎えは母親か…。
いえお父さんの会社の方が時々お迎えに来てましたよ。
会社の人？大倉さんっていう女性役員かな？ううん。
井上さんっていう男の人。
人見知りの将人くんもその人にはすごく懐いてたの。
井上…。
（井上）例のバッグです。
これであとは身代金が用意出来ればいつ連絡が来ても大丈夫です。
ありがとう。
井上と成美は仕事に戻ってくれ。
えっ！？ここにいてもただ連絡を待つだけだし３号店のオープンも明日に控えている。
わかったわ。
こんな時こそ華やかに盛り上げてみせる。
とりあえず断ってきた女優の代わりを探してくれ。
マーくんが無事見つかったらすぐ連絡して。
ありがとう。
皆さんも少し休んでください。
犯人から連絡が来たら必ず起こしますから。
お義父さん座敷に布団を敷きますからそちらに。
ああ…じゃあお言葉に甘えて。
奈津子ご案内して。
こっち。
１つ取ってくれ。
はあ…。
お疲れさまです。
あのさこの前の話だけど…。
ここではプライベートな話は控えてください。
いやでもさ…。
あなたとは終わったの。
証拠まであるのに今さら見苦しい言い訳しないで。
証拠って…。
いやそりゃ確かに俺が悪かったよ。
奈津子さん。
あっすみません。
眠れなくて…。
あっいいんです。
いいんですいいんです。
五十嵐刑事あなたは持ち場に戻ってください。
…はい。
（ため息）恥ずかしいところをお見せしちゃいましたね。
お二人付き合ってらしたんですか？まあ…一応ね。
でもいろいろあって婚約を解消しました。
あの人ね他の女性にも香水をあげてたんですよ。
香水を？それより奈津子さんお父さんと何があったんですか？ぶしつけでごめんなさい。
実は私も長い間父との間に確執を抱えていたもので。
岡崎さんが？うん…。
父は刑事なんですけど仕事仕事で家庭を全く顧みない人でね。
おい鴨！奴はまだ現れねえのか？はい。

（鴨志田五月の声）「お疲れ様。
あなた忙しいでしょうからしばらく真実を連れて実家に帰ります」母は私を連れて家を出て…。
そのあと病気で亡くなったんです。
私は父を恨みました。
でも同じ職業に就いて父の仕事ぶりを目にするようになって考えが変わったの。
お父さんを許せるようになったんですか？今では父を尊敬しています。
もっとも同居してみたらやっぱりおかしな人で。
母がうんざりした気持ちもわかるようになったんですけど。
フフッ…。
漆山さんがあなたをどれだけ愛しているかはたで見てても痛いほどわかります。
我々は全力を挙げて将人くんを助け出します。
ですからその時はお父さんを許してあげてください。
１億円か…。
ご苦労だったな佐竹。
いえ。
五十嵐刑事一万円札の番号を控えてください。
えっこれからこれ全部ですか？文句言わないで早くやって。
はい…。
（携帯電話の着信音）また非通知です。
（携帯電話の着信音）出てください。
（携帯電話の着信音）もしもし萩尾です。
（ボイスチェンジャーの声）「じいさんに代われ」えっ？「これからはじいさんと交渉する」「代われ」もしもし漆山だ。
「金は用意出来たか？」
（漆山）ああ。
いつでも大丈夫だ。
「それじゃその金をバッグに入れてあんた１人で車に乗れ」私が？「これからはあんたの携帯に連絡する」「仲間が見張ってるから刑事が乗り込んだらすぐわかるからな」わかった。
マーくんは…マーくんは元気なの？声を聞かせて…！
（ボイスチェンジャーの声）「好き嫌いが激しくて困ってるよ」マーくん…。
（電話が切れる音）もしもし？もしもし…！
（メールの受信音）パソコンに動画が！「やーだ。
やーだ…」マーくん…。
今度の電話は巣鴨からです。
身代金の受け渡しはこの近辺かもしれませんね。
うん。
ここにはＧＰＳ機能も付いています。
犯人に気づかれないように直接肌に貼らせて頂きました。
犯人からの指示は必ず声に出して復唱してください。
このマイクが声を拾い後方に待機した車に電波を飛ばしますから。
（起動音）これでオーケーです。
聞こえますか？聞こえますか？
（漆山）「私を尾行する警察の方にお願いします」「ついてくるなと言ってもついてくるんでしょうが…」とにかく出来る限り距離を取ってください。
絶対に…絶対に犯人に気づかれないようにお願いします。
佐竹この車オートマだよな？大丈夫。
運転しやすい車です。
そうか。
うっ…よいしょ。
（着信音）もしもし？
（ボイスチェンジャーの声）「準備は出来たか？」「では出発だ。
その先を右折して東王子通りに出たら左車線を走れ」この先を右折して東王子通りに出たら左車線だな？
（電話が切れる音）お父さん…。
大丈夫だ。
将人は必ず連れて帰ってくる。

（大崎）見失うなよ。
（鈴木）はい。
よし車間距離はこのまま行け。
はい。
車は東に向かっています。
千葉方面に向かうつもりか。

（携帯電話の着信音）
（ボイスチェンジャーの声）「この先の権現山公園の公衆トイレの前で車を止め金を持って中に入れ」権現山公園の公衆トイレの前で車を止め金を持って中へ入れ…。

（鈴木）どうします？
（大崎）止めるな尾行がバレる。
他の車に任せよう。
（鈴木）はい。

（漆山）「目的地は幕張のマリンスタジアムだ」「急げ！」
（工藤）幕張のマリンスタジアム…。
やはり千葉ですね。
よし先回りしろ！大崎先回りしろ。
（大崎）「了解。
千葉方面に向かいます」おい今の…。
あれ？幕張に向かうんじゃなかったのか！？とにかく追え！はい！すいません。
はい…ちょっと待ってください。
はい…。
ロッカー向こうですか？はいあちらです。
どうもありがとう。
ごゆっくりどうぞ。
ああっ…。
えっと…。

（漆山）「浴槽に肩まで浸かって大きな声で百まで…」百まで！？１２３４５６…。
どうした？電波が消えました。
マイクが使用出来なくなったようです。
９６９７９８９９１００！
（携帯電話の着信音）
（携帯電話の着信音）もしもし？
（ボイスチェンジャーの声）「金の受け渡し場所は北荒川橋だ」「時間は正午ちょうど」正午ちょうど…。
あと３０分か！？「遅れたら孫の命はない」
（電話が切れる音）今出ていきます。
（坂下）「距離を保ってそのまま尾行しろ」マイクとＧＰＳは使えなくなった。
お前たちだけが頼りだ。
了解しました。
出せ。
はい。
漆山さんを追跡してるのは俺たちだけだ。
絶対に見失うな！はい！行くぞ。
はい。
（ボイスチェンジャーの声）「正午の時報と共に下の岩場の脇に向かってバッグを投げろ」岩場の脇？
（大崎）漆山さんは北荒川橋の上にいます。
（アナウンス）「正午をお知らせします」
（時報）あっ！受け渡し失敗です。
バッグからお札が…。
あれ！？新聞紙？おいどこですり替えられたんだ？
（携帯電話の着信音）
（萩尾）もしもし？
（ボイスチェンジャーの声）「金は頂いた。
受け取り成功だ」ま…将人は…！？
（ボイスチェンジャーの声）「約束どおり帰してやるよ」
（電話が切れる音）よかった…。
うん…。
皆さんのおかげです。
お礼を言うならお義父さんに…。
ねえ奈津子さん。
はい…。
あなた…。
（泣き声）本部に連絡します。
うん。
（ため息）ああ…よかった…。
（五十嵐）「犯人から人質解放宣言がきました」よしわかった。
よし…。
待ちなさい。
喜ぶのは将人くんが保護されてからだ。
（捜査員たち）はい。
漆山さん！あなたを追っていた警察の者です。
今犯人から晃さんの携帯に電話があり金を受け取ったので約束どおり将人くんを解放すると…。
本当ですか！？でも犯人はいつ金を…。
恐らく温泉施設ですり替えられたんでしょう。
ああ…あの時…。
はあ〜…。
（鈴木）ちょっ…大丈夫ですか？
（大崎）漆山さんどうぞ。
あっ…。
わかった。
身代金の受け渡しは終わったか。
鴨志田さん心配してるだろうと思って一応ご報告。
そうか。
漆山さんもこれで娘さんと仲直り出来るといいんだがな。
それなら大丈夫。
多分ね。
将人くんが無事保護されたらまた連絡するわ。
お父さん！じいじ！お父さんありがとう。
奈津子…。
意地を張っててごめんなさい。
これからは一緒に暮らしましょう。
じいじ大好き！
（漆山）ハハハハ。
じいじもなママと将人が大好きだ！お父さん…。
はい。
ですから全国の児童相談所に通達を出してください。
迷子を保護していないかどうか…。
はい。
お願いします。
あっ漆山さん。
将人は？それが…まだ帰ってこないんです。
えっ！？あれから犯人の連絡も途絶えてしまって…。
冗談じゃないぞ。
あれから何時間経ってるんだよ！今全国の警官を導入して捜索してますから…。
晃くんは？出掛けました。
今日開店のお店があるとかで…。
女房を置いて出てったのか？奈津子さん少しだけでも休んでください。
一睡もしてないんでしょう？いいえ。
マーくんが帰ってくるまで…。
漆山さんどちらへ？ああ…。
私にも仕事があるんだ。
ああ…来ないな。
あいつ俺に連絡するの忘れてるんじゃないのか？そんな馬鹿な事があるか！一体どうなってるんだ！おい。
それじゃあ説明にもなんにもなってないだろう！将人に何かあったらお前たちの責任だからな！
（ため息）将人…。
漆山さん？あっ…。
将人くん何かあったんですか？いや…昼には犯人から解放宣言があったと聞きましたけど…。
いや実はまだ帰ってきてないんですよ。
えっ？でも身代金の受け渡しは…。
済みました。
今頃はもう家へ帰っておやつでも食べてたはずなのに…。
じゃあどうして…。
どうしてってこっちが聞きたいよ！あっ…ごめんなさい。
ちょっと仕事でトラブルが起こって…。
失礼します。
あれ？漆山さんそれいつもの車じゃ…。
あっいや。
あんなでかい車私運転出来ないですよ。

（坂下）犯人の最後の連絡からすでに５時間以上が経過している。
しかし将人くんはいまだ保護されていない。
全力を尽くしてどんな手掛かりでもつかんでほしい。
（捜査員たち）はい。
はあ…。
署長記者クラブからは報道協定解除を求められており幹事社はあすの夕方がタイムリミットだと言っております。
どうしましょう…。
将人くんが無事帰っていないのに協定解除なんか出来るわけないだろう。
いやしかし…。
仕方ありませんね。
岡崎警視…。
マスコミにはあと２４時間待ってもらってください。
という事はあすの１７時まで。
それまでになんとしても将人くんを見つけ出すんです！あす１７時までには必ず将人くんを見つけ出す！わかったなみんな！
（捜査員たち）はい！
（坂下）はあ…。
頼むぞ…。
（和田）課長。
おお…。
将人くんがいなくなったショッピングモールのイベントでちょっと気になる事が…。
気になる事？
（大崎）はい。
会場には栃木のご当地キャラが集合していたんですがステージ上にいたゆずもの他にもう１体別のゆずもがいたらしいんです。
ん？ん？ゆずも？なんだね？それは…。
ああ…茂木町のマスコットキャラクターです。
「ゆずもはゆずのおうじさま」「ひるねちゅうにうっかり果汁をしぼられてしまってくびれた体型をしています」今その説明はいいんじゃないか。
おっそうか。
であの日会場にいた客の何人かが舞台でゆずもが踊っていた時に客席にも他のゆずもがいたと言ってるんですよ。
誘拐された将人くんはゆずもが大好きだったんです。
犯人はそれを知っていてゆずもの着ぐるみを着て将人くんに近づいたんじゃないでしょうか？ちょっと待って。
ラブ＆ベジのホームページには将人くんがゆずもが大好きなんて情報は出てなかったわ。
あっという事は…。
犯人はネットだけではなくリアルで将人くんを知ってる人間って事ね。

（園児たちの歌声）あっ鴨志田さん。
昨日聞いた事で確かめたい事があって…。
（裕子）はい。
さやかちゃん。
ハハッ…。
さやかちゃんは公園でおじさんと会ったんだよね〜？どんなおじさんだったかな？顔は？髪形は？
（近藤さやか）怖いよ…。
あっ…。
鴨志田さんもうちょっと優しく。
あっそうね。
どうしたらいいんだ？アハハハッハッ…。
それじゃあささやかちゃん。
そのおじさんの年はこのおじさんと同じぐらいだったかな？わかんない。
（裕子）さやかちゃん。
さやかちゃんはそのおじさんとお話ししたのかな？ううん。
マーくんとばっかりお話しするの。
マーくんって萩尾将人くん？おじさんマーくんの事大好きみたい。
フフッ！楽しい！ハハッ！そうか。
どうもありがとう。
困ります！社長からは誰も入れるなと…。
失礼しますよ。
ああ…。
鴨志田さん。
申し訳ありません。
お止めしたんですが…。
（漆山）いやいやいいんだ。
この人なら構わないよ。
はあ…。
失礼します。
（漆山）ああ。
漆山さん将人くんを誘拐させた人間がわかりました。
えっ！？誰です？それはあんただ。
おいおい。
いきなり何を言い出すんだよ。
保育園の近くの公園で待ち伏せして時々将人くんに会っていたみたいじゃないか。
ああ…たまたまだよ。
たまたま昔娘とよく行った公園にあの子たちがいて…。
犯人はね将人くんがゆずもの大ファンだという事を知っていた可能性がある。
あんた公園で将人くんと会ってゆずもの話聞いたんだろ？いつもなら運転手付きの大きな高級車で動いてるあんたが今日はコンパクトカーに乗っていたのも妙だ。
ハハハッ。
自慢するわけじゃないが自分で車を運転したのは何年ぶりかな？最初から身代金を運ぶのは自分の役割だと知っていたから用意させたんだな？何を気にしてるんですか？いやなんでもない！離れてください！なんでもない！おいよせ！おい！身代金…。
犯人が受け取ったはずの金がなんでこんなところにあるんですか？説明してもらいましょうか漆山さん！娘と仲直りがしたかったんだ。
孫を思い切り抱きしめたかったんだよ。
だからといって誘拐なんて事を…。
他に考えられなかった…。
（漆山）婿の会社が資金難に陥ってるのは知ってたよ。
その気になれば会社を救ってやる事も出来た。
だがいくら金で助けても娘の心は買えない。
逆になんでも金の力で解決するしか能のない男だって軽蔑されるのがオチだ。
俺の願いは娘が目をキラキラさせて心からお父さんありがとうって言ってくれる事だった。
心からだ！それでこんな計画を…。
俺にはもう時間がない。
あんたならわかってくれるだろう？実行犯は？知り合いの役者たちだ。
ほらあの店にいた。
あと運転手の佐竹も知ってる。
それで将人くんは今どこにいるんですか？それが…。
まだそんな事を…。
娘と連絡取りますよ。
いいですね！今？東王子署。
これから萩尾邸に戻るところよ。
ちょっと相談がある。
誰にも言わずにこれから言う場所へ来てくれないかな？えっ？どうぞ。
鴨志田さん。
漆山さんも…。
ゆずも？将人くんを誘拐して動画を撮ったのは彼だ。
私は王子の執事でございます。
この店で将人くんの世話をしていたのは彼女。
私は王子のメイド。
なんなりとお申し付けを。
２人はね子供ミュージカル専門の劇団員なんだよ。
社長の会社にスポンサーになってもらってます。
それでこの誘拐を計画した主犯は…。
私なんです。
漆山さんが？本当に申し訳ない。
申し訳ないって…今全国で何万人の警察官に動員がかかってると思ってるんですか！俺は呼ばれてないけど。
鴨志田さんはいいの。
はいはい。
では漆山さん今回の事件は偽装だったんですね？私は一警察官として今すぐ上司に報告します。
待ってくれ。
だって誘拐はなかったんでしょ？捜査本部解散しなきゃ。
それが誘拐事件はあったんだ。
ちょっと待って…。
何言ってるの？実は今日この店から将人くんが本当に誘拐されたんです。
はあ？経緯はこうです。
お山を作って…。
（ほのか）こんにちはマーくん。
あっゆずもだ！今日は君を迎えに来たんだ。
えっ？今日から君がゆずの国の王子だよ。
さあ行こう！僕と一緒に。
どうしてもゆずもに会いたいって聞かなくて…。

（将人）「ちょちょんがちょんちょちょんがちょん」
（将人・ほのか）「もてぎの山のゆずの木に」「王子様が住んでいる」「ゆずの木から実ったよ」「ゆずの王子さゆずも」さすが〜！お上手ですわ王子。
俺たちの仕事は将人くんの監禁というより接待でした。
誓って傷一つ付けてないわよ。
本当よ。
身代金の受取人には誰が？俺が出かけました。
警察は私が温泉に浸かっている間に身代金入りのバッグがすり替えられたと思っているようですが本当はもっと前…公園の公衆トイレでした。

（漆山の声）身代金はそのあとすぐ運転手の佐竹が会社に運び社長室の金庫に。
俺は居場所が特定されないよう都内を移動しながら社長に電話をかけ続けました。
もしもし！？
（ボイスチェンジャーの声）「金は頂いた。
受け取り成功だ」
（萩尾）「ま…将人は！？」約束どおり帰してやるよ。
あとは将人を解放する計画だったんですが…。
私がちょっと目を離したすきに…。
（ほのか）さあ王子。
ちょっとの間の辛抱ですからね。
ママのところに行きましょうね。
その前にお外を見てきます。
（ほのか）やばっ…。
ハハハ…。
王子様ちょっとお待ちくださいね。
あんな格好で外に出たら完全に変なおばさんだよ。
お待たせしました。
さあ参りましょう。
王子？王子？王子！？ほのかから連絡が来て俺は慌てて店に戻りました。
でもどこを捜しても将人くんが見つからなくて…。
そしたら店に犯人から電話がかかってきたんです。
（ボイスチェンジャーの声）「子供は預かった」「無事に帰してほしければ漆山社長に連絡を取れ」社長に？「漆山社長が誘拐事件の黒幕だという事はわかっている」「自作自演に使った１億円をそっくりそのまま払ってもらおう」「今度こそ警察には届けるなよ」
（電話が切れる音）もしもし？待ておい！おい！
（不通音）パソコンにはメールで将人くんの写真が…。
身代金の受け渡しは？
（漆山）具体的な要求はまだ何も…。
計画の話は誰と誰がしたんですか？ここにいる小野タケルと梅谷ほのかそれから運転手の佐竹だけです。
私は誰にも話していません。
鴨志田さんお嬢さん頼む！私が将人を誘拐させたと知ったら娘は一生私を許さないだろう。
どんな事でも協力します！だから…だからお願いだ。
娘にだけは知らせないでください。
娘にだけは…！まあ座ってください。
どうぞ。
はあ…しかしわからんな。
えっ？いやあなたがドアの鍵をしめ忘れたとしても将人くんは目隠しをされていたんでしょ？はい。
子供が簡単に取れるような目隠しじゃありません。
うん。
で仮にここに座っていたとして目隠しをしたまんま…ドアまでどうやってたどり着いたのかな？犯人が施錠してないドアから入ってきて将人くんを連れ去ったんじゃありませんか？なんの物音も立てずにかい？保育士に聞いたところによると将人くんは極端な人見知りだそうだね。
ああそのとおりだ。
そんな子供がしかも目隠しをされたまま黙って誰かに連れ出されるなんてあるか？じゃあ犯人は将人くんが懐いてる人って事？そういえばこの写真…。
（ほのか）王子食事してますよね？本当だ。
俺たちの料理はひと口も食べなかったのに。
どうやら犯人は絞られてきたな…。
（ノック）岡崎さん…。
将人はまだ見つからないんですか？実は事件が新たな展開を見せておりまして。
ええっ！？２人だけで話せませんか？はい。
こっちです。
ここなら誰も入ってきません。
ご主人はまだお帰りにならないんですか？ああ…仕事でトラブルがあったらしいんです。
女優さんのドタキャンで新しいお店のオープニングが大失敗に終わったとかで…。
女優？それより将人は見つかったんですか？奈津子さんちょっと座って。
あの…落ち着いて聞いてください。
実は…。
岡崎さん…。
これもしかしてご主人から？主人からのプレゼントです。
将人がいなくなってからつけてませんけど。
奈津子さん１つご相談があるんですが。
今日はここで会議なの？悪いな。
警察から出来れば家にいてくれと言われてるんだ。
（チャイム）「ご近所の鴨志田でーす。
町内会費頂きに参りました」先輩休暇中のはずじゃ…。
奥さんですか？はい。
将人くん無事見つかりました。
えっ？皆さん将人くんが見つかったそうです。
本当ですか？迷子になっているところを保護されたそうです。
まもなく連絡があると思いますが１秒でも早くお知らせしたくて。
（井上）やった…。
（成美）よかった本当に。
すぐ会えますか？いやまもなく警察から迎えが来ると思いますので今しばらくお待ちを。
あなた…。
ああ…。
とりあえず乾杯しましょうよ。
（奈津子）そうね。
じゃあ私が…。
いいのいいの！私がやるから。
（奈津子）あっ…ありがとう。
（操作音）えっ…？大倉成美さん。
カフェバーから将人くんを誘拐したのはあなたですね？将人くんです。
（奈津子）あっマーくん…。
岡崎です。
犯人は大倉成美でした。
すぐにマンションに突入して将人くんを保護してください。
（大崎）萩尾将人くんだね？よいしょ。
（大崎）よく頑張ったね。
もう大丈夫だよ。
うん！うん。
よし。
人質確保。
将人くんは無事です。
了解です。
皆さん将人くんは無事でした。
マーくん…。
どうして…どうしてわかったの？実は奥さんの了解を得て昨夜のうちにこの家の数カ所にカメラを仕込んだんです。
（萩尾）なんだって？あれです。
将人くんが見つかったと言えば犯人は必ず監禁場所の様子を確認しようとするはず。
私たちはすぐ近くであなたの様子をモニターしていました。
そこの通りにコンテナトラックが止まってるだろ？あれは警察の車だ。
よかったですね。
よかった。
中には最新機器が詰まってる。
（井上）でも…どうしてお前がマーくんを？あなたは…萩尾さんと愛人関係にあった。
だからなんでしょ？
（井上）えっ…？いい加減な事言わないでください！萩尾さんあなたは奥さんに成美さんと同じ香水をずっと贈っていたそうですね。
妻と愛人が同じ香りをさせていれば浮気がバレないと思ってる。
浮気男のやる事はみんな同じ。
あっいやあの…それは…。
そして目隠しをされていた将人くんはあなたがお母さんと同じにおいがしていたからおとなしくついていってしまったんです。
ところであなたはどうして将人くんがあの店にいる事に気がついたんですか？あの女優の…梅谷ほのかのドタキャンのせいで３号店のオープニングイベントは散々な出来でした。
だから私どうしてもひと言言ってやりたくて…。
やばっ…。

（成美の声）驚きました。
まさか彼女が将人くんの誘拐犯だったなんて。
（成美の声）でももっと驚いたのは…。
何これ…。
（においを嗅ぐ音）ママ？ママ…？シーッ！マーくん行こう。
でもこれで私の腹も決まりました。
漆山社長が身代金として払った事になっている１億円は慰謝料代わりに私がもらおうって。
慰謝料…だと？そうよ。
私はあなたが独身だった頃から１０年間もだまされ続けてきたの。
その慰謝料よ。
独身時代から…？結婚してからもあなたはずっと離婚するから待ってくれって言い続けてたわ。
でも今回の事でやっとわかった。
あなたは最初から父親が資産家だと知ってて彼女と結婚したのよね？だから何があってもあなたは彼女とは離婚しない。
でも会社が潰れたら私はどうなるの？今の会社を設立した時私だってなけなしの金を出資したのよ。
だから私にはお金をもらう権利があるの。
奈津子こいつの言う事なんか信じないでくれ。
俺は別れたかったのにこの女が別れてくれなかったんだ。
奈津子さん…。
気がついてたわ。
彼女の香水が私と同じバラの香りだって事に…。
でも…あなたを信じたかった。
奈津子…。
私の分までありがとう…。

（奈津子）ああ…！ママ！マーくん…マーくん…。
ごめんねママが目を離したせいで…。
ごめん…。
ママ…。
よかった。
奈津子さん。
実はあなたにお話があるんです。
この事件を仕組んだのは父なんですね？漆山さんかなり体の具合が悪いんです。
それも相当深刻です。
最後の望み聞いてやってくれませんか？今さら何言ってるの…。
奈津子さん。
ずっと会社を大きくする事しか頭になくて家にもまともに帰ってきた事ないくせに…。
私は子供の頃あの人に遊んでもらった事すらないんですよ。
本当に？えっ？本当に一緒に遊んでもらった覚えがないんですか？ここは…。
あっいつものおじちゃんだ！マーくん！ハハハッ…。
おいで。
（将人）ブランコ押して。
いいよお安いご用だ。
ほら。
さあ行こう。
そっちそっち。
座って。
いいかい？うん。
（漆山）そうそうこれぐらいこれぐらい。
思い出しましたか？そうでした…。
（奈津子）子供の頃この近くに住んでていつもこうしてお父さんに…。
お前ブランコが大好きでここから離れなかったもんな。
お父さん…。
奈津子。
えっ…？何も悪いところはないんですか？…といってもひどい便秘ですね。
極力繊維質をとるよう心がけてください。
あの…告知されるって聞いたんで仕事休んで来たんですけど。
告知って…なんのですか？鴨志田さん…。
本当にお父さんそそっかしいんだから！だって本当に重病だと思ったんだよ。
心配して損した！ああ鴨志田さん。
こんにちは。
どうでした？検査の結果。
それがね便秘だったんです。
あらまあそうですか。
いやあ私もなんでもないって。
フフフッ…。
家族を呼べって言われた時はもうてっきり告知だと思ったんですがね。
心配して損しちゃいましたよ。
お祝いに一杯いかがですか？いいですねえ！ちょっとお父さん？鴨志田さん？
（２人）もう〜！ねえ？
（携帯電話の着信音）
（武井昭一）ああ…。
はい。
「ところで漆山さんの罪は？」
（武井）「漆山さんの罪ですか？」「そうですね…業務妨害罪ですから３年以下の懲役もしくは５０万円以下の罰金という事になりますが恐らく執行猶予が付くと思います」2018/01/14(日) 21:00〜22:54
ＡＢＣテレビ１
ミステリースペシャル　おかしな刑事１７[字]

人気シリーズ第１７弾がミステリースペシャルとして登場！伊東四朗×角野卓造!!コメディーセンスあふれる名優２人が“夢の競演”

詳細情報
◇番組内容
鴨志田新一（伊東四朗）は、東王子署の警部補。娘・岡崎真実（羽田美智子）は警察庁のエリートだが、実の親子だということは職場の人間は誰も知らない…。病院に診断の結果を聞きに来た鴨志田はとなりの診察室から出てきた会社の社長・漆山忠夫（角野卓造）と知り合いに、余命わずかと思い込んだ２人は打ち解けあい飲み明かす。しかし勤務中もため息ばかりつく鴨志田は坂下課長（小倉久寛）から休暇を取るよう言い渡されてしまう。
◇出演者
伊東四朗、羽田美智子、角野卓造、石井正則、小倉久寛、佐渡 稔、上杉祥三、飯田基祐、伊東孝明、福本伸一、真瀬樹里、中島亜梨沙、窪塚俊介、富永沙織
◇脚本
岡崎由紀子
◇監督
梶間俊一
◇音楽
吉川清之
◇おしらせ
☆番組ＨＰ
　http://www.tv-asahi.co.jp/mystery-sp/

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字（字幕）

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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